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第7章 文化祭編
第224話「陽芽叶の誕生日 後編」
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守里、陽芽叶、日向子、葵波、麻里の5人が裏門を出てから、およそ20分後…
陽芽叶: よし、到着。
普通の一軒家の前で、陽芽叶が止まる。
守里: ほんとに、ここが陽芽叶の家?
陽芽叶: うん。ここが、私の家。
守里: ふ~ん…
葵波: 早く入ろうぜ。
陽芽叶: そうだね。
ガチャ
陽芽叶: ただいま。
紫音: あ、おかえり~
玄関の扉を開けると、奥の扉から、高身長のイケメンが優しい顔をして出てきた。
麻里: お邪魔します、おじさん。
葵波: お邪魔しま~す。
紫音: どうぞ、どうぞ。
陽芽叶: ほら、2人も早く。
守里: うん。行くよ、日向子。
日向子: はーい!お邪魔します!!
紫音: 2人とも、よく来たね。私の事、覚えてるかな?
守里: もちろんです笑。お久しぶりです、紫音おじさん。
日向子: おっす!!
紫音: 笑、ほんと変わらないね。さ、入って。
2人は紫音に出迎えられ、陽芽叶の家の中に入り、リビングへ。
葵波: うわっ、美味しそうだな~~デザートばっかだけど。
麻里: さすがですね、おじさん。
紫音: 笑、それ程でもないよ。
陽芽叶: 私の大好物がたくさんだ!
日向子: 小さい時も、ご飯は甘い物ばっかり食べてたもんね!!
陽芽叶: そうだったかな?笑
紫音: うん。陽芽叶は昔から、デザートにばかり手をつけていたよ。ま、他で言えば、たらことかも好きだったけど。
陽芽叶: え~覚えてない。
葵波: 笑、今もこうやって、デザートの甘いヤツが大好物だって言ってる時点で、そうなんだろうなって予想できるよ。
麻里: うんうん笑
みんなが陽芽叶の大好物の話で、盛り上がっている中、守里は…
守里: …
周りからバレない程度に、家の中を見回していた。
う~ん…
普通の家だな。
やっぱり、ただの僕の思い込みで、陽芽叶は普通の女の子なのか?
お嬢様感があるって言うのもそうだけど、どこか秘密を抱えているというか、僕と同じような雰囲気を感じる時があるんだけど…
昔、僕と日向子が遊びに行っていた、陽芽叶の家は、確実に普通じゃないレベルの豪邸だったはずなんだ。
あと、父さんと日向子のお父さん…防衛団団長と警察の組織犯罪対策部の暴力団対策課の警部と、あれだけ仲が良いってことは、紫音おじさんも特別な何かがあるとしか思えない。
まさか、昔はそうだっただけで、今はそうじゃないってことはないはず…
紫音おじさんが持つ雰囲気が、昔と全く変わっていないし。
守里: …
紫音: チラッ……よし、パーティーを始めよう!陽芽叶、ここに座って。
陽芽叶: うん!
紫音: みんな、準備は良い?
「はい!」
紫音: 守里君は?
守里: 笑、もちろんOKです!
紫音: じゃあ、歌おう!せーのっ!
「Happy Birthday to you ~~♬ ♬」
全員が歌い出して、その間に紫音はキッチンの冷蔵庫へ。
そして、歌を歌い終わり…
紫音: 陽芽叶、17歳の誕生日おめでとう!!
「おめでとう!!」
ケーキを陽芽叶の前に置く。
陽芽叶: みんな、ありがとう!!
日向子: 陽芽叶ちゃん!火消さなきゃ!
陽芽叶: 笑、そうだね。いくよ、ふぅ~
パチパチパチ
紫音: チラッ
葵波: 分かりました笑。陽芽叶、誕生日おめでとう。これからも仲良くしような。
そう言って、プレゼントを渡す。
陽芽叶: ありがとう、葵波先輩。
麻里: おめでとう。
日向子: はっ!私も!!陽芽叶ちゃん、おめでとう!!
