ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

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第6章 修学旅行編

第194話「小さい頃の日向子」

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陽芽叶が起きてから、およそ30分後…


ピピピピピピピ



陽芽叶: 2度目のアラームだ。


梅澤: コイツら起きるかな笑



外に出る準備を終わらせた2人は、襖を開けた広縁から、部屋の中で寝る3人を、椅子に座って眺めていた。



陽芽叶: 朝食の時間まで残り30分。この辺で起きないと、キツくなってくるか…


梅澤: もう起こす?


陽芽叶: う~ん、あと少し寝かせてあげよう笑。あんな気持ち良さげな顔で寝てるんだし、起こしにくいよ。


梅澤: 確かに笑


陽芽叶: 3度目のアラームで起きなかったら、起こそう。


梅澤: おう。


陽芽叶: にしても、ここのお茶、美味しいよね。


梅澤: さすが、京都のお茶ってとこなんじゃないか?


陽芽叶: 旅館のお茶まで美味しいとは…笑


梅澤: 笑、ってかさ、陽芽叶って守里のこと好きなんだろ?


陽芽叶: え?いきなり、そんなこと聞く?


梅澤: いや、昨日の様子を見て聞きたくなったから。


陽芽叶: ふ~ん、まぁ良いや。うん。好きだよ。梅は美月を応援してるみたいだから、私の敵?になるのかもしれないけど笑


梅澤: 敵って笑……はぁ~あ、ほんと守里はモテるね~


陽芽叶: ライバルは、美月と飛香、春時の妹の紗耶ちゃん、守里のバイトの後輩の珠美ちゃん。


梅澤: あぁ。


陽芽叶: そして、最強の敵、日向子。


梅澤: 日向子?


陽芽叶: うん。


梅澤: いや、アイツは違うんじゃないか?


陽芽叶: え、なんで?……日向子は守里のことが小さい頃から好きなはず…


梅澤: そりゃ、幼なじみとして友達としては好きだろうけど、異性として好きって感じではないだろ。実際に日向子も、そんな風なことを言ってたみたいだし。


陽芽叶: …


梅澤: 何をそんなに驚いてるんだ笑


陽芽叶: ……今はそうじゃなくても、日向子が守里と付き合ってたとかもないの?


梅澤: そんな話は聞いたことない。


陽芽叶: 昔はあんなに守里のことが好きだって言ってたのに…


梅澤: 友達としてじゃなくてか?


陽芽叶: うん。絶対、結婚するって…


梅澤: へぇ~で、陽芽叶と守里、そして日向子は昔馴染みなわけ?


陽芽叶: っ!!


梅澤: 転校生のお前が、昔の日向子を知ってるってことは、そういうことなんだろ?


陽芽叶: ……うん。


梅澤: でも、守里と日向子はそのことを覚えてないって感じか?


陽芽叶: うん。


梅澤: なるほどね。


陽芽叶: …5歳ぐらいまでかな。私と守里、日向子は家が近くて、よく一緒に遊んでたんだ。それで、私も日向子も守里のことが好きだった。


梅澤: お互いに気持ちを知ってたのか?


陽芽叶: うん。でも、親の転勤で、私は引越しすることになって、守里と日向子と別れたの。


梅澤: で、高二の秋に、再びこっちに、守里と日向子と同じところに戻って来たと。


陽芽叶: 偶然ね。教室に入った時に、守里と日向子がいて、ほんとびっくりしたんだから笑


梅澤: 笑、そりゃ驚くわな。昔、好きだったヤツと、ソイツを取り合ってた相手と同じ学校、同じクラス、なんなら守里とは隣の席になったんだし。


陽芽叶: でしょ?笑……で、転校してすぐの頃は、日向子が守里のことを家族だと思ってるって聞いて、てっきり守里と日向子は付き合ってて、夫婦レベルで愛し合ってるぐらいに思ってたんだ。


梅澤: 家族を、そっちで捉えたわけか。


陽芽叶: 最初はね笑。でも、美月や飛香の行動を見たり、春時達の話を聞いたりしてると、まだ私にもチャンスはあるのかな?って思って、私も守里にアタックをかけ始めたの。


梅澤: 引越した後も、守里のことがずっと好きだったんだな。


陽芽叶: 当たり前だよ笑


梅澤: ふ~ん笑。ま、その話を聞くと、さっきの日向子と守里の関係性を聞いた時のお前の様子にも、納得がいくわ。


陽芽叶: いや~読みが外れたな~


梅澤: 陽芽叶としては、良かったんじゃないのか?1番の強敵だと思ってたヤツが、そうじゃなかったんだから。


陽芽叶: まぁね……でも、少し悲しいんだ…


梅澤: そういうもんなのか…


陽芽叶: この話は秘密だよ笑


梅澤: おう…(なんかこういうの私、多くね?)


陽芽叶: にしても、日向子、あんなに守里のことが好きだったのにな~


梅澤: 年が経てば変わることもあるんだろ。


陽芽叶: そっか~


梅澤: 美月を応援してる私が言うのも変だが、頑張れよ。


陽芽叶: うん笑


梅澤: 守里は究極の鈍感なのか、幼なじみの飛香とデートに行っても、家族の美月が強めのスキンシップとっても靡かないからな、大変だぞ笑


陽芽叶: それは中々…


梅澤: だろ?ロボットかっての笑


陽芽叶: まぁ、頑張るよ。もちろん、美月にも、誰にも負けない!


