ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

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第6章 修学旅行編

第206話「相棒への信頼」

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旅館



剣崎: 知り合いのところに行ってたって…本当はダメなんだからね!今回は許すけど!!


守里: すみません…


剣崎: 笑、さ、私以上に怒ってそうな人達がいるから、ここの部屋に入ってね~


守里: え…



ということで、旅館に戻ってきた守里が、エントランスにいた剣崎に案内された部屋に入ると…



梅澤: あ、来たか。


祐希: わ~守里~


ギュッ


守里: おっと…笑、ごめん、心配かけて。


祐希: おかえり!


守里: ただいま笑


祐希: 祐希、心配してたんだよ~急にいなくなる…から……zzz


守里: あ、珍しく起きてると思ったら、ギリギリの状態だったのね笑


梅澤: あぁ。守里が帰ってくるまで頑張るって言ってたんだ。


陽芽叶: 寝ないために、瞼にテープを貼り付けて、強制的に目を開かせるとか、色んなことをやってたんだよ笑


守里: へぇ~笑


梅澤: さ、祐希はこっちに渡して、お前はちゃんと話してこい。


守里: うん。


川嶋: …


守里: 志帆。


川嶋: 本当に、心配したんだよ…


守里: ごめん…


川嶋: でも、無事で良かった。


守里: うん笑


川嶋: 怪我は?その腕だけ?


守里: まぁ。でも、2日後には治ると思う。


川嶋: そっか…


梅澤: (いやなんで納得…骨折を2日で治すって言ってんだぞ笑)


川嶋: じゃあ、美月のとこに…
 

守里: うん。



そうして、守里に背中を向けて座っている美月の元へ。 



美月: …


守里: 美月。ごめん、怖い目に遭わせちゃって。


美月: …グスン


守里: 僕がもっとしっかりしていれば、あんなことには…


美月: そうじゃない!!……そうじゃないよ…


守里: …


美月: なんで私達だけを逃がしたの?守里も一緒に逃げれば良かったじゃん……そうすれば、こんなことには…


守里: …ごめんね。あの時は、ああするしかなかったんだ…


美月: …うぅ…怖かったよ……守里が帰ってこないんじゃないかって……もう守里と会えないんじゃないかって……グスン


ギュッ



後ろから優しく、守里は片手で美月を抱き寄せる。



守里: 大丈夫。絶対に美月から離れることはないよ。


美月: 守里……うぇ~ん、守里~


ギュッ!!



振り向いた美月は、泣きながら思いっきり守里に抱きついた。



守里: 笑…ナデナデ


川嶋: え、なんかあれ告白みたいじゃなかった?ボソッ


梅澤: まぁ、守里にそんなつもりはないんだろうが、確かに笑ボソッ


陽芽叶: ム…



少しして、美月が落ち着くのを見計らい…



梅澤: よし、後は男だけにしてやろう。


陽芽叶: そうだね…


美月: え~もうちょっと守里と…


梅澤: 我慢しろ。


川嶋: ほぉ~男と男の話ってヤツか~



という感じで、女子達が出て行き、部屋の中は、守里と春時だけとなった。



春時: …


守里: 春時、心配かけてごめん。


春時: ……最初…お前と陽芽叶さんが連れ去られたって聞いた時、俺は、絶対に助けるって思ってた。幼なじみとして、相棒としてな。


守里: ありが…


春時: でも、梅がお前の携帯から電話をかけ始めてからは、違った。


守里: …


春時: 俺は、お前が俺に対して、幼なじみの俺達に対して、隠し事をしているってことも分かってたから、その隠し事がどんなものであっても受け止めようって覚悟はあったんだよ。


守里: やっぱ、バレてた? 


