ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

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第7章 文化祭編

第244話「追いかけっこの始まり」

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第1体育館



ガラガラ



守里: 櫻宮さんは……あ、いた。


櫻宮: お。



扉を開き、人がほとんどいない体育館を見回した守里は、ステージの上に立っている櫻宮を発見し、素早くステージに上がって、櫻宮の隣へ。



櫻宮: 守里じゃん。どしたの?


守里: どしたの?じゃないですよ。なんてことしてくれたんですか!


櫻宮: 笑、そう、かっかしないでよ。


守里: かっかしますよ!だって、このおもちゃが…


櫻宮: ちょっ、こんなとこで出さないの!


守里: あ、ごめんなさい。


櫻宮: 全く。まぁ、もうそろそろ、守里が持ってるって気づく人もいるだろうし。


守里: ヒントが抽象的過ぎて、分かる人なんかいないんじゃ…


櫻宮: 気づく人は気づくよ。なんなら、韋駄天に関しては、体育委員会の企画のところで、守里がそう紹介されてるわけだし、前半の意味が分からなくても、守里が持ってるかも、って思うはずだよ。


守里: え?


櫻宮: あぁ、まだ体育委員会のとこに行ってなかったのか。あそこは、能高のトップ成績にチャレンジっていう企画をやってるんだけど、そこで、守里が50m走で1番速い人…能高の韋駄天って紹介されてるの笑


守里: 聞いてないです。


櫻宮: 笑、文句は大我に言いな。


守里: はぁ……その紹介文を見た人は、すぐに僕を追ってくるってことですね。


櫻宮: うん。でも、守里なら捕まらないでしょ?笑


守里: ガチで逃げないとなんですか?


櫻宮: 当たり前よ。協力してもらってる人達は、みんな本気で取り組んでくれてるんだから。守里だけが本気じゃないとか…ね笑


守里: …ちなみに、その他の協力者って?


櫻宮: う~ん、ま、別に守里には言っても良いか。その代わり、他の人に言ったらダメだよ。


守里: 分かってます。


櫻宮: 青の宝石は、絢音が出す問題に3回連続で正解しないとゲットできないし、緑の宝石は、ザキさんとのクイズ勝負に5回中3回勝たないといけない。ま、直接的に関わってるのは、こんなところ。


守里: うわぁ…激ムズじゃないですか。


櫻宮: 笑、これと同じぐらいに、守里を捕まえるのは難しいって考えたから、守里に赤の宝石を任せたんだよ。


守里: …頑張ります。


櫻宮: 笑、学校内であれば、走り回るも隠れるも自由だから。できるだけ、捕まらないでね。


守里: もし、逃げ切った場合は?


櫻宮: そうだな~~景品を、守里にあげる。


守里: 分かりました。


櫻宮: なら、早くここを出て行った方が良いよ。そろそろ、ヒントが欲しい生徒達が、私のところに押しかけて来そうだし。


守里: なるほど。では、いってきます。


櫻宮: うん。いってらっしゃ~い笑



ステージの上の櫻宮に見送られ、守里は第1体育館を出た。




一方その頃、赤い宝石を狙う人達は…


特別教室校舎3階



飛香: 恋愛成就の赤い宝石…混沌…


日向子: う~ん、なんだろうな~~あ!美月ちゃん!


飛香: ん?


美月: あれ、飛香と日向子じゃん。こんなとこで、何してんの?


日向子: お化け屋敷の帰り!


飛香: その帰りに、宝探しゲームの放送を聞いて、宝石の場所を考えてる最中。


美月: 笑、やっぱり飛香もだったか。


飛香: ってことは、美月も?


美月: うん。これから、香蓮と見回りだから、それをしつつ、赤の宝石を探そうかなっと。


日向子: あぁ!それで、お化け屋敷に梅ちゃんを迎えに来たんだね!


梅澤: 私がどうした?



3人が話していると、お化け屋敷の入口から、お化けメイクを落とし、制服に着替えた梅澤が出てくる。



日向子: 梅ちゃん!お化け良かったよ!


