ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

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第7章 文化祭編

第224話「陽芽叶の誕生日 後編」

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守里、陽芽叶、日向子、葵波、麻里の5人が裏門を出てから、およそ20分後…



陽芽叶: よし、到着。



普通の一軒家の前で、陽芽叶が止まる。



守里: ほんとに、ここが陽芽叶の家?


陽芽叶: うん。ここが、私の家。


守里: ふ~ん…


葵波: 早く入ろうぜ。


陽芽叶: そうだね。



ガチャ



陽芽叶: ただいま。


紫音: あ、おかえり~



玄関の扉を開けると、奥の扉から、高身長のイケメンが優しい顔をして出てきた。



麻里: お邪魔します、おじさん。


葵波: お邪魔しま~す。


紫音: どうぞ、どうぞ。


陽芽叶: ほら、2人も早く。


守里: うん。行くよ、日向子。


日向子: はーい!お邪魔します!!


紫音: 2人とも、よく来たね。私の事、覚えてるかな?


守里: もちろんです笑。お久しぶりです、紫音おじさん。


日向子: おっす!!


紫音: 笑、ほんと変わらないね。さ、入って。



2人は紫音に出迎えられ、陽芽叶の家の中に入り、リビングへ。



葵波: うわっ、美味しそうだな~~デザートばっかだけど。


麻里: さすがですね、おじさん。


紫音: 笑、それ程でもないよ。


陽芽叶: 私の大好物がたくさんだ!


日向子: 小さい時も、ご飯は甘い物ばっかり食べてたもんね!!


陽芽叶: そうだったかな?笑


紫音: うん。陽芽叶は昔から、デザートにばかり手をつけていたよ。ま、他で言えば、たらことかも好きだったけど。


陽芽叶: え~覚えてない。


葵波: 笑、今もこうやって、デザートの甘いヤツが大好物だって言ってる時点で、そうなんだろうなって予想できるよ。


麻里: うんうん笑



みんなが陽芽叶の大好物の話で、盛り上がっている中、守里は…



守里: …



周りからバレない程度に、家の中を見回していた。


う~ん…

普通の家だな。


やっぱり、ただの僕の思い込みで、陽芽叶は普通の女の子なのか?


お嬢様感があるって言うのもそうだけど、どこか秘密を抱えているというか、僕と同じような雰囲気を感じる時があるんだけど…

昔、僕と日向子が遊びに行っていた、陽芽叶の家は、確実に普通じゃないレベルの豪邸だったはずなんだ。


あと、父さんと日向子のお父さん…防衛団団長と警察の組織犯罪対策部の暴力団対策課の警部と、あれだけ仲が良いってことは、紫音おじさんも特別な何かがあるとしか思えない。


まさか、昔はそうだっただけで、今はそうじゃないってことはないはず…

紫音おじさんが持つ雰囲気が、昔と全く変わっていないし。



守里: …


紫音: チラッ……よし、パーティーを始めよう!陽芽叶、ここに座って。


陽芽叶: うん!


紫音: みんな、準備は良い?


「はい!」


紫音: 守里君は?


守里: 笑、もちろんOKです!


紫音: じゃあ、歌おう!せーのっ!


「Happy Birthday to you ~~♬ ♬」



全員が歌い出して、その間に紫音はキッチンの冷蔵庫へ。


そして、歌を歌い終わり…



紫音: 陽芽叶、17歳の誕生日おめでとう!!


「おめでとう!!」



ケーキを陽芽叶の前に置く。



陽芽叶: みんな、ありがとう!!


日向子: 陽芽叶ちゃん!火消さなきゃ!


陽芽叶: 笑、そうだね。いくよ、ふぅ~



パチパチパチ



紫音: チラッ


葵波: 分かりました笑。陽芽叶、誕生日おめでとう。これからも仲良くしような。



そう言って、プレゼントを渡す。



陽芽叶: ありがとう、葵波先輩。


麻里: おめでとう。


日向子: はっ!私も!!陽芽叶ちゃん、おめでとう!!


陽芽叶: みんな、ありがとう。



と、みんながプレゼントを渡して行き…



紫音: さ、守里君の番だよ。


守里: はい笑。陽芽叶、誕生日おめでとう。これからも、一緒に頑張ろう。


陽芽叶: うん!これまで以上に仲良くしようね!


ギュッ!



隣で言葉を交わしていた、陽芽叶へのプレゼントをまだ手に持ったままの守里に抱きつく。



守里: うわっ…ちょっと、やめてよ笑


陽芽叶: 別に良いじゃん、誕生日なんだし。


日向子: え~守里ズルい!私も陽芽叶ちゃんとギューする!