陽芽叶: みんな、ありがとう。
と、みんながプレゼントを渡して行き…
紫音: さ、守里君の番だよ。
守里: はい笑。陽芽叶、誕生日おめでとう。これからも、一緒に頑張ろう。
陽芽叶: うん!これまで以上に仲良くしようね!
ギュッ!
隣で言葉を交わしていた、陽芽叶へのプレゼントをまだ手に持ったままの守里に抱きつく。
守里: うわっ…ちょっと、やめてよ笑
陽芽叶: 別に良いじゃん、誕生日なんだし。
日向子: え~守里ズルい!私も陽芽叶ちゃんとギューする!
麻里: あぁ、そっちなんだ笑
紫音: …クッ…
葵波: 笑、もしかして、可愛い娘が取られそうで、怒っていらっしゃるんですか?ボソッ
紫音: …ま、まぁ…守里君なら許してやらんでもないがボソッ
葵波: そうですか笑(良かったですね、お嬢様。)
陽芽叶: ねぇお父さん、ご飯食べていい?
紫音: う、うん、もちろん良いよ。みんなもたくさん食べてね。
日向子: やった!!ほら、守里も席に着いて!
守里: 分かったから、急かすなって笑
葵波: おじさんは食べないんですか?
紫音: うん。私は後から食べるから、この食事の時間は子供達だけで過ごしなさい。私がいたら気を遣うだろうし。
麻里: 分かりました笑
紫音: 陽芽叶、楽しむんだよ笑
陽芽叶: うん。
紫音: じゃ、またね。
そう言って、紫音はリビングから出て行った。
陽芽叶: よし、食べよう。
日向子: 本当に紫音おじさん、一緒に食べなくて良かったのかな?
葵波: 笑、大丈夫だって。ほら、日向子、お前の好きなドーナツもあるぞ。
日向子: ドーナッツ!!
陽芽叶: 笑、いただきます!
「いただきます。」
日向子: やったー!ドーナッツ…パクッ……うまっ!!!なんだこれ、私が食べてきた中で一番美味しいかも!!
陽芽叶: え、そうなの?なら、私も食べよう~
葵波: そんな慌てて食ったら、喉に詰まらせるぞ笑
日向子: バクッバクッ…うまっ…バクッバクッ……グッ…ゴホンゴホン
陽芽叶: 大丈夫?笑
葵波: ほら、言わんこっちゃない笑
日向子: み、水~
麻里: ここにはオレンジジュースと白湯しかないよ笑
陽芽叶: え、白湯もあるの?
葵波: 日向子にはオレンジジュースを注いでやれ。にしても、こういうパーティーで白湯とは……ほんと、陽芽叶のこと好き過ぎだろ笑
陽芽叶: 笑、嬉しいけどね。
麻里: はい、どうぞ。料理は逃げないんだから、落ち着いて食べな。
日向子: ゴクンゴクン…はーい!
葵波: 飲むのも勢いすげぇ笑
陽芽叶: これぞ日向子だね~笑
守里: …
紫音おじさんの後を追えば、何か分かるかな?
いやでも、ここを抜け出すのは…
陽芽叶: 守里、食べないの?
守里: ん?ああ、いや、食べるよ笑。あまりに全部美味しそうだったから、どれから食べようか迷ってて。
陽芽叶: なんだ、そうだったのか笑。ずっと考え事してるみたいだったから心配で。
守里: ごめんごめん笑。それで、陽芽叶は何がおすすめとかある?
陽芽叶: 笑、私も食べ始めたばっかだから、それは分からないよ。
日向子: ドーナッツがおすすめ!!
陽芽叶: って、日向子は言ってるけど笑
守里: 笑、了解。ドーナツから食べる。
何考えてるんだろう、僕。
今は、陽芽叶の誕生日会なんだから、ちゃんと陽芽叶をお祝いして、今の時間を楽しまないと。
僕の疑問を解決する時間は、これからも十分にあるんだし。
守里: パクッ…あ、確かに美味しいね、これ。
日向子: でしょ?!この、シュークリームも美味い!