梅澤: 笑、それなら良かった。


飛香: まぁでも、もうちょっとメイクを濃くするべきかな。あれじゃあ、梅が持つ圧で脅かしてるだけだし笑


梅澤: …脅かせれば良いんだよ。で?みんな集まってどうしたんだ?


日向子: 宝探しゲーム中!


梅澤: 今さっき、放送で色々言ってたヤツか。


日向子: うん!赤の宝石を探すの!


梅澤: へぇ~


美月: 香蓮。私達も、見回りしながら探すからね。赤の宝石。


梅澤: え、マジ?


美月: 大マジ。絶対に、私が赤の宝石を手に入れて、某テーマパークのペアチケットを手に入れるんだから!


梅澤: それ、そのゲームの景品?随分と太っ腹だな笑。さすが生徒会。


美月: あと、赤い宝石は恋愛成就の力も持ってるみたいだから、それを持ちつつ、守里とテーマパークに行く!


梅澤: ほぉ笑、なるほど。ってことは?



何故ここまで美月のテンションが上がっているのかを理解した梅澤は、笑みを浮かべながら、飛香の方を見る。



飛香: …私だって、絶対に負けない。


美月: 笑、望むところよ!


梅澤: めちゃくちゃ面白い展開だな。それに、この2人がこんな感じということは、他のヤツらも…




第2体育館



紗耶: さぁちゃん!急いで!!


菊山: 分かったから、ちょっと待って。おばあちゃんの格好は、元に戻るのに時間がかかるんだから……ってか、あの場所のヒントは分かったの?


紗耶: もちろん、全く!だから、解けそうな人に聞きに行く!


菊山: 誰?


紗耶: 飛香先輩か、美月先輩。


菊山: うん、絶対に2人とも教えてくれないよ。たとえ、答えを分かってても。


紗耶: …確かに……じゃ、じゃあ!守里先輩!


菊山: まぁ、良いんじゃない?宝石を手に入れた暁には、どっちにしろ、テーマパークに一緒に行きましょうって、先輩を誘わないとなんだから、今のうちから行動を共にしておくことは……


紗耶: ///そ、そっか…守里先輩を誘わなきゃ行けないんだ…


菊山: …はぁ…もうちょっと待ってて、すぐに着替えるから。まずは、守里先輩のところに行くよ。


紗耶: う、うん…




教室校舎

1階


ガラガラ!!



珠美: 行くよ!優太!!


新里: 赤の宝石?


珠美: もちろん!守里先輩と、テーマパークに行く!


新里: やっぱりか…


珠美: 探すの手伝って!


新里: まぁ、それは良いんだけどさ……


珠美: 良いんだけど、なに?


新里: …いや…//なんでもない…


珠美: ?


新里: よし、場所のヒントを考えつつ、校内を歩き回ってみよう。


珠美: うん!


新里: 確か、ヒントは、混沌の台風の中心にいる韋駄天が握る…


珠美: 韋駄天って、どういう意味なの?


新里: 足が速い人ってことだったと思う。でも、足が速い人なんて、たくさんいるんじゃ…


珠美: 足が速いと言えば、守里先輩じゃない?


新里: うん、確かに守里先輩は、めちゃくちゃ足が速いけど、他にも速い人は…


珠美: 今のところ、それしか分かんないんだから、守里先輩のとこに行ってみよう!


新里: 笑、了解。まずは、守里先輩を探そう。


珠美: レッツゴー!!!




2階



陽芽叶: う~ん…


春時: あ、陽芽叶。もしかして、赤い宝石を探し中か?笑


陽芽叶: そうだよ。春時は、今から1組のホールでしょ?


春時: おう。執事になってくる。


陽芽叶: 笑、格好だけは、もう執事だけどね。


春時: 笑……飛香と日向子、それに美月や紗耶、珠美も狙ってるだろうから、そっちも頑張れよ。


陽芽叶: うん。負けるつもりはない。


春時: そっか笑。じゃ、行くわ。


陽芽叶: 頑張って~



そうして、春時は1組の教室に入って行った。



陽芽叶: …よし。



プルルルル

ピ



陽芽叶 T: あ、葵波?


