ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

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第8章 生徒会選挙編

第302話「新生徒会長」

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生徒のほとんどが投票を終わらせて、体育館から出ていき、生徒会選挙が終わった。



灰崎: 立候補者と代表推薦者の皆さんも、各自教室に戻ってください。



と、言い終わったところで、司会進行をしていた灰崎は、マイクのスイッチを切る。



櫻宮: …ふぅ~おつかれ、謙心。


灰崎: 会長もお疲れ様です。


櫻宮: 良い司会進行だったよ。さすが議長。


灰崎: 笑、ありがとうございます。


櫻宮: さ、みんなのとこに行こう。


灰崎: はい。



仕事を終えた2人が向かう、その先では…



中谷: みんな、おつかれ~


七星: おつかれ。


鹿川: お疲れ様です!!


倉田: お疲れ様です。


中谷: いや~長かったね。まゆちゃんとか、喉大丈夫?


鹿川: 問題なしです!


中谷: 笑、さっすが~


守里: 特にトラブルもなく終われましたね。


中谷: だね。スムーズに投票も進んだし、不正もなかったし、ほんと良かった。


鹿川: うんうん!


櫻宮: お疲れ様、みんな。


鹿川: あ、会長!お疲れ様です!灰崎君も!


灰崎: 笑、お疲れ様。


櫻宮: さ、お疲れ様合戦と褒め合いは明日の打ち上げに取っておいて、会場撤去は、美化委員に任せてるから、私達は投票箱を会議室に運んで、開票作業をするよ。


鹿川: 了解です!


灰崎: えっと森崎君は…


守里: 投票箱を運ぶまではするよ。


灰崎: 良いの?


守里: もちろん笑


灰崎: 笑、ありがとう。


鹿川: ありがと!


守里: いえいえ笑


櫻宮: ってことは、その投票箱の運搬が、守里の最後の仕事になるのか。なんか感動だなぁ笑


中谷: 感慨深いね笑


守里: そうですか?笑


鹿川: そうだよ!もうこれで、守里君との関係が終わりだなんて、私、寂しい!


守里: 笑、どういうこと?


倉田: 語弊を招く表現を使わないでください。


中谷: うん。桃ちゃんの言う通り、その言い方はマズいのでは……ほら、もしあの子達に聞かれたら…


灰崎: …いえ、既に手遅れかと…笑



そう言いながら、灰崎は立候補者達が座っていた方向を見る。



美月: ジーーー


櫻宮: 笑、ほんとだ。めっちゃこっち見てる。


中谷: 既視感が過ぎるんだけど笑。なに?あの子は地獄耳なの?


櫻宮: それこそ、愛の為せる技なんじゃない?笑


中谷: なるほど笑


倉田: …まゆちゃん、早めに森崎君から離れることをおすすめします。


鹿川: え~なんで?こんなに仲良いのに。ねぇ?



突き刺すような視線を感じ取れていないのか、鹿川はさらに守里との距離を詰める。



守里: まぁ、仲は良いとは思うけど。


鹿川: やった!!



さらに悪いことに、守里もその視線に気づいていないため、どんどん視線は鋭利なものになっていく。



灰崎: これはマズいな笑


中谷: 隣にいる川嶋ちゃんも止めてるみたいだけど、美月ちゃんは聞く気がないみたいだし。


灰崎: どうします?


櫻宮: 笑、どうしますって言われても、当の本人達の問題だからな~


灰崎: 会長は、随分と楽しんでいるようで笑


櫻宮: それはお互い様じゃん笑


倉田: 全く…会長も灰崎君も、困ったものです。


中谷: 2人とも、楽しいことが好きだからね笑


倉田: 副会長、どうにかしてください。


七星: はぁ……まゆちゃんは余った投票用紙を回収。守里は美月に一声かけてから、投票箱を運ぶのを手伝って。


鹿川: わっかりました!!


守里: うん。


七星: で、みんなもさっさと生徒会室に戻って、作業始めんで。


櫻宮: はーい笑


灰崎: 了解です。



こうして、七星の言葉で、鹿川と守里は知らずのうちに危機を脱し、他の役員達も休憩を終え、次の仕事へと動き始めた。


そして、守里は生徒会の助っ人としての、最後の仕事を完了させ、達成感と少しの後悔を抱きながら、教室へと帰ったのであった。


◇◇