守里: へぇ~どれどれ…
陽芽叶: 私が、お皿に盛ってあげる!
守里: じゃあ、頼んだ笑
葵波: 笑、楽しそうでなにより。
麻里: …守里君もちゃんと楽しみ始めたみたいねボソッ
葵波: あぁ。これで問題ないだろうボソッ
こうして、5人での食事の時間が過ぎて行った。
2時間後…
日向子: ふぅ~食べた食べた。
陽芽叶: 満足した?
日向子: うん!もうお腹いっぱいだよ!!
葵波: 結局、山盛りにあったドーナツは、ほとんど日向子の胃の中だな笑
麻里: 日向子は動けるの?笑
日向子: もちろん、大丈夫!!
陽芽叶: 笑、守里、どうだった?
守里: すごく楽しかったよ。
陽芽叶: そっか、それなら良かった。
守里: 今回は、僕がおもてなしを受ける側になっちゃったから、次は陽芽叶が僕の家に来る?笑
陽芽叶: え?良いの?!
守里: もちろん。いつでも歓迎だよ。美月も桜も喜ぶだろうし。姉も1番下の妹も会ってみたいって言ってたし。
陽芽叶: やった、絶対に行くからね!
守里: 笑、待ってる。
葵波: いや~でもそれは、もうちょっと後になるんじゃないか?
麻里: そうだね。文化祭の準備にしばらくは追われるだろうし。
陽芽叶: 確かに…じゃあ、文化祭が終わった後ね!
守里: 分かった。
日向子: 分かってると思うけど、私も行くから!!
守里: 日向子の場合は、僕の許可とか関係なしに来るじゃん。なんなら、いつの間にかリビングにいることもあるし。
陽芽叶: そうなの?笑
日向子: うん!だって、守里のお家は私のお家だから!
葵波: どっかのガキ大将みたいな言葉だな笑
麻里: ほんと、仲が良いのね。
葵波: よし、そろそろ帰るか。
守里: ですね。時間も時間ですから。
陽芽叶: もうちょっと、いても良いのに笑
守里: 笑、すぐ明日も会えるじゃん。
陽芽叶: もう、そういうことじゃないの。
守里: え?
葵波: 笑、あ、ほら、陽芽叶。おじさんに連絡しないと。
陽芽叶: あぁ…あんまり連絡したくないけど、しょうがない…
そう言って、陽芽叶は携帯を操作しだした。
麻里: 全く、どれだけ守里君と一緒にいたいのよ笑
日向子: 寂しがり屋だな!陽芽叶ちゃんは!!
守里: 笑
陽芽叶: あと10分ぐらいで来るだって。
葵波: そっか。待とう。
麻里: 最後に挨拶して帰るよ。
日向子: わっかりました!!
守里: 紫音おじさんは、仕事してたのかな?
陽芽叶: 多分そうだと思う。
守里: 大変なんだね。
陽芽叶: うん。
10分後…
ガチャ
紫音: ふぅ、ごめんごめん、長引いちゃってさ。
守里: お仕事お疲れ様です。
紫音: 笑、ありがと。みんな、料理は美味しかった?
日向子: はい!!とても美味しかったです!!特にドーナッツが!!
紫音: そうかそうか笑。用意した甲斐があったよ。
葵波: 改めて、今日はありがとうございました。
「ありがとうございました!」
葵波に続き、3人も感謝を述べる。
紫音: いえいえ。こちらこそ、陽芽叶の誕生日会に来てくれて感謝だよ。ね?陽芽叶。
陽芽叶: うん!みんな、ありがとう!
葵波: 笑、ではそろそろ帰りますね。
紫音: 気をつけて帰るんだよ。
日向子: はい!!
