ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

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第7章 文化祭編

第247話「陽芽叶vs守里」

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守里: ふぅ…ふぅ…


美月: 待て~!!


日向子: 守里!!!


梅澤: 飛香、大丈夫か?笑


飛香: え、あ、うん…



ダダダダダダダダダダ



後ろに多くの人を連れながら、守里は走り続ける。


いや、マジでどうする?


こんなに後ろにいたら、余計に目立ってどんどん人が増えてくぞ。

さすがに、完全に囲まれたら逃げようがないから、人が集まり過ぎるのはな…


と、考えつつ、どうにか今の状況を切り抜けられる手立てがないか、周りを見ながら走っていると…



「守里!こっち!」



大人数の足音が聞こえる中で、聴力が強化されている守里にしか聞こえない音量で、守里を呼ぶ声が聞こえる。


向こうの曲がり角……実習校舎の方からか?



「ここなら隠れられる!」



さすがに、誰の声かまでは分からないけど…

こんな状況だ。


信じるしかない!


地面を思いっきり蹴って、直角に曲がる。



美月: え?


日向子: こっちか!!



ガラガラ


突然、守里が方向を変えたことに驚きつつも、それに反応し、日向子達もそっちの方に体の向きを変えたが…



美月: あれ?


日向子: 守里がいなくなった!!



「ほんとだ、いない。」


「いや、絶対にこの辺にいるだろ。」


「探そうぜ!」



美月: どこに行ったの~!!


日向子: 守里~!!!


梅澤: こんなことあるか?普通。なぁ?飛香…


飛香: ゼェゼェゼェ…


梅澤: おぉ…そりゃキツかったな笑



こうして、実習校舎の外で、守里の捜索が始まるのだった。


一方、姿を消した守里は…



守里: ふぅ……ほんと、助かったよ、陽芽叶。


陽芽叶: ううん。助けるのは、当然だよ笑


守里: ありがと。でも、よく僕が来るって分かったね。


陽芽叶: う~ん…女の勘?笑


守里: すご笑



そう、守里を呼んでいた声の主は、陽芽叶だったのだ。

守里が直角に曲がったその先には、開いた窓から顔を覗かせていた陽芽叶がいて、その窓から実習校舎の中に、守里は飛び込み、陽芽叶がその窓を閉めたことで、突然守里が消えるという現象が起こったのだった。



陽芽叶: 疲れただろうから、ここで少し休んで行ったら?


守里: いや…


陽芽叶: ここなら、人にも見つかりにくいし、制限時間までゆっくりと…


守里: ん?制限時間?


陽芽叶: ……


ガシッ


守里: え?


陽芽叶: ねぇ、守里。


守里: な、なに?


陽芽叶: ちょっとそのまま、止まっといて。


守里: あ、いや、それはちょっとできないか…


??1: 笑、強制的に止めさせてもらうよ。


ガシッ



真後ろから肩を掴まれる。



??2: 2人がかりなら、馬鹿力の守里も止められるでしょ笑


ガシッ



陽芽叶が掴んでいる腕とは、逆の腕も掴まれる。



守里: っ!!


陽芽叶: ナイスタイミングです。先輩方。


守里: 葵波さんに、愛衣さんまで…



自分の肩と腕を掴んだ人物が誰か確認するために、後ろを振り返ると、そこには風紀委員3年の伊藤葵波と渡辺愛衣がいた。



葵波: 遅くなったね、陽芽叶。


陽芽叶: 全然、大丈夫ですよ。こうして、このタイミングには間に合ってますし。


愛衣: 私もついてきちゃったけど、良かったかな?


陽芽叶: はい笑。本当にありがとうございます。


守里: あ、あの~手を離してもらっても?


葵波: う~ん…無理笑


愛衣: 葵波もこう言ってるし、何より、こうしていることが、可愛い後輩の頼みみたいだから笑


陽芽叶: ってことで、守里。諦めて、赤の宝石をちょうだい?笑



にっこりとした笑顔で、しっかりと視線を合わせながら、そう言ってくる陽芽叶。


陽芽叶の笑顔は可愛いけど…

なんか今だけは、めちゃくちゃ怖い!!



守里: ど、どうすれば…


葵波: この状況を切り抜けられるってんなら、是非やってみてほしいね~笑


愛衣: 私達の力試しも兼ねて笑


陽芽叶: ちょっと、先輩方。余計な挑発はやめてください。それで守里が躍起になったらどうするんですか?!


葵波: おっと、ごめんごめん。


愛衣: そうだね笑。私達にとっては、守里が抵抗することは喜ばしいことだけど、赤の宝石を狙ってる陽芽叶ちゃんからしたら、嫌なことだよね。


陽芽叶: んもう……はい、守里。私の手に宝石を…


守里: やっぱ、これしか思いつかない!ごめん、陽芽叶!


陽芽叶: え?…キャッ!


葵波: なっ…


愛衣: 笑



陽芽叶が掴んでいた腕を引き、陽芽叶を抱き寄せる守里。



陽芽叶: ちょ、ちょっと//


守里: 葵波さんと愛衣さん、手を離してください。さもないと、陽芽叶をいじめちゃいます。


愛衣: え?笑


葵波: …優しい守里に、そんなことできるの?


守里: 逆に、僕が何もしないという可能性が全くないと、葵波さんは思いますか?


葵波: …


守里: …手を離してください。葵波さん。


葵波: …はぁ…仕方ないな~はい、どうぞ。


愛衣: 良いの?


