ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

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第7章 文化祭編

第225話「生徒会との会食、再び」

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能高全体が、活気に満ち溢れる中、守里達も文化祭に向けての準備を進め、とうとう文化祭まで残り5日というところまで来ていた。


昼休み


生徒会室



櫻宮: さ、食べよっか。


七星: せやな。


倉田: いただきます。


鹿川: いっただっきまーす!!


中谷: 笑、元気過ぎ。


灰崎: いつものことですよ。ほら、森崎君も。


守里: うん……で、なんでまた、僕を呼んだんですか?



クラスの皆が、昼休み中も文化祭に向けて動いており、守里も早く昼食を食べて、それを手伝おうと思っていたのだが、再び生徒会室に呼ばれていた。



櫻宮: 笑、また同じやり取りになるけど、守里だったら予想ついてるんじゃないの?


守里: …つい昨日、体育館を完成させて、麻里先輩からも仕事終了の言葉を貰えたんです。なのに、また僕に仕事を振る気ですか!


櫻宮: 笑、う~ん、そうかもね。


七星: でも、そんなこと言って、まだ余裕あるんやないの?守里は。


守里: 全くもってないです。クラスの方の準備も手伝わないとですし。


七星: 守里達のとこは、内装は完成、衣装も人数分用意でき、メニューも決まって、必要な食材の仕入れも準備ができた。つまり、残るはリハを重ねるだけや。


守里: な、なんでそれを…


七星: うちには妹がおんねん。


守里: 祐希め…よくも…


七星: フッ笑、詰めが甘いで。


中谷: なんでこんなシリアス展開なの笑


灰崎: 幼なじみのノリってヤツじゃないですか?


七星: それに、守里の場合、あそこでバイトしてるんやから、キッチン担当になってもホール担当になっても問題ないはず。よって、守里はこれから文化祭までの時間、余裕が増えるはずやんな?


守里: …


七星: その顔…図星やろ笑


守里: クソッ…


櫻宮: ほんと、楽しそうだね~


鹿川: 私も混ざりたいです!!


倉田: はぁ……そろそろ終わりにしません?森崎君も可哀想ですし。


守里: え?


七星: もうちょっとやらせてや、桃ちゃん。


倉田: 安心してください、森崎君。今回呼び出したのは、文化祭の準備期間に新しい仕事を任せるためではありません。


守里: ま、マジですか?


倉田: はい。マジです。


鹿川: 大マジだよ!!!


守里: はぁ~良かった~



生徒会室に呼ばれた直後から、新たな仕事をやらされるのでは、という不安に襲われていた守里だったが、倉田の一言で、一気に安心が押し寄せ、空を見上げた。



灰崎: 笑、相当プレッシャーがかかってたみたいだね。


守里: うん。もう怖くて怖くて。


櫻宮 七星 中谷: ニヤニヤ



そして、再び正面を見た時に、3年生のニヤニヤした顔と、灰崎と倉田の苦笑いが目に入り込む。



守里: えっと…どうしたんですか?


中谷: あれ、さっき桃ちゃんが言ったことに、違和感を感じなかった?笑


守里: え?


中谷: もう一度、桃ちゃんが言ったことを思い出してみて笑


守里: …今回呼び出したのは、文化祭の準備……新しい仕事を任せるためではありません、でしたよね。もう、何言ってるんですか、中谷先輩。ほら、さっさとお昼ご飯を食べて、教室に戻りましょうよ。


七星: 笑、気づいたのに、気づかないふりをするとは、悪いヤツやな。


守里: …こんな普通の男子高校生に、大量の仕事を与えようとする人達の方が、悪いヤツですよ。世間一般的には。


櫻宮: 普通の男子高校生?笑、誰が。


守里: 僕が。


櫻宮: え?みんな、どう思う?


中谷: まぁ、守里君は普通の男子高校生では、無いよね。


鹿川: はーい!私もそう思いまーす!


七星: 同じく。


灰崎: 味方したいところだけど、僕も先輩達派かな笑


倉田: さすがに、それはないです。


守里: 灰崎君と倉田さんまで……とうとう、僕の味方はいなくなってしまった…


櫻宮: 笑、そんなに絶望した顔をしないの。


七星: せやせや、文化祭中に守里に生徒会の手伝いとして、やってもらいたいことは、2つしかないんやから。


守里: その2つが、えげつないレベルの仕事の可能性も、捨てきれません。


櫻宮: まぁまぁ、とにかく内容を聞いてよ。


守里: …どうぞ。


櫻宮: 笑、まずは、この前も言ったICFカードなんだけど、あれの準備が色々と終わって、明日から各模擬店にカードリーダーを設置していくことになってる。


守里: もう学校に全部あるんですか?


櫻宮: うん。必要な分より少し多いぐらいの、カード本体もカードリーダーも、チャージ機も払い戻し機も、あとカード登録用の機械も、既に、ここの下の倉庫に搬入されてる。


七星: 昨日の朝早くに、運んでもらったばっかりやねん。


守里: へぇ~


櫻宮: で、誰名義のICFカードにどれだけお金がチャージされて、それがどれだけ使われたか、みたいなお金の移動に関する情報と、カードに登録した名前とかメールアドレスといった個人情報を、1つのコンピュータに収集させて、管理するようにしたの。


七星: つまり、ICFカードに登録された個人情報とお金の移動の履歴は、そのコンピュータにしか記録が残らんってことや。


守里: それは、情報漏洩を防ぐためですか?


