ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

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第6章 修学旅行編

第205話「使用条件を忘れてはいけない」

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病院



守里: zzzz


森田: ふぅ…



ガラガラ



椎名: 守里は?


森田: 椎名さん……まだ寝ています。


椎名: そう…


森田: 紫雲和麒が言っていた、拠点の情報はどうでしたか?


椎名: 例の幹部直属の上位構成員は引きこもりさんみたいで、本当にいるかどうかは、確認できなかったけど、拠点は当たりよ。あのビルの所有者を洗って行ったら、アンチにぶち当たった。


森田: そうですか…


椎名: 皮肉なものよね。あなた達が護衛としての役割を果たせず、守里が捕まった結果、こうして京都にあるアンチの拠点を発見できたんだから。 


森田: すみません…


椎名: …やっぱり、防衛団の存在を明るみに出してはいけないってことが、守里の護衛のネックになってるわね。


森田: 言い訳をする訳ではありませんが、正直、そうです。


椎名: 今度、上層部も含めて、護衛の方法を考え直しましょう。今のままでは、今回みたいに守里を守れない事態も発生するし、本来、防衛団全体で負うべき責任が、あなた達にのしかかり過ぎてる。


森田: …


椎名: 向こうに帰ったら、ボスとの作戦会議が必須よ。あ、もちろんその時は、私も呼んでね。


森田: 分かりました。


椎名: いや~にしても、傷の治りが早い!



そう言って、守里の顔を触る椎名。



椎名: あんなにボロボロだったのに、もう傷跡がないじゃない。


森田: さすがに、左腕は時間がかかるみたいですけど。


椎名: あ…守里の護衛だから、異能のことも知ってるんだよね?確か。


森田: はい。知っています。


椎名: 良かった~機密情報を漏らしちゃったかと思ったよ笑


森田: 気をつけてください。本来、異能については、特級団員じゃないと知ることのない情報なんですから。


椎名: 分かってるって。


森田: …


椎名: その顔、信用してないな~


森田: 椎名さんは、なんというか……お喋りですから。


椎名: 確かにそうだけど~~大丈夫!


ペチ


椎名: あ。



森田の言葉に、伸びをしていた手を振り下ろしてしまった椎名は、その手の先に守里の頬があったため、軽くビンタする形になってしまった。



森田: ちょっと!


守里: ん…う~ん……あれ、ここは…


椎名: やべ、起こしちゃった!


森田: 何やってるんですか、椎名さん。


椎名: いやでも、もう起きた方が良い時間だし…


守里: ん?愛理ちゃん?それに森田さんも……あ、そっか僕は…


森田: あの建物から離れる途中で、倒れてしまったんです。


守里: そうでした……すみません、迷惑かけちゃって。


森田: いえ、それは私のセリフです。改めて、申し訳ありませんでした。


守里: 笑、さっきも言った通り、仕方の無いことでしたから……って、今何時ですか?!



暗くなった窓の外を見て、そう尋ねる守里。



椎名: 19時半だよ!!


守里: マジか……僕、どのぐらい寝てたんだろう…


森田: 2時間程です。ここの病院に来たのが、5時半ぐらいでしたから。


守里: そうですか……陽芽叶さん達は…


森田: 無事、旅館に到着したのを、矢口が見届けました。


守里: はぁ…良かった…


椎名: にしても、どうして守里はあんな状態になったの?昨日は、楽勝で倒せた相手だったんでしょ?


守里: えっと、それは…

 
椎名: ちなみに、私達は異能については知ってるし、盗聴されてないことも、人が近くにいないことも確認済みだから。


守里: そ、そうなんだ。じゃあ……異能が発動しなかったんです。


森田: 発動しなかった…ですか…


守里: はい。美月と陽芽叶さんを逃がすところまでは、発動できてたんですが、その後で異能が使えなくなっちゃって…


椎名: ふ~ん、それであんなボコボコにされたんだ。


守里: うん。なんでだったんだろう。


椎名: ねぇ、その2人を逃がした後、何を考えてた?


