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第3章 美月編
第52話「心の解放」
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森田が出て行った後の病室で、守里は結真に状況を伝えるために、連絡を取る。
プルルル
ピ
守里 T: もしも…
結真 T: 守里?!!!!
守里 T: うわっ!!結真姉さん。
結真 T: 今どこにいるの?!!!!
守里 T: ちょ、落ち着いて!
結真 T: ふぅ…1つだけ聞かせて…何も問題はないのね?
守里 T: うん。一応無事だよ。
結真 T: はぁ~よかった。心配してたのよ、全然連絡つかないから、守里と美月に…って、美月知らない?!
守里 T: 美月なら、隣にいるよ。
結真 T: え?美月が隣にいるの?
守里 T: うん。美月も無事?かな。
結真 T: ホッ、そうなのね…良かったわ…「え、お兄ちゃんなの?!!」ちょ、蓮花。
蓮花 T: お兄ちゃん!!!!!!!!!!!!!!
守里: っ!!!
あまりの声の大きさに携帯を耳から離す守里。
美月: っ!!
守里 T: れ、蓮花?
蓮花 T: お兄ちゃん!!どこにいるの?!!!蓮花心配してたんだよ!!!
守里 T: ごめんね。それなんだけど、今僕、伊衛能病院にいるんだ。
蓮花 T: え?伊衛能病院?!「病院?!!!!!」
結真 T: 病院ってどういうことなの?!!守里!!!
守里 T: ま、まぁそこら辺もちゃんと説明するから、病院まで来てもらってもいいかな?
結真 T: もちろんよ!!!気になることがありすぎるんだから!!!
蓮花 T: 待っててね!!お兄ちゃん!!!すぐに行くから!!!
桜 T: さくも行くね。
守里 T: うん、待ってるよ。じゃ。
ピ
守里: はぁ…
美月: 大変ね。
守里: さっきの蓮花の大声で起きたのかな、美月。
美月: うん…
守里: それで、大丈夫?
美月: 守里君のおかげで問題ないみたい。
守里: 覚えてるんだ。
美月: 守里君が、あそこに来てくれたところまではね…
守里: そっか………ごめん。
美月: …なんで…
守里: え?
美月: なんで守里君が謝るの?!守里君は何も悪くないじゃない!!全部私のせい!!全部私が弱いから!!
美月が押さえ込んでいた感情が溢れ出す。
守里: …それは違うよ。
美月: 何が!!!中学の時も私が弱いから、いじめられて!!今回も私が弱いから…弱かったから…こんなになっちゃったんだよ?全部、私の自業自得なの!!
守里: 違う…
美月: 違うって…私のせいで守里君までそんなになって…
守里はベッドから降り、美月の真横に立つ。
守里: 違うよ…美月は弱くない。美月は強いんだよ!!
美月: っ!!
守里: 美月は家族に負担をかけないためにって、ずっと、いじめに1人で耐え続けて。それに人が怖くなっても、人を信じられなくなっても、家族に心配をかけないようにって、また学校に通い始めたんでしょ!!!そんな美月が弱いわけない!!!僕なんかよりも強い!!!
美月: そんな…
守里: 今回の件もそうだ、美月は僕達を巻き込まないためにって、ずっと黙ってたんでしょ。あの時も助けは必要ないって言ったんでしょ。
美月: …
守里: 美月は強いんだ!そして、誰よりも優しいんだよ!!!周りのために、家族のために自分を犠牲にするぐらいに!
美月: …
守里の真っ直ぐな言葉に、美月は俯く。
守里: でもね、美月の強さや優しさは、凄いなって思うけど、それで美月が傷つくのは嫌なんだよ。だって、もう美月は…
美月: …
守里: 僕の大切な人なんだ。
美月: え?…
守里: だから、もっと僕を頼ってくれ!僕に美月を守らせてくれ!!僕が絶対に美月を守るから!!!傷つけさせないから!!!
美月: 守里君…
守里は美月を見る。
守里: もう、1人で戦う必要は無いんだよ。無理しないでいいんだよ。安心していいんだよ。
そして、笑いかける。
美月: …グスン…
美月の中で、なにかが壊れた。
美月: ありがとう…
ギュッ
守里: うわっ!