葵波: うん。だって、守里が怖いんだもん!笑


愛衣: きゃ~守里の野蛮人!


守里: ちょっと、叫ばないでください!これでまた見つかったら…


葵波: ってか、私達も手離したんだから、陽芽叶も離してあげてよ。いくら耐性があるからって、さすがにずっと抱きしめられてると、アレだろうから。


愛衣: 笑、次は、守里の変態!って叫んじゃうよ。


守里: あ、ごめん、陽芽叶。


陽芽叶: ///…う、うん…


守里: では、僕は行きます。


愛衣: 頑張って~


葵波: バイバイ。



そうして、なんとか陽芽叶の策略から逃れることができた守里は、実習校舎の2階から特別教室校舎の方に向かうのだった。



愛衣: 笑、じゃ、私ももう行くわ。そろそろ黄色の宝石を取りにいかないと。


葵波: 分かった。また後でね。


愛衣: うん。陽芽叶ちゃんもまたね。


陽芽叶: はい…



守里に続いて、実習校舎を出て行った愛衣を見送り、葵波と陽芽叶の2人だけとなる。



陽芽叶: …なんで手を離したの?


葵波: 護衛として、最善の行動を取りました。


陽芽叶: 守里が私をいじめるなんて、できるわけないって分かってるでしょ?


葵波: それでもです。少しでも護衛対象に危害を加えられる可能性があるならば、それを避けるように動くのが、護衛の役割ですから。


陽芽叶: あ~あ……あと、ちょっとだったのに。


葵波: 笑、個人的には、もう少し粘っても良かったんですけどね。


陽芽叶: え?


葵波: だって、お嬢様が守里に抱きしめられて、顔を真っ赤にして照れてる様子を見たかったですし。


陽芽叶: //もう!さっさと、守里を追うよ。


葵波: はい笑


◇◇◇


特別教室校舎屋上



守里: …



マジで、今さっきのは危なかったな。

咄嗟にあの行動を閃かなかったら、確実に宝石をとられてたよ。


屋上の入口から、死角になるところに座り込む守里。


にしても、陽芽叶を人質にとるとか、中々ヤバいことを思いついちゃったな、僕。


まぁ、いじめるつもりなんて、さらさらなかったけど…

でも、こちょこちょぐらいは、やってたかも笑


陽芽叶には、後から誠心誠意、謝っとこう。


で、やっぱり気になるのは、葵波さん。


僕が陽芽叶を人質にとった時の、葵波さんの雰囲気からして、葵波さんは陽芽叶と、ただの仲の良い親戚って関係じゃないはず。

さっきは、仲の良い年下の親戚を助けるっていう雰囲気じゃなくて、どちらかと言うと、自分より上の存在を助ける、みたいな雰囲気だったんだよな。

僕の考え過ぎかもしれないけど、一体、どんな関係なのか気になる…


と、守里が陽芽叶と葵波の関係について、考えを巡らせていたところで…



ピンポンパンポーン



「さぁ、皆さん!宝探しは順調ですか?!」



守里: 笑、櫻宮さん。テンション変わらないな~



櫻宮による校内放送が流れ始める。



「とうとう、宝探しも終盤戦。終了まで、残り10分となりました!!今のところですね、黄、白の宝石をゲットした方が、体育館に来ましたので、残りは青と赤と緑の3つだけです!」



つまり、僕と天羽先輩、鷲崎先輩が未だに頑張ってるってことか笑



「それぞれの景品は、青が図書カード5万円分で、赤が某テーマパークのペアチケット。緑が有名所の温泉旅行券です!皆さん、欲しいですよね~」



あ、なんか嫌な予感が。



「ということで、ヒントの答えがまだ分かってないよ!って方に朗報です!!青の宝石は、図書室にいる天羽絢音が出す問題に3回連続で正解したら、赤の宝石は、学校中を逃げ回っている森崎守里を捕まえられたら、緑の宝石は、新聞部部室にいる鷲崎怜奈とのクイズ勝負に勝てたら、ゲットすることができます!!」



やっぱり、言っちゃったよ、この人。



「能高トップの知識量を誇る天羽絢音は、問題を考え出し続けているので、そろそろ簡単な問題も出てくるかもしれませんし、能高の韋駄天である森崎守里は、この50分間走り続け、既に体力がかなり削られている状況で、能高トップの頭脳を持ちクイズオタクでもある鷲崎怜奈も、クイズ勝負の連戦で、集中力が結構削られています。つまり!今が最大のチャンスなのです!!」



ほんと、この人は景品をあげたいのか、あげたくないのか、分からないよ。

まぁ、企画を盛り上げるためだとは、分かってるんだけどさ。



「それでは、私は第1体育館で、宝石を持った皆さんが来るのを待っていますので。健闘を祈ります!」



ピンポンパンポーン



守里: はぁ……さて、どうしようか。



放送を聞き終わり、次は、この後の行動をどうするべきか、について考えを巡らし…



守里: ここで隠れとくべきだな。



そう結論づけた。


生徒以外は、僕が森崎守里だって判別はできないだろうけど、生徒の誰か一人にでも、僕が森崎守里だと言われた瞬間に、僕を見た参加者全員が、僕を追ってくることになる。

そんなことになれば、囲まれてすぐに捕まってしまうに違いない。


なら、下手に動かず、ここで残り10分をやり過ごす方が、捕まらずにいられる確率は高い…はず…


そうして、若干の不安が残りながらも、守里は屋上で誰にも見つからなさそうな場所を見つけ、そこに身を潜めるのだった。




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