梅澤: 笑、そうかよ。



そう言って梅澤は、笑いながらお茶を一口飲んだ。



陽芽叶: ロボットね…



ピピピピピピピ


ここで、3度目の、集合時間10分前のアラームが鳴り響く。



梅澤: ……起きねぇな笑


陽芽叶: よし、みんなを起こそう。


美月: zzzzzz


梅澤: おい、美月。起きろ。


美月: …まだ寝る~……zzz


梅澤: んな事言ってたら、嵐山?だっけか、行けなくなるぞ。


陽芽叶: ほら、志帆ちゃんも。


川嶋: う、う~ん…zz


祐希: zzzzz


梅澤: 言っても聞かないなら、こうするしかないよな笑



笑いながら、梅澤は寝ている美月の鼻を摘む。



美月: …フグ…グガッ!!し、しぬ!!



息ができなくなった美月が、飛び起きる。



梅澤: おはよう、美月。


陽芽叶: おはよ~


美月: ちょっと、何するの?!香蓮!



そう叫んだ声を聞いて…



川嶋: うるさいな……なに?まだ時間は……zz


陽芽叶: あ、志帆ちゃん、また寝ないで。美月よりぐ~たらでどうするの?


川嶋: 美月より…ぐ~たら……起きる。



陽芽叶の言葉を聞き、ムクっと起き上がる川嶋。



陽芽叶: よし、志帆ちゃんも起きたね。


美月: こんの~よくも!


梅澤: 逆に感謝して欲しいぜ笑


川嶋: 私はぐ~たらじゃない!


陽芽叶: 分かったから、早く準備しな?時間ないよ。


川嶋: え?時間?



自分の携帯で時間を確認する。



川嶋: っ!!!……陽芽叶ちゃん、ちょっとほっぺを引っ張ってもらっていい?


陽芽叶: OK~


川嶋: …痛い……夢じゃ…ない………


美月: 起こすにしても殺しにかかるとは!


梅澤: お前も準備始めろって。


川嶋: ……



携帯をじっと見たままの川嶋は一言。



川嶋: ヤバい。



そう言って、一気に体を動かした。



美月: うわっ、いきなりどうしたの?志帆。


川嶋: 美月!!大ピンチ!!残り10分!!


美月: は、え、へ?10分?



目の前に立つ梅澤を見る。



梅澤: 現在、7時50分。朝食の時間は8時。


美月: !!!!!!!!!!!



大きく目を見開いた美月も、一瞬の硬直の後、朝の準備を大急ぎで始めた。



川嶋: あ、美月も洗面台使うの?!!


美月: そりゃそうでしょ!半分!!


川嶋: 分かった!


美月: ちょっ水飛んでる!


川嶋: しょうがないでしょ!!お互い様!!


陽芽叶: 笑、あとは真のぐ~たら娘だけだね。


梅澤: おそらく、コイツが1番起きない。


祐希: zzzzzz


陽芽叶: 先に、志帆ちゃんに起こしてもらえば良かった。


梅澤: 今から呼んで…いや、耳に入らなそうだ笑


陽芽叶: おーい、祐希ちゃん、起きて~


祐希: zzzzzz


梅澤: この、起きろ!



脇の下に腕を通し、無理やり祐希を持ち上げる。



祐希: zzzzzz


陽芽叶: 嘘…これでも起きないの?守里から、いつも見てる日中の睡眠とは、レベルが違うってことは聞いてたけど…


梅澤: 日中の睡眠は、まだマシだったんだな…


陽芽叶: ……最終兵器を使うしかない。


梅澤: 最終兵器?


陽芽叶: 守里から託されてたんだ。美月、志帆ちゃん、祐希ちゃん、それぞれを確実に起こせる最終兵器を。


梅澤: そんなのがあるなら、初めから使えば…


陽芽叶: 最終兵器って言うぐらいだから、ほんとにどうしようもない時に使わないとでしょ!


梅澤: お、おぉ…



自分の携帯を手に取った陽芽叶は、梅澤が持ち上げている祐希の耳元へ、携帯を近づける。



陽芽叶: これで、どうだ!


「はよ起きんかい!!祐希!!」


祐希: っ!!!は、はい!!!!


梅澤: おっ、起きた。


祐希: あ、あれ?お姉ちゃん?……?


陽芽叶: おはよう、祐希。


祐希: なんで陽芽叶ちゃん?…


梅澤: まだ寝ぼけてんのか?修学旅行中だろ。


祐希: はっ!そうだった……じゃあなんで、お姉ちゃんの声が…


陽芽叶: 笑、まぁ良いから、準備しないと。朝食まで時間ないよ。


祐希: グー


梅澤: 腹の虫も鳴ってんじゃねぇか笑


祐希: 朝ご飯食べる!!!


陽芽叶: その前に、顔洗ってこなきゃ。


祐希: 分かった!!!



自分の状態と周りの状況を理解した祐希は、梅澤の手から離れ、川嶋と美月がいる洗面台へと走る。



祐希: 朝ご飯!!


美月: 祐希!


川嶋: 3人はキツくない?!


祐希: 顔洗う!!バシャバシャ


川嶋: 水めちゃくちゃ飛んでるって!祐希!


美月: 服が…いや、気にしてらんない!!急ぐよ!!


梅澤: ほんと騒がしい笑


陽芽叶: さすがにギリギリ過ぎたね笑。明日はもうちょっと早く起こそう。


梅澤: (何気に陽芽叶も意地悪なんだよな……飛香と似てる…か。)




10分後…



川嶋: 5分遅刻だ!!急げ!!


美月: 分かったから!!


祐希: 朝ご飯!!!


陽芽叶: ちゃんと靴履きなよ~


梅澤: 笑



ガチャ!!!


5人はドタバタと部屋を出て、食事処へ向かった。


そして、美月達のあまりの慌てようを見て、笑う剣崎先生に、まず挨拶をして遅れたことを謝る。


その後、美月達は、既に席についている守里と春時のテーブルへ行き、梅澤は、先に席に座っている灰崎を見て、少し嫌な顔をしながらも、そっちの方向へ向かった。




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