麻里: 私達がちゃんと、送り届けます。
紫音: 頼んだ。
陽芽叶: 守里、日向子、また明日ね。
日向子: うん!バイバイ!!
守里: じゃあね、陽芽叶。
そうして、守里達は陽芽叶の家を出て、帰路に着き、守里の家に向かう道と、日向子の家に向かう道に分かれる所までやって来る。
葵波: じゃ、私達は日向子を家まで送るから、守里は1人で帰れるよな?
守里: はい笑。日向子を頼みます。
麻里: 任せといて。
日向子: 守里、バイバイ!!
守里: 笑、ちゃんと先輩達の言うことを聞くんだよ。
日向子: うん!!
葵波: またな。
麻里: 文化祭の準備、頑張ろう~
守里: はい!
日向子達の背中が遠ざかって行くのを見て、守里も1人、自分の家に向かって歩き出す。
守里: ふぅ…
やっぱり、違和感があったよな…
まず、葵波さんと麻里先輩の、陽芽叶や紫音おじさん…特に紫音おじさんに対する態度が、どこかぎこちなかった。
それとあの家。
普通の一軒家で、内装も普通の家族…まぁ、陽芽叶の所は父子家庭だけど…とにかく、そんな家庭が暮らしている感じの、ごく普通なリビングだった。
けど、あまりに普通過ぎる…
これは、僕の考え過ぎかもしれないけど、なんというか、作られた一般的な家って感じがしたんだよな。
最後に、部屋からリビングに来るまでに、10分もかかるのか?
仕事をしていて、そうなってしまった可能性も十分あるけど…なんか違う気がする。
う~ん…分からん。
あまりに情報が少ないし、僕が疑問に思っていることも、僕の直感から来てるものだからな。
守里: …よし、一旦切り替えよう。
このまま悩んでても、解決しなさそうだし、もし僕の直感が正しかったとしても、それは陽芽叶が隠そうとしていることなんだから、無理にそれを暴こうとする必要は無い。
今はとにかく、文化祭に向けて、準備を頑張ろう!
そう考えた守里は、明るく前を向いて、歩き出したのだった。
to be continued
陽芽叶: よし、到着。
普通の一軒家の前で、陽芽叶が止まる。
守里: ほんとに、ここが陽芽叶の家?
陽芽叶: うん。ここが、私の家。
守里: ふ~ん…
葵波: 早く入ろうぜ。
陽芽叶: そうだね。
ガチャ
陽芽叶: ただいま。
紫音: あ、おかえり~
玄関の扉を開けると、奥の扉から、高身長のイケメンが優しい顔をして出てきた。
麻里: お邪魔します、おじさん。
葵波: お邪魔しま~す。
紫音: どうぞ、どうぞ。
陽芽叶: ほら、2人も早く。
守里: うん。行くよ、日向子。
日向子: はーい!お邪魔します!!
紫音: 2人とも、よく来たね。私の事、覚えてるかな?
守里: もちろんです笑。お久しぶりです、紫音おじさん。
日向子: おっす!!
紫音: 笑、ほんと変わらないね。さ、入って。
2人は紫音に出迎えられ、陽芽叶の家の中に入り、リビングへ。
葵波: うわっ、美味しそうだな~~デザートばっかだけど。
麻里: さすがですね、おじさん。
紫音: 笑、それ程でもないよ。
陽芽叶: 私の大好物がたくさんだ!
日向子: 小さい時も、ご飯は甘い物ばっかり食べてたもんね!!
陽芽叶: そうだったかな?笑
紫音: うん。陽芽叶は昔から、デザートにばかり手をつけていたよ。ま、他で言えば、たらことかも好きだったけど。
陽芽叶: え~覚えてない。
葵波: 笑、今もこうやって、デザートの甘いヤツが大好物だって言ってる時点で、そうなんだろうなって予想できるよ。
麻里: うんうん笑
みんなが陽芽叶の大好物の話で、盛り上がっている中、守里は…
守里: …
周りからバレない程度に、家の中を見回していた。
う~ん…
普通の家だな。
やっぱり、ただの僕の思い込みで、陽芽叶は普通の女の子なのか?