葵波 T: ちょっと待ってくださいね……はい、もう大丈夫です。それで、なんの御用件ですか?


陽芽叶 T: 赤の宝石を誰が持ってるか、分かる?


葵波 T: 今やってる、生徒会のヤツですか。残念ながら、私も聞かされてないです。


陽芽叶 T: そう。麻里も同じかな?


葵波 T: はい、おそらく。生徒会役員と、その協力者しか知らないと思います。


陽芽叶 T: 分かった。


葵波 T: あ、でも、場所のヒントを考えるのは、手伝えます!


陽芽叶 T: 笑、よろしく。混沌が指しているものと、韋駄天が誰のことを言ってるのか、が分かれば良いんだけど…


葵波 T: う~ん…あ、韋駄天と言えば、確か…


陽芽叶 T: 心当たりがあるの?


葵波 T: はい…



特別教室校舎3階



美月: それにしても、ヒントが抽象的だよね。混沌とか、韋駄天とか。


日向子: どういう意味なのかな?!


飛香: 混沌が示すものと、韋駄天が誰なのか…


梅澤: ん?韋駄天?


美月: 香蓮、どうかした?


梅澤: いや、韋駄天って文字を、昨日学校で見たような…


美月: なに?!どこ!!


飛香: 教えて!



2人が、梅澤の体を掴む。



梅澤: ちょっ、落ち着け!…えっと……あ、第3グラウンドだ。


日向子: 第3グラウンドだね!早速…


飛香: 待って、日向子。第3グラウンドのどこで見たの?


梅澤: う~ん…


美月: 香蓮、頑張って!


日向子: 頑張れ!!!


梅澤: そうだ!50m走のとこだ!誰かが、能高の韋駄天だって、紹介されてたんだよ。


日向子: 能高の韋駄天?


美月: その誰が、紹介されてたかは、覚えてない?


梅澤: あぁ。そんなじっくり見てたわけでもなかったし。ごめん。


美月: いや、十分だよ。ありがとう。


飛香: 能高の韋駄天…そう紹介されてたってことは、能高で1番足が速い人……え?あ、いや、まさか…


美月: 3年生の誰かってこと?


日向子: あぁ~韋駄天って、足が速い人って意味なんだ。それだったら、能高で1番足が速い人は…


飛香: 守里…


日向子: 守里だよ!!


葵波 T: 守里です。



3人が、同じタイミングで、その言葉を発した。



美月: え?守里なの?


日向子: うん!3年生よりも速いんだよ!!


飛香: 確かに、改めて考えたら、守里のあの焦り具合は、自分が赤の宝石を持ってたからだったのか…


梅澤: じゃあ、守里を捕まえれば、赤の宝石をゲットできるってこと?


飛香: うん。


美月: 守里を探さないと!!


梅澤: 一応、電話かけてみたら?


日向子: 私がかける!


飛香: この推測が当たってるなら、絶対に出ないだろうけど…


日向子: なんで出ないの?!!


美月: ってことは、マジっぽいね。


飛香: 守里を探す。バイバイ。


美月: うん。協力はここまで。これからは、どっちが先に守里を捕まえられるか、勝負だよ!


飛香: 笑、負けない。日向子、行こ。


日向子: うん!!!


美月: 香蓮、私達も。


梅澤: あぁ。




教室校舎1階



陽芽叶 T: 守里が、韋駄天って紹介されてたのね。


葵波 T: はい。なので、赤の宝石は守里が持ってる可能性が高いと思います。


陽芽叶 T: 分かった。ありがとう。早速、探してみるよ。


葵波 T: はい。こちらの仕事が終わり次第、私もお手伝いさせていただきますので。


陽芽叶 T: うん。じゃ。



ピ



陽芽叶: ふぅ……守里を探さないと。



こうして、赤の宝石を…守里とのデートを狙う女達が、他の赤の宝石を狙っている人達に比べ、いち早く、守里を探し始めるのだった。




to be continued
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