美月が守里に抱きつく。
守里: …よく頑張ったね…ナデナデ
美月の泣き声が病室に響く。
その間、守里は美月を暖かく受け止め続けた。
◇◇◇
ガラガラ
結真: 守里!!
守里: シーー
結真: え?
守里は自分の隣にあるベッドの上を指さす。
守里: ちょっと疲れて寝ちゃったから、静かにね。
うっすらと笑顔を浮かべて、気持ちよさそうに眠る美月を見て、結真も笑顔になる。
結真: 笑、分かった。
守里: 桜と蓮花は?
結真: さすがに夜遅いし、連れてこなかった。2人とも駄々こねて、お留守番させるの大変だったのよ笑
守里: そっか笑
結真: それで、色々と説明して貰おうかしら。まぁ美月がこんな笑顔で寝てるんなら、良いことを聞けそうだけど。
守里: 笑、そうだね。まず結果から言うと、美月を守ることができたかな。
結真: そう…なのね…良かった。
結真はこの一言を聞き、心の底から安堵した。
そして守里は、結真に今日あったことを説明した。
美月が誘拐されたこと。
秀人の美月への脅迫内容。
秀人と雄斗の目的。
美月を助け出したこと。
結真: なるほどね…
守里: うん。でも根川秀人は取り逃したから、あとは任せてもいい?
結真: もちろん、任せて。
そう言って結真は電話をかける。
プルルル
ピ
結真 T: もしもし?
?? T: 結真どうした?
結真 T: 根川秀人の確保を頼んでいい?
?? T: ってことは、守里君は上手くやったのか。
結真 T: え?うん、まぁそうみたいよ。
?? T: 分かった。こっちで捕まえとくから。
結真 T: よろしくね。次は私達が頑張る番だよ。
?? T: そうだね。じゃ。
結真 T: じゃあね。
ピ
結真: これで、根川秀人は大丈夫だと思う。
守里: 電話の相手は誰だったの?
結真: 奈々未。
守里: あぁ…
結真: ななみんが苦手みたいね笑
守里: だってあの人、心を読んでくるんだよ。
結真: ななみんは人をよく見てるから笑、でも頼りになる。
守里: だよね…
結真: それで、守里。1番大事なことを話してないみたいだけど…
守里: え?大体のことは話したと思うんだけどな…
結真: どうやって美月を助け出したのかってことよ。守里が話したことからして、結構危険な状況だったんでしょ?
守里: ま、まぁそうだね。
結真: まさか1人で美月を助け出したとは、言わないだろうからねぇ…
そう言って結真は守里の目を見る。
どうしよ。
上手いこと、説明では省けたって思ったんだけど…
防衛団のことは、話すわけにはいかないしな。
かと言って、僕1人でっていうのも無理があるだろうし…
答えないっていうのも、許してくれなさそう。
うーん、協力者ってので押し通すのはどうだ?
いいかも…
守里: 協力者に手伝って貰ったんだ。
結真: 協力者?
守里: う、うん。美月が攫われた後、すぐに合流してね。一緒に助けに行ったんだ。
結真: へぇ。
守里: それで、その協力者が、根川雄斗とか、その他の奴らも倒してくれて、美月を無事助けることができたの。
結真: ふーん、じゃあ、その協力者ってのは誰なのかしら?
守里: そ、それは、向こうが黙っといてくれって言ってね、教えられないんだよ。
結真: …
守里: …
これで押し通せるか?
結真: ま、分かったわ。今はそれで納得してあげる笑
守里: そ、そっか…
はぁ…良かった。
今のところは大丈夫そうだ…
でも、また誤魔化し方を考えとかないと…
いっその事、結真姉さんには、防衛団のこと話してもいいと思うけどな…
結真: それで、今後のことなんだけど…
守里: 結構予定変わっちゃったと思うんだけど、大丈夫そう?
結真: 笑、大丈夫よ。もう証拠は集まってるから。
守里: 証拠といえば、根川秀人の携帯を拾ってる。
結真: なら、それ、私に渡してくれる?
守里: うん、明日渡すね。
結真: じゃあ、根川秀人を捕まえ次第、動きましょうか。
守里: よろしく。
結真: でも、1つだけ懸念点があるんだ。
守里: なに?