お嬢様感があるって言うのもそうだけど、どこか秘密を抱えているというか、僕と同じような雰囲気を感じる時があるんだけど…
昔、僕と日向子が遊びに行っていた、陽芽叶の家は、確実に普通じゃないレベルの豪邸だったはずなんだ。
あと、父さんと日向子のお父さん…防衛団団長と警察の組織犯罪対策部の暴力団対策課の警部と、あれだけ仲が良いってことは、紫音おじさんも特別な何かがあるとしか思えない。
まさか、昔はそうだっただけで、今はそうじゃないってことはないはず…
紫音おじさんが持つ雰囲気が、昔と全く変わっていないし。
守里: …
紫音: チラッ……よし、パーティーを始めよう!陽芽叶、ここに座って。
陽芽叶: うん!
紫音: みんな、準備は良い?
「はい!」
紫音: 守里君は?
守里: 笑、もちろんOKです!
紫音: じゃあ、歌おう!せーのっ!
「Happy Birthday to you ~~♬ ♬」
全員が歌い出して、その間に紫音はキッチンの冷蔵庫へ。
そして、歌を歌い終わり…
紫音: 陽芽叶、17歳の誕生日おめでとう!!
「おめでとう!!」
ケーキを陽芽叶の前に置く。
陽芽叶: みんな、ありがとう!!
日向子: 陽芽叶ちゃん!火消さなきゃ!
陽芽叶: 笑、そうだね。いくよ、ふぅ~
パチパチパチ
紫音: チラッ
葵波: 分かりました笑。陽芽叶、誕生日おめでとう。これからも仲良くしような。
そう言って、プレゼントを渡す。
陽芽叶: ありがとう、葵波先輩。
麻里: おめでとう。
日向子: はっ!私も!!陽芽叶ちゃん、おめでとう!!
陽芽叶: みんな、ありがとう。
と、みんながプレゼントを渡して行き…
紫音: さ、守里君の番だよ。
守里: はい笑。陽芽叶、誕生日おめでとう。これからも、一緒に頑張ろう。
陽芽叶: うん!これまで以上に仲良くしようね!
ギュッ!
隣で言葉を交わしていた、陽芽叶へのプレゼントをまだ手に持ったままの守里に抱きつく。
守里: うわっ…ちょっと、やめてよ笑
陽芽叶: 別に良いじゃん、誕生日なんだし。
日向子: え~守里ズルい!私も陽芽叶ちゃんとギューする!
麻里: あぁ、そっちなんだ笑
紫音: …クッ…
葵波: 笑、もしかして、可愛い娘が取られそうで、怒っていらっしゃるんですか?ボソッ
紫音: …ま、まぁ…守里君なら許してやらんでもないがボソッ
葵波: そうですか笑(良かったですね、お嬢様。)
陽芽叶: ねぇお父さん、ご飯食べていい?
紫音: う、うん、もちろん良いよ。みんなもたくさん食べてね。
日向子: やった!!ほら、守里も席に着いて!
守里: 分かったから、急かすなって笑
葵波: おじさんは食べないんですか?
紫音: うん。私は後から食べるから、この食事の時間は子供達だけで過ごしなさい。私がいたら気を遣うだろうし。
麻里: 分かりました笑
紫音: 陽芽叶、楽しむんだよ笑
陽芽叶: うん。
紫音: じゃ、またね。
そう言って、紫音はリビングから出て行った。
陽芽叶: よし、食べよう。
日向子: 本当に紫音おじさん、一緒に食べなくて良かったのかな?
葵波: 笑、大丈夫だって。ほら、日向子、お前の好きなドーナツもあるぞ。
日向子: ドーナッツ!!
陽芽叶: 笑、いただきます!
「いただきます。」
日向子: やったー!ドーナッツ…パクッ……うまっ!!!なんだこれ、私が食べてきた中で一番美味しいかも!!