春時: 前も言ったろ。お前のことはなんでも分かるって。その隠している内容は分からないけどな。


守里: そっか… 


春時: だから、その覚悟があったから、梅の、秘密に巻き込むって言葉を受け入れた。


守里: …


春時: でもな、お前の護衛だって言う人が来て、お前の姿を見て、お前がいたあの部屋を見て、そしてあの恐ろしい男を見て……正直、受け入れるんじゃなかったって後悔したよ。


守里: 春時…


春時: 防衛団とかアンチとか、訳の分からない言葉もたくさん出てきて、俺の小さい脳みそじゃ、キャパオーバーだし……何より、お前が俺の手が届かない遠くの存在になっちまったんじゃないかって思った…


守里: そんなことは…


春時: ない、ってお前は言うんだろうな。けど、俺はそう思わなかった。お前が秘密を話せるような存在に、お前の隣に立てる存在になろうって、色々とやってきたけど、今日で、お前の秘密の一部を見て聞いて、そんな気持ちが折れちまった…


守里: …


春時: …



2人の間に一寸の沈黙が訪れる。


守里が持つ、春時との記憶の中に、ここまで静かな時間はなかった。



守里: …


春時: …ふぅ……ま、そんな顔するな。


守里: …


春時: これは、ちょっと前、日向子と話す前までの、俺の気持ちなんだから笑


守里: え?日向子?


春時: あぁ。俺が気を落としているのに気づいたのか、晩飯中に日向子が話しかけてきてな。ほんと、アイツは野生の勘が働くというか、いつもは脳天気なくせしてよ笑


守里: 笑


春時: 俺に、こう言ったんだ。



「なんで浮かない顔をしてるのかは、分からないけど、悩んでるんなら、1回、自分の心の根っこの部分以外を捨てて、あとはその根っこに従って、がむしゃらに突き進め!!」



春時: ってな。なんか、普段もちょっと悩んだら、そうしてるんだってよ、日向子は。


守里: うん…


春時: で、幼なじみの言うことに従って、やってみたらなんと、お前の相棒として隣に立ちたいって気持ちが、まだ根っこにあったんだな、これが。完全に腐って折れちまったわけではなかったみたいだ。


守里: …


春時: まぁ、なんか色々と話したけど、結局俺が言いたいのは……俺はお前の相棒になりたい!だから、お前の秘密でもなんでも受け止めてやる!!ってことだよ。


守里: 春時…


春時: 笑、もちろん、俺が信用に値しないんなら、話さなくても良いんだが…でも、俺は諦めない。お前の隣に立つために、がむしゃらに突き進んでやる笑


守里: …笑、そんな心配しなくても、僕は春時を信頼してる。1番、信頼してる!


春時: っ!!…そっか笑…そりゃ嬉しいな……おっと、ちょっと待て…



そう言って、春時は守里に背を向ける。



守里: 笑、おいおい。


春時: ふぅ……よしOK。じゃ、秘密を話してくれるってことだな?


守里: うん。話すよ。


春時: おっしゃ来い!全部受け止めてやる!


守里: 笑




30分後…



春時: 防衛団…次期団長…父親…アンチ…階級…プスプス


守里: 大丈夫か?


春時: あ、あぁ…整理するのに、かなり時間が必要だろうが……にしても、秘密の質と量、共にヤバすぎ笑


守里: でしょ?僕も、最初聞いた時はびっくりしたんだから。


春時: にしても、異能力の話が1番驚いたよ。まさか、そんな漫画の世界の力が、現実にあって、お前に宿ってるなんてな。


守里: うん笑



そう、守里は異能力についても、春時に話したのだった。



春時: それで、異能については梅にも話してないんだよな?どうするんだ?俺には話したけど。


守里: 迷ってるんだよね。この異能力に関しては、知ってる人を増やすのはかなりマズいような気がするんだ。


春時: 俺は、話した方が良いと思うぞ。お前の秘密を知る仲間なんだし、口も固いし、腕も立つしな。


守里: そうだね。




5分後…



梅澤: はぁ…美月を引き剥がすの大変だった。


春時: おつかれ笑


梅澤: その様子じゃ、しっかりと話はついたんだな。


守里: うん。これで春時も秘密の共有者になったよ。


梅澤: へぇ~どうだ?笑、守里の秘密は。


春時: 処理するのに時間がかかる笑


梅澤: だろ?笑


守里: それで、香蓮を呼んだ理由なんだけど…


春時: 秘密の共有者として、さらなる守里の秘密を明かそうと思ってな笑


梅澤: は?まだ秘密があんのか?