結真: 根川秀人の両親よ。
守里: あぁ、なるほど。
結真: 調べた感じ、父は秀人と雄斗の悪行に気づいてないし、母に至っては、2人からかなり酷い扱いを受けてたみたいなの。
守里: …そうか。
結真: だから、事情の説明もしないとだし、色々とね。
守里: じゃあ、それは僕の方に任せてよ。こっちで何とかしとくから。
結真: …また例の協力者さんに頼むのかしら?
守里: 笑、まぁね。両親の方は上手くやっとくから、秀人の方は頼んだよ。
結真: うん。
その後…
結真: よし、桜と蓮花を家で待たせたままだから、帰るね。
守里: 明日には退院できるっぽい。
結真: なら、朝に迎えに来る。
守里: うん。じゃあね。
結真: じゃあね。
ガラガラ
守里: よし、今のうちに森田さんに電話しとこ。
守里は、森田に明日の朝、根川秀人の携帯を持ってきて欲しいことと、根川の両親への対応をお願いした。
そして、守里はベッドに入る。
今日は疲れたな。
こんな大変で長かった1日は始めてだよ。
でも美月を守れて良かった。
にしても、あの美月を助けた時の感じは、なんだったんだろ。
自分の中で、何かが外れて、体の中から何かが溢れてきた感じ…
初めての感覚だったはずなんだけど、どこか懐かしい感じがしたんだよな。
まぁいいか、寝よ。
ってか、僕もう既に、結構寝たっぽいけど寝れるかな?
と守里は考えていたが、その後すぐに、深い眠りについた。
◇◇◇◇◇
翌日
早朝
守里: おはようございます。森田さん。
森田: おはようございます、坊ちゃん。もう動いても平気ですか?
守里: 昨日から別に痛みはなかったんで、動けましたよ笑
森田: そうですか、さすがですね笑
守里: それで、例のものなんですけど…
森田: はい、こちらです。
そう言って、森田は鞄から箱を取り出す。
森田: 一応、組織に繋がるものがないか確認した後、元の状態に戻しておきましたから。問題ないと思います。
守里: ありがとうございます。それで、何か見つかりましたか?
森田: 携帯からは特に見つかりませんでしたが、捕まえた奴らは、良い情報を吐いてくれましたよ。
守里: 笑、そうですか。
森田: あと、根川秀人の両親についてなんですけど、防衛団の方で色々とやっておきました。
守里: 具体的には?
森田: はい、両親には既に事情を説明しました。それで事が済んだ後には、母は地方にいる父の元へ引っ越す手筈になっています。
守里: もちろん、引っ越し金は…
森田: 防衛団が出します。加えて、いくらか渡しています。
守里: それなら大丈夫そうですね。色々とありがとうございます。
森田: いえ、坊ちゃんの頼みですし、言わば、我々の敵の被害者ですから。
守里: 確かに、そうなりますね。
森田: そういえば、敵組織の名前が判明しましたよ。
守里: 今回吐かせた情報ですか。
森田: はい。
守里: それで、その名前は?
森田: 「アンチ」というそうです。
守里: アンチですか…最近暴力事件を起こしてるのも、そのアンチってことで良いんですよね。
森田: まぁアンチというか、アンチの構成員とうちの団員が戦ってるところを、たまたま目撃されたって感じです。
守里: なるほど、だから警察が来る頃には、いなくなってたんですか。
森田: こちらも向こうも、警察に捕まるわけにはいきませんから。
守里: でも、防衛団は警察と協力関係にあるんでしょ?だったら、問題ないんじゃ?
森田: 確かにそうですけど、防衛団の存在は世間一般には知られていませんからね。知られるわけにもいかないですし、捕まっちゃうと色々と面倒なんですよ。
守里: なるほど…
森田: それが分かってるから、警察も別にうちの団員を追うことはないんです。
守里: へぇ…
森田: と、話しすぎましたね。そろそろ結真さんも着く頃でしょうから、私はこの辺で。
守里: ええ、本当にありがとうございました。
森田: いえいえ、ではまた。
そう言って森田は去っていった。
to be continued
プルルル
ピ
守里 T: もしも…
結真 T: 守里?!!!!
守里 T: うわっ!!結真姉さん。
結真 T: 今どこにいるの?!!!!