麻里: あぁ、そっちなんだ笑


紫音: …クッ…


葵波: 笑、もしかして、可愛い娘が取られそうで、怒っていらっしゃるんですか?ボソッ


紫音: …ま、まぁ…守里君なら許してやらんでもないがボソッ


葵波: そうですか笑(良かったですね、お嬢様。)


陽芽叶: ねぇお父さん、ご飯食べていい?


紫音: う、うん、もちろん良いよ。みんなもたくさん食べてね。


日向子: やった!!ほら、守里も席に着いて!


守里: 分かったから、急かすなって笑


葵波: おじさんは食べないんですか?


紫音: うん。私は後から食べるから、この食事の時間は子供達だけで過ごしなさい。私がいたら気を遣うだろうし。


麻里: 分かりました笑


紫音: 陽芽叶、楽しむんだよ笑


陽芽叶: うん。


紫音: じゃ、またね。



そう言って、紫音はリビングから出て行った。



陽芽叶: よし、食べよう。


日向子: 本当に紫音おじさん、一緒に食べなくて良かったのかな?


葵波: 笑、大丈夫だって。ほら、日向子、お前の好きなドーナツもあるぞ。


日向子: ドーナッツ!!


陽芽叶: 笑、いただきます!


「いただきます。」


日向子: やったー!ドーナッツ…パクッ……うまっ!!!なんだこれ、私が食べてきた中で一番美味しいかも!!


陽芽叶: え、そうなの?なら、私も食べよう~


葵波: そんな慌てて食ったら、喉に詰まらせるぞ笑


日向子: バクッバクッ…うまっ…バクッバクッ……グッ…ゴホンゴホン


陽芽叶: 大丈夫?笑


葵波: ほら、言わんこっちゃない笑


日向子: み、水~


麻里: ここにはオレンジジュースと白湯しかないよ笑


陽芽叶: え、白湯もあるの?


葵波: 日向子にはオレンジジュースを注いでやれ。にしても、こういうパーティーで白湯とは……ほんと、陽芽叶のこと好き過ぎだろ笑


陽芽叶: 笑、嬉しいけどね。


麻里: はい、どうぞ。料理は逃げないんだから、落ち着いて食べな。


日向子: ゴクンゴクン…はーい!


葵波: 飲むのも勢いすげぇ笑


陽芽叶: これぞ日向子だね~笑


守里: …



紫音おじさんの後を追えば、何か分かるかな?

いやでも、ここを抜け出すのは…



陽芽叶: 守里、食べないの?


守里: ん?ああ、いや、食べるよ笑。あまりに全部美味しそうだったから、どれから食べようか迷ってて。


陽芽叶: なんだ、そうだったのか笑。ずっと考え事してるみたいだったから心配で。


守里: ごめんごめん笑。それで、陽芽叶は何がおすすめとかある?


陽芽叶: 笑、私も食べ始めたばっかだから、それは分からないよ。


日向子: ドーナッツがおすすめ!!


陽芽叶: って、日向子は言ってるけど笑


守里: 笑、了解。ドーナツから食べる。



何考えてるんだろう、僕。

今は、陽芽叶の誕生日会なんだから、ちゃんと陽芽叶をお祝いして、今の時間を楽しまないと。


僕の疑問を解決する時間は、これからも十分にあるんだし。



守里: パクッ…あ、確かに美味しいね、これ。


日向子: でしょ?!この、シュークリームも美味い!


守里: へぇ~どれどれ…


陽芽叶: 私が、お皿に盛ってあげる!


守里: じゃあ、頼んだ笑


葵波: 笑、楽しそうでなにより。


麻里: …守里君もちゃんと楽しみ始めたみたいねボソッ


葵波: あぁ。これで問題ないだろうボソッ



こうして、5人での食事の時間が過ぎて行った。




2時間後…



日向子: ふぅ~食べた食べた。


陽芽叶: 満足した?


日向子: うん!もうお腹いっぱいだよ!!


葵波: 結局、山盛りにあったドーナツは、ほとんど日向子の胃の中だな笑


麻里: 日向子は動けるの?笑


日向子: もちろん、大丈夫!!


陽芽叶: 笑、守里、どうだった?


守里: すごく楽しかったよ。


陽芽叶: そっか、それなら良かった。


守里: 今回は、僕がおもてなしを受ける側になっちゃったから、次は陽芽叶が僕の家に来る?笑


陽芽叶: え?良いの?!


守里: もちろん。いつでも歓迎だよ。美月も桜も喜ぶだろうし。姉も1番下の妹も会ってみたいって言ってたし。


陽芽叶: やった、絶対に行くからね!