陽芽叶: え、そうなの?なら、私も食べよう~
葵波: そんな慌てて食ったら、喉に詰まらせるぞ笑
日向子: バクッバクッ…うまっ…バクッバクッ……グッ…ゴホンゴホン
陽芽叶: 大丈夫?笑
葵波: ほら、言わんこっちゃない笑
日向子: み、水~
麻里: ここにはオレンジジュースと白湯しかないよ笑
陽芽叶: え、白湯もあるの?
葵波: 日向子にはオレンジジュースを注いでやれ。にしても、こういうパーティーで白湯とは……ほんと、陽芽叶のこと好き過ぎだろ笑
陽芽叶: 笑、嬉しいけどね。
麻里: はい、どうぞ。料理は逃げないんだから、落ち着いて食べな。
日向子: ゴクンゴクン…はーい!
葵波: 飲むのも勢いすげぇ笑
陽芽叶: これぞ日向子だね~笑
守里: …
紫音おじさんの後を追えば、何か分かるかな?
いやでも、ここを抜け出すのは…
陽芽叶: 守里、食べないの?
守里: ん?ああ、いや、食べるよ笑。あまりに全部美味しそうだったから、どれから食べようか迷ってて。
陽芽叶: なんだ、そうだったのか笑。ずっと考え事してるみたいだったから心配で。
守里: ごめんごめん笑。それで、陽芽叶は何がおすすめとかある?
陽芽叶: 笑、私も食べ始めたばっかだから、それは分からないよ。
日向子: ドーナッツがおすすめ!!
陽芽叶: って、日向子は言ってるけど笑
守里: 笑、了解。ドーナツから食べる。
何考えてるんだろう、僕。
今は、陽芽叶の誕生日会なんだから、ちゃんと陽芽叶をお祝いして、今の時間を楽しまないと。
僕の疑問を解決する時間は、これからも十分にあるんだし。
守里: パクッ…あ、確かに美味しいね、これ。
日向子: でしょ?!この、シュークリームも美味い!
守里: へぇ~どれどれ…
陽芽叶: 私が、お皿に盛ってあげる!
守里: じゃあ、頼んだ笑
葵波: 笑、楽しそうでなにより。
麻里: …守里君もちゃんと楽しみ始めたみたいねボソッ
葵波: あぁ。これで問題ないだろうボソッ
こうして、5人での食事の時間が過ぎて行った。
2時間後…
日向子: ふぅ~食べた食べた。
陽芽叶: 満足した?
日向子: うん!もうお腹いっぱいだよ!!
葵波: 結局、山盛りにあったドーナツは、ほとんど日向子の胃の中だな笑
麻里: 日向子は動けるの?笑
日向子: もちろん、大丈夫!!
陽芽叶: 笑、守里、どうだった?
守里: すごく楽しかったよ。
陽芽叶: そっか、それなら良かった。
守里: 今回は、僕がおもてなしを受ける側になっちゃったから、次は陽芽叶が僕の家に来る?笑
陽芽叶: え?良いの?!
守里: もちろん。いつでも歓迎だよ。美月も桜も喜ぶだろうし。姉も1番下の妹も会ってみたいって言ってたし。
陽芽叶: やった、絶対に行くからね!
守里: 笑、待ってる。
葵波: いや~でもそれは、もうちょっと後になるんじゃないか?
麻里: そうだね。文化祭の準備にしばらくは追われるだろうし。
陽芽叶: 確かに…じゃあ、文化祭が終わった後ね!
守里: 分かった。
日向子: 分かってると思うけど、私も行くから!!
守里: 日向子の場合は、僕の許可とか関係なしに来るじゃん。なんなら、いつの間にかリビングにいることもあるし。
陽芽叶: そうなの?笑
日向子: うん!だって、守里のお家は私のお家だから!