守里 T: ちょ、落ち着いて!
結真 T: ふぅ…1つだけ聞かせて…何も問題はないのね?
守里 T: うん。一応無事だよ。
結真 T: はぁ~よかった。心配してたのよ、全然連絡つかないから、守里と美月に…って、美月知らない?!
守里 T: 美月なら、隣にいるよ。
結真 T: え?美月が隣にいるの?
守里 T: うん。美月も無事?かな。
結真 T: ホッ、そうなのね…良かったわ…「え、お兄ちゃんなの?!!」ちょ、蓮花。
蓮花 T: お兄ちゃん!!!!!!!!!!!!!!
守里: っ!!!
あまりの声の大きさに携帯を耳から離す守里。
美月: っ!!
守里 T: れ、蓮花?
蓮花 T: お兄ちゃん!!どこにいるの?!!!蓮花心配してたんだよ!!!
守里 T: ごめんね。それなんだけど、今僕、伊衛能病院にいるんだ。
蓮花 T: え?伊衛能病院?!「病院?!!!!!」
結真 T: 病院ってどういうことなの?!!守里!!!
守里 T: ま、まぁそこら辺もちゃんと説明するから、病院まで来てもらってもいいかな?
結真 T: もちろんよ!!!気になることがありすぎるんだから!!!
蓮花 T: 待っててね!!お兄ちゃん!!!すぐに行くから!!!
桜 T: さくも行くね。
守里 T: うん、待ってるよ。じゃ。
ピ
守里: はぁ…
美月: 大変ね。
守里: さっきの蓮花の大声で起きたのかな、美月。
美月: うん…
守里: それで、大丈夫?
美月: 守里君のおかげで問題ないみたい。
守里: 覚えてるんだ。
美月: 守里君が、あそこに来てくれたところまではね…
守里: そっか………ごめん。
美月: …なんで…
守里: え?
美月: なんで守里君が謝るの?!守里君は何も悪くないじゃない!!全部私のせい!!全部私が弱いから!!
美月が押さえ込んでいた感情が溢れ出す。
守里: …それは違うよ。
美月: 何が!!!中学の時も私が弱いから、いじめられて!!今回も私が弱いから…弱かったから…こんなになっちゃったんだよ?全部、私の自業自得なの!!
守里: 違う…
美月: 違うって…私のせいで守里君までそんなになって…
守里はベッドから降り、美月の真横に立つ。
守里: 違うよ…美月は弱くない。美月は強いんだよ!!
美月: っ!!
守里: 美月は家族に負担をかけないためにって、ずっと、いじめに1人で耐え続けて。それに人が怖くなっても、人を信じられなくなっても、家族に心配をかけないようにって、また学校に通い始めたんでしょ!!!そんな美月が弱いわけない!!!僕なんかよりも強い!!!
美月: そんな…
守里: 今回の件もそうだ、美月は僕達を巻き込まないためにって、ずっと黙ってたんでしょ。あの時も助けは必要ないって言ったんでしょ。
美月: …
守里: 美月は強いんだ!そして、誰よりも優しいんだよ!!!周りのために、家族のために自分を犠牲にするぐらいに!
美月: …
守里の真っ直ぐな言葉に、美月は俯く。
守里: でもね、美月の強さや優しさは、凄いなって思うけど、それで美月が傷つくのは嫌なんだよ。だって、もう美月は…
美月: …
守里: 僕の大切な人なんだ。
美月: え?…
守里: だから、もっと僕を頼ってくれ!僕に美月を守らせてくれ!!僕が絶対に美月を守るから!!!傷つけさせないから!!!
美月: 守里君…
守里は美月を見る。
守里: もう、1人で戦う必要は無いんだよ。無理しないでいいんだよ。安心していいんだよ。
そして、笑いかける。
美月: …グスン…
美月の中で、なにかが壊れた。
美月: ありがとう…
ギュッ
守里: うわっ!
美月が守里に抱きつく。
守里: …よく頑張ったね…ナデナデ
美月の泣き声が病室に響く。
その間、守里は美月を暖かく受け止め続けた。
◇◇◇
ガラガラ
結真: 守里!!
守里: シーー
結真: え?