守里: 何を考えてたって……アンチを倒すって考えてたけど…


椎名: 笑、それがダメだったんだよ。ボスに聞いたでしょ?「解放」は、大切な人を守るためにしか使えないって。


守里: はっ!!そういうことか……僕は守る為じゃなくて、敵を倒す為に異能を使おうとしてたから、使えなかったのか。


椎名: おそらくそうでしょ。現に、伊藤陽芽叶さんが、守里の近くに来たから、守里はまた異能を発動して、アンチを倒せたんだし。


守里: あの時は…陽芽叶さんの、僕を…僕を?まぁとにかく、僕を守って!っていう言葉が、ほぼ働いていなかった頭の中に響いて、異能が発動したって感じだった。


椎名: うんうん。やっぱり、そういう感じだったんだ。ほら、私は建物の中でのことは、森田が見ている内容しか知らないから。


森田: 坊ちゃんと陽芽叶さんの居場所を、探し当てたのは、椎名さんなんですよ。


守里: あ、そうだったの?ありがとう!愛理ちゃん。


椎名: 友達だから当然!って言いたいところだけど、防衛団の団員としては、次期団長である守里をアンチから守れなかったんだから、全然良くないんだけどね。


守里: いや、結果として僕は無事だし、アンチも倒すことができたんだから、良いんだよ。改めて、ありがとう愛理ちゃん、森田さん。


椎名: そっか~笑


森田: いえ。


守里: 笑……それで、あの後…紫雲和麒はどうなったんですか?


森田: アイツの言う通りに、防衛団員全員があの場から離れたので、何が起こったのかは分かりませんでしたが、しばらくして様子を確認したところ、あの建物の中には誰もいなくなっていました。


椎名: 私も、その紫雲って奴が、あそこに来た時に、ものすごいプレッシャーを向けられて、姿を隠したから、ソイツの顔が分かんなくて、捜索のしようがないんだよ。


守里: なるほど……じゃあ、アイツが言ってたアンチの拠点の方は?


椎名: それはバッチリ確認できた!


守里: ったことは、本当にアンチの拠点があったんだ。


椎名: うん。ちゃんと作戦を立てた上で、明日の夜に乗り込むつもり。


守里: 明日の夜…僕はもう京都から離れてるか…


森田: 言ったでしょ?あとは防衛団に任せて下さいと。まぁ、私も坊ちゃんと一緒に京都を出るので、その作戦には参加しないんですけどね笑


守里: じゃあ、愛理ちゃんは?


椎名: 私はもちろん参加するよ。ただ、乗り込んでアンチと戦うのは、戦闘部の仕事だから、作戦中、私は今日みたいに、拠点の近くで情報を集めるだけ。


守里: それでも…気をつけて。


椎名: はーい笑


森田: さっ、坊ちゃん、動けますか?


守里: はい。もう問題ないです。左腕は別ですけど。


森田: 分かってます笑。もう時間も時間ですし、修学旅行に合流しましょう。


守里: いや~なんか、ものすごく行きたくないです笑


森田: 笑


椎名: え、なんで?


守里: ほら、いなくなった理由とか問い詰められるわけじゃん。何があったのかとかも。それを誤魔化さないとだし、色々と気が重いことが待ってるからね…


椎名: ふ~ん……ま、頑張って!


守里: うん笑


森田: あ、夕食どうします?予定だともう夕食の時間は…


守里: 確かに終わってますね…


椎名: じゃあ、一緒に食べよう!!


守里: 笑、了解。森田さんも一緒に食べましょう。


森田: 分かりました。では、この際ですし、京都の高級料理店へ…


守里: マジですか…めちゃくちゃ嬉しいです。


椎名: やった!!!森田の奢り?!!


森田: ゲッ……はい。それでは、矢口に車を出してもらうので、矢口も一緒でいいですよね?


守里: はい笑


椎名: 美味しいんだろうな~ルンルン



こうして、守里と椎名、森田は矢口の運転する車に乗り、予約した高級料理店で夕食を済ませた後、旅館の前で別れたのだった。




to be continued





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