櫻宮: うん。私達は今回の能高文化祭における、個人情報とお金の移動に関する情報の漏洩を防ぐために、そうするべきだと考えた。


守里: なるほど……そのコンピュータのハッキング対策は?


櫻宮: 笑、ちゃんとやってる。セキュリティ強度は、うちのデータベースと同等…ま、最高クラスってとこ。


守里: だったら安心ですけど…なんでそんなことを、わざわざ僕に話したんですか?普通の生徒の耳には、入らないような話ですよね?


櫻宮: うん。この話は、生徒の中だと、ここにいる生徒会役員と各委員長、あと守里しか知らない。


守里: は?


七星: 思ったより少なくて、びっくりしたか?笑


守里: そりゃそうですよ!話の途中で薄々感じてましたけど、なんでそんな機密事項を僕に…


櫻宮: 笑、最後まで聞いて。


守里: …はい。


櫻宮: そのコンピュータが設置される場所は、実習校舎の4階。ちなみに、文化祭当日は実習校舎の3階から上は閉鎖される。


守里: 実習校舎の4階…


櫻宮: そして、ここからが本題なんだけど、そのコンピュータは、ICFカードの管理を全部請け負ってるわけ。


守里: …


櫻宮: で、さっきも言った通り、そのコンピュータは外からの攻撃には強いけど、もし、直接ウイルスを流し込まれたり、破壊されたりすれば、ICFカードは使えなくなる。


守里: そうなれば、大問題ですね。


櫻宮: だから、文化祭中のそのコンピュータのある部屋の見張りは、信頼のある先生方がやってくれるんだけど…


七星: 一応、守里にその情報を伝えて、気にかけてもらっとこうってわけや。


守里: うん、そこが分からないです。



櫻宮と七星の言葉に、守里はすぐに自分の疑問をぶつける。



櫻宮: それは、守里が信用できる人物であり、賢く腕っ節も相当ある人物だから。


七星: 要するに、いざとなった時に、動ける人を作っておきたかったんよ。


守里: いざとなった時って…各委員長もいるし、なんなら先生も見張りについてるんですから、そんなことはないでしょ。


七星: ほんとにそんなこと断言できるか?


守里: …


櫻宮: 未来は何が起こるか分からない。だから、予め対策をしておく必要があるの。


守里: それなら、各委員長達だけでも十分だったんじゃ?


櫻宮: まず各委員長達には、学校のシステム上、情報を共有しないといけないから伝えただけで、こちらとしては、守里と同じような意図を持って情報を伝えたわけじゃないの。


守里: 各委員長達は、そのいざとなった時に動かない、と?


櫻宮: いや、動けるのなら動いて欲しいよ。でも、守里も知ってる通り、あの子達は、各委員会プレゼンツの企画に付きっきりになるから、確実にどうしても動けないって場合が出てくる。


守里: …僕は使い勝手の良い駒ってことですか。


倉田: っ!そんなことは決して…


七星: ま、悪く言えばそうやな。けど、良く言えば、生徒の中では、1番に生徒会と委員長達に信用され、認められている人物ってことになる。


中谷: ちなみに、守里君が選ばれたのは、生徒会役員と各委員長達の会議の結果だからね。


守里: …その会議の中で、自然に僕の名前が上がるようなことは、ないと思います。


櫻宮: そんなことは…


守里: 名前を出したのは、七星さんですか?



真っ直ぐに、七星の目を見て言う。



櫻宮: いや、なぁちゃんだけじゃなくて、私達も、ね?


中谷: うんうん。


七星: みんな、嘘はつかんでええよ。せや。守里の言う通り、なながその会議で、守里の名前を出して、予めコンピュータのことを教えることで、万が一の場合に動かせる人物に無理やり任命したんや。


守里: なんでそんなことを?


七星: さっきも言うたやろ。ななが1番信用しとるのが、守里やから。なぁ守里。ななのこの信用を受け取ってくれんか?


守里: …この仕事には大きな責任が伴います。それを分かっていて、僕にその信用を受け取らせるんですか?


七星: うん。ななは、小さい頃から守里を見てきたんや。このぐらい楽勝に決まっとる笑



その笑顔を見て守里は、一瞬だけ目を伏せ、そして…



守里: …はぁ…しょうがないです。今回は七星さんの顔に免じて、快くやらせていただきます笑


七星: 笑、やらせていただくもなんも、この話を聞いた時点で、仕事放棄はできんよ。


守里: 僕が前向きに取り組むかどうかの話です。


七星: 守里は、与えられた仕事はちゃんとこなす人って分かっとるで笑


守里: …ほんと敵いません。七星さんには。


七星: せやろ笑



そうして、幼なじみの2人は笑い合うのであった。




to be continued



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