守里は自分の隣にあるベッドの上を指さす。
守里: ちょっと疲れて寝ちゃったから、静かにね。
うっすらと笑顔を浮かべて、気持ちよさそうに眠る美月を見て、結真も笑顔になる。
結真: 笑、分かった。
守里: 桜と蓮花は?
結真: さすがに夜遅いし、連れてこなかった。2人とも駄々こねて、お留守番させるの大変だったのよ笑
守里: そっか笑
結真: それで、色々と説明して貰おうかしら。まぁ美月がこんな笑顔で寝てるんなら、良いことを聞けそうだけど。
守里: 笑、そうだね。まず結果から言うと、美月を守ることができたかな。
結真: そう…なのね…良かった。
結真はこの一言を聞き、心の底から安堵した。
そして守里は、結真に今日あったことを説明した。
美月が誘拐されたこと。
秀人の美月への脅迫内容。
秀人と雄斗の目的。
美月を助け出したこと。
結真: なるほどね…
守里: うん。でも根川秀人は取り逃したから、あとは任せてもいい?
結真: もちろん、任せて。
そう言って結真は電話をかける。
プルルル
ピ
結真 T: もしもし?
?? T: 結真どうした?
結真 T: 根川秀人の確保を頼んでいい?
?? T: ってことは、守里君は上手くやったのか。
結真 T: え?うん、まぁそうみたいよ。
?? T: 分かった。こっちで捕まえとくから。
結真 T: よろしくね。次は私達が頑張る番だよ。
?? T: そうだね。じゃ。
結真 T: じゃあね。
ピ
結真: これで、根川秀人は大丈夫だと思う。
守里: 電話の相手は誰だったの?
結真: 奈々未。
守里: あぁ…
結真: ななみんが苦手みたいね笑
守里: だってあの人、心を読んでくるんだよ。
結真: ななみんは人をよく見てるから笑、でも頼りになる。
守里: だよね…
結真: それで、守里。1番大事なことを話してないみたいだけど…
守里: え?大体のことは話したと思うんだけどな…
結真: どうやって美月を助け出したのかってことよ。守里が話したことからして、結構危険な状況だったんでしょ?
守里: ま、まぁそうだね。
結真: まさか1人で美月を助け出したとは、言わないだろうからねぇ…
そう言って結真は守里の目を見る。
どうしよ。
上手いこと、説明では省けたって思ったんだけど…
防衛団のことは、話すわけにはいかないしな。
かと言って、僕1人でっていうのも無理があるだろうし…
答えないっていうのも、許してくれなさそう。
うーん、協力者ってので押し通すのはどうだ?
いいかも…
守里: 協力者に手伝って貰ったんだ。
結真: 協力者?
守里: う、うん。美月が攫われた後、すぐに合流してね。一緒に助けに行ったんだ。
結真: へぇ。
守里: それで、その協力者が、根川雄斗とか、その他の奴らも倒してくれて、美月を無事助けることができたの。
結真: ふーん、じゃあ、その協力者ってのは誰なのかしら?
守里: そ、それは、向こうが黙っといてくれって言ってね、教えられないんだよ。
結真: …
守里: …
これで押し通せるか?
結真: ま、分かったわ。今はそれで納得してあげる笑
守里: そ、そっか…
はぁ…良かった。
今のところは大丈夫そうだ…
でも、また誤魔化し方を考えとかないと…
いっその事、結真姉さんには、防衛団のこと話してもいいと思うけどな…
結真: それで、今後のことなんだけど…
守里: 結構予定変わっちゃったと思うんだけど、大丈夫そう?
結真: 笑、大丈夫よ。もう証拠は集まってるから。
守里: 証拠といえば、根川秀人の携帯を拾ってる。
結真: なら、それ、私に渡してくれる?
守里: うん、明日渡すね。
結真: じゃあ、根川秀人を捕まえ次第、動きましょうか。
守里: よろしく。
結真: でも、1つだけ懸念点があるんだ。
守里: なに?
結真: 根川秀人の両親よ。
守里: あぁ、なるほど。
結真: 調べた感じ、父は秀人と雄斗の悪行に気づいてないし、母に至っては、2人からかなり酷い扱いを受けてたみたいなの。
守里: …そうか。
結真: だから、事情の説明もしないとだし、色々とね。
守里: じゃあ、それは僕の方に任せてよ。こっちで何とかしとくから。
結真: …また例の協力者さんに頼むのかしら?