守里: う、うん。父さんも本当に近しい人だけに話してるのかと思ってたから、前は話さなかったけど、どうやら、防衛団の上層部は知ってるみたいだし、話しても良いかなって思って。


梅澤: …あっそ。じゃあ、さっさと聞かせろ。



ということで、守里は梅澤にも、異能力についての話をした。



梅澤: なるほど。それがお前の不思議な強さの原因だったんだな。


守里: うん。


梅澤: なんかズリィ…


春時: 笑、まぁまぁそう言うな。


守里: 結構大変なんだよ。未だに、全然使いこなせてないし。


梅澤: それで、今日はボコられたのか。


守里: そういうこと。ほんと、陽芽叶さんに助けられた。


春時: 早く、使いこなせるようにならないと、これからアンチに対抗できなくなるぞ。今日見たアイツみたいなのがいるんだから。


梅澤: あぁ。アレはヤバかったな。死ぬかと思った。


守里: 今の僕じゃ、どう足掻いても勝てそうになかったね。


春時: どうするんだ?


守里: それでなんだけど、師範に稽古をつけてもらえないかな?


春時: え、じいちゃんに?


守里: ちゃんとした武術を習ったら、更なる戦力強化も見込めるし、もしかしたら、第2段階を使えるようになるかもしれないからさ。


春時: そうだな。帰ったら伝えとくよ。


梅澤: なら私はまず、若月さんに勝てるように、引き続き特訓だ。


守里: 最近はどんな感じなの?


梅澤: う~ん、10回やったら、3回は勝てるようにはなった。


守里: え、マジで?めちゃくちゃ強くなってんじゃん。


梅澤: 笑、いつかお前に追いついてやるぞ。


春時: そういうことなら、俺も負けない!


守里: 3人で強くなろう。


春時: だな!


梅澤: 笑、あぁ。



その後、守里と春時は梅澤と別れ、自分達の部屋へと戻った。

もちろん、そこでも灰崎達に何をしていたのかを聞かれたのだが、知り合いのところに行っていた、腕の怪我は転んだせいという、定番の嘘で乗り切るのだった。


そして、3班男子1との約束通り、3班男子2が持ってきたカードゲームを、全員でやりつつ、蓮花からのテレビ電話に出て、またもや腕の説明をするという感じの、ちょっと騒がしい時間を過ごし…



3班男子1: うわぁ~もう、この布団で寝るのも最後か~



電気を消し、真っ暗になった部屋で、3班男子1がそう言う。



春時: あっという間だったな笑


3班男子2: 名残惜しい。


灰崎: いや~楽しかったよ。みんなと過ごせて。


3班男子1: おいおい、これで最後みたいなこと言うなよ。もう友達だろ?修学旅行が終わっても、遊びに行こうぜ!


灰崎: お、その誘いは嬉しいな~時間があったら頼むよ笑


3班男子2: そんなこと言って、生徒会の仕事に追われてるんだろうな、灰崎君は。すぐに文化祭と生徒会選挙だし。


3班男子1: そうじゃん…灰崎、どうなんだ?


灰崎: 確かに忙しいだろうけど……笑、時間があったら連絡する。


3班男子1: おっ、よろしく!もちろん、守里と春時もだからな!


守里: はいはい笑


春時: 分かってるって笑
 

3班男子1: よっしゃ、修学旅行最終日、楽しもうぜ!


3班男子2: それは良いけど、そんなテンション上げて、寝れるの?笑


3班男子1: あ…


春時: これは、寝るのに時間がかかりそうだ笑


守里: 明日、寝坊しないようにね笑


灰崎: 起こさないでおこうかな~笑


3班男子1: 頼む!起こしてくれ!!



こうして、修学旅行3日目が終わった。




to be continued
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