葵波: どっかのガキ大将みたいな言葉だな笑
麻里: ほんと、仲が良いのね。
葵波: よし、そろそろ帰るか。
守里: ですね。時間も時間ですから。
陽芽叶: もうちょっと、いても良いのに笑
守里: 笑、すぐ明日も会えるじゃん。
陽芽叶: もう、そういうことじゃないの。
守里: え?
葵波: 笑、あ、ほら、陽芽叶。おじさんに連絡しないと。
陽芽叶: あぁ…あんまり連絡したくないけど、しょうがない…
そう言って、陽芽叶は携帯を操作しだした。
麻里: 全く、どれだけ守里君と一緒にいたいのよ笑
日向子: 寂しがり屋だな!陽芽叶ちゃんは!!
守里: 笑
陽芽叶: あと10分ぐらいで来るだって。
葵波: そっか。待とう。
麻里: 最後に挨拶して帰るよ。
日向子: わっかりました!!
守里: 紫音おじさんは、仕事してたのかな?
陽芽叶: 多分そうだと思う。
守里: 大変なんだね。
陽芽叶: うん。
10分後…
ガチャ
紫音: ふぅ、ごめんごめん、長引いちゃってさ。
守里: お仕事お疲れ様です。
紫音: 笑、ありがと。みんな、料理は美味しかった?
日向子: はい!!とても美味しかったです!!特にドーナッツが!!
紫音: そうかそうか笑。用意した甲斐があったよ。
葵波: 改めて、今日はありがとうございました。
「ありがとうございました!」
葵波に続き、3人も感謝を述べる。
紫音: いえいえ。こちらこそ、陽芽叶の誕生日会に来てくれて感謝だよ。ね?陽芽叶。
陽芽叶: うん!みんな、ありがとう!
葵波: 笑、ではそろそろ帰りますね。
紫音: 気をつけて帰るんだよ。
日向子: はい!!
麻里: 私達がちゃんと、送り届けます。
紫音: 頼んだ。
陽芽叶: 守里、日向子、また明日ね。
日向子: うん!バイバイ!!
守里: じゃあね、陽芽叶。
そうして、守里達は陽芽叶の家を出て、帰路に着き、守里の家に向かう道と、日向子の家に向かう道に分かれる所までやって来る。
葵波: じゃ、私達は日向子を家まで送るから、守里は1人で帰れるよな?
守里: はい笑。日向子を頼みます。
麻里: 任せといて。
日向子: 守里、バイバイ!!
守里: 笑、ちゃんと先輩達の言うことを聞くんだよ。
日向子: うん!!
葵波: またな。
麻里: 文化祭の準備、頑張ろう~
守里: はい!
日向子達の背中が遠ざかって行くのを見て、守里も1人、自分の家に向かって歩き出す。
守里: ふぅ…
やっぱり、違和感があったよな…
まず、葵波さんと麻里先輩の、陽芽叶や紫音おじさん…特に紫音おじさんに対する態度が、どこかぎこちなかった。
それとあの家。
普通の一軒家で、内装も普通の家族…まぁ、陽芽叶の所は父子家庭だけど…とにかく、そんな家庭が暮らしている感じの、ごく普通なリビングだった。
けど、あまりに普通過ぎる…
これは、僕の考え過ぎかもしれないけど、なんというか、作られた一般的な家って感じがしたんだよな。
最後に、部屋からリビングに来るまでに、10分もかかるのか?
仕事をしていて、そうなってしまった可能性も十分あるけど…なんか違う気がする。
う~ん…分からん。
あまりに情報が少ないし、僕が疑問に思っていることも、僕の直感から来てるものだからな。
守里: …よし、一旦切り替えよう。
このまま悩んでても、解決しなさそうだし、もし僕の直感が正しかったとしても、それは陽芽叶が隠そうとしていることなんだから、無理にそれを暴こうとする必要は無い。
今はとにかく、文化祭に向けて、準備を頑張ろう!
そう考えた守里は、明るく前を向いて、歩き出したのだった。
to be continued
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