守里: 笑、まぁね。両親の方は上手くやっとくから、秀人の方は頼んだよ。
結真: うん。
その後…
結真: よし、桜と蓮花を家で待たせたままだから、帰るね。
守里: 明日には退院できるっぽい。
結真: なら、朝に迎えに来る。
守里: うん。じゃあね。
結真: じゃあね。
ガラガラ
守里: よし、今のうちに森田さんに電話しとこ。
守里は、森田に明日の朝、根川秀人の携帯を持ってきて欲しいことと、根川の両親への対応をお願いした。
そして、守里はベッドに入る。
今日は疲れたな。
こんな大変で長かった1日は始めてだよ。
でも美月を守れて良かった。
にしても、あの美月を助けた時の感じは、なんだったんだろ。
自分の中で、何かが外れて、体の中から何かが溢れてきた感じ…
初めての感覚だったはずなんだけど、どこか懐かしい感じがしたんだよな。
まぁいいか、寝よ。
ってか、僕もう既に、結構寝たっぽいけど寝れるかな?
と守里は考えていたが、その後すぐに、深い眠りについた。
◇◇◇◇◇
翌日
早朝
守里: おはようございます。森田さん。
森田: おはようございます、坊ちゃん。もう動いても平気ですか?
守里: 昨日から別に痛みはなかったんで、動けましたよ笑
森田: そうですか、さすがですね笑
守里: それで、例のものなんですけど…
森田: はい、こちらです。
そう言って、森田は鞄から箱を取り出す。
森田: 一応、組織に繋がるものがないか確認した後、元の状態に戻しておきましたから。問題ないと思います。
守里: ありがとうございます。それで、何か見つかりましたか?
森田: 携帯からは特に見つかりませんでしたが、捕まえた奴らは、良い情報を吐いてくれましたよ。
守里: 笑、そうですか。
森田: あと、根川秀人の両親についてなんですけど、防衛団の方で色々とやっておきました。
守里: 具体的には?
森田: はい、両親には既に事情を説明しました。それで事が済んだ後には、母は地方にいる父の元へ引っ越す手筈になっています。
守里: もちろん、引っ越し金は…
森田: 防衛団が出します。加えて、いくらか渡しています。
守里: それなら大丈夫そうですね。色々とありがとうございます。
森田: いえ、坊ちゃんの頼みですし、言わば、我々の敵の被害者ですから。
守里: 確かに、そうなりますね。
森田: そういえば、敵組織の名前が判明しましたよ。
守里: 今回吐かせた情報ですか。
森田: はい。
守里: それで、その名前は?
森田: 「アンチ」というそうです。
守里: アンチですか…最近暴力事件を起こしてるのも、そのアンチってことで良いんですよね。
森田: まぁアンチというか、アンチの構成員とうちの団員が戦ってるところを、たまたま目撃されたって感じです。
守里: なるほど、だから警察が来る頃には、いなくなってたんですか。
森田: こちらも向こうも、警察に捕まるわけにはいきませんから。
守里: でも、防衛団は警察と協力関係にあるんでしょ?だったら、問題ないんじゃ?
森田: 確かにそうですけど、防衛団の存在は世間一般には知られていませんからね。知られるわけにもいかないですし、捕まっちゃうと色々と面倒なんですよ。
守里: なるほど…
森田: それが分かってるから、警察も別にうちの団員を追うことはないんです。
守里: へぇ…
森田: と、話しすぎましたね。そろそろ結真さんも着く頃でしょうから、私はこの辺で。
守里: ええ、本当にありがとうございました。
森田: いえいえ、ではまた。
そう言って森田は去っていった。
to be continued
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ごく普通の女子中学生だった結城かなみはある日両親から借金を押し付けられた黒服の男にさらわれてしまう。一億もの借金を返済するためにかなみが選ばされた道は、魔法少女となって会社で働いていくことだった。
今日もかなみは愛と正義と借金の天使、魔法少女カナミとなって悪の秘密結社と戦うのであった!新感覚マジカルアクションノベル!
※基本1話完結なのでアニメを見る感覚で読めると思います。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
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