守里: 笑、待ってる。


葵波: いや~でもそれは、もうちょっと後になるんじゃないか?


麻里: そうだね。文化祭の準備にしばらくは追われるだろうし。


陽芽叶: 確かに…じゃあ、文化祭が終わった後ね!


守里: 分かった。


日向子: 分かってると思うけど、私も行くから!!


守里: 日向子の場合は、僕の許可とか関係なしに来るじゃん。なんなら、いつの間にかリビングにいることもあるし。


陽芽叶: そうなの?笑


日向子: うん!だって、守里のお家は私のお家だから!


葵波: どっかのガキ大将みたいな言葉だな笑


麻里: ほんと、仲が良いのね。


葵波: よし、そろそろ帰るか。


守里: ですね。時間も時間ですから。


陽芽叶: もうちょっと、いても良いのに笑


守里: 笑、すぐ明日も会えるじゃん。


陽芽叶: もう、そういうことじゃないの。


守里: え?


葵波: 笑、あ、ほら、陽芽叶。おじさんに連絡しないと。


陽芽叶: あぁ…あんまり連絡したくないけど、しょうがない…



そう言って、陽芽叶は携帯を操作しだした。



麻里: 全く、どれだけ守里君と一緒にいたいのよ笑


日向子: 寂しがり屋だな!陽芽叶ちゃんは!!


守里: 笑


陽芽叶: あと10分ぐらいで来るだって。


葵波: そっか。待とう。


麻里: 最後に挨拶して帰るよ。


日向子: わっかりました!!


守里: 紫音おじさんは、仕事してたのかな?


陽芽叶: 多分そうだと思う。


守里: 大変なんだね。


陽芽叶: うん。




10分後…


ガチャ



紫音: ふぅ、ごめんごめん、長引いちゃってさ。


守里: お仕事お疲れ様です。


紫音: 笑、ありがと。みんな、料理は美味しかった?


日向子: はい!!とても美味しかったです!!特にドーナッツが!!


紫音: そうかそうか笑。用意した甲斐があったよ。


葵波: 改めて、今日はありがとうございました。


「ありがとうございました!」



葵波に続き、3人も感謝を述べる。



紫音: いえいえ。こちらこそ、陽芽叶の誕生日会に来てくれて感謝だよ。ね?陽芽叶。


陽芽叶: うん!みんな、ありがとう!


葵波: 笑、ではそろそろ帰りますね。


紫音: 気をつけて帰るんだよ。


日向子: はい!!


麻里: 私達がちゃんと、送り届けます。


紫音: 頼んだ。


陽芽叶: 守里、日向子、また明日ね。


日向子: うん!バイバイ!!


守里: じゃあね、陽芽叶。



そうして、守里達は陽芽叶の家を出て、帰路に着き、守里の家に向かう道と、日向子の家に向かう道に分かれる所までやって来る。



葵波: じゃ、私達は日向子を家まで送るから、守里は1人で帰れるよな?


守里: はい笑。日向子を頼みます。


麻里: 任せといて。


日向子: 守里、バイバイ!!


守里: 笑、ちゃんと先輩達の言うことを聞くんだよ。


日向子: うん!!


葵波: またな。


麻里: 文化祭の準備、頑張ろう~


守里: はい!



日向子達の背中が遠ざかって行くのを見て、守里も1人、自分の家に向かって歩き出す。



守里: ふぅ…



やっぱり、違和感があったよな…

まず、葵波さんと麻里先輩の、陽芽叶や紫音おじさん…特に紫音おじさんに対する態度が、どこかぎこちなかった。


それとあの家。

普通の一軒家で、内装も普通の家族…まぁ、陽芽叶の所は父子家庭だけど…とにかく、そんな家庭が暮らしている感じの、ごく普通なリビングだった。


けど、あまりに普通過ぎる…

これは、僕の考え過ぎかもしれないけど、なんというか、作られた一般的な家って感じがしたんだよな。


最後に、部屋からリビングに来るまでに、10分もかかるのか?

仕事をしていて、そうなってしまった可能性も十分あるけど…なんか違う気がする。


う~ん…分からん。

あまりに情報が少ないし、僕が疑問に思っていることも、僕の直感から来てるものだからな。



守里: …よし、一旦切り替えよう。



このまま悩んでても、解決しなさそうだし、もし僕の直感が正しかったとしても、それは陽芽叶が隠そうとしていることなんだから、無理にそれを暴こうとする必要は無い。


今はとにかく、文化祭に向けて、準備を頑張ろう!


そう考えた守里は、明るく前を向いて、歩き出したのだった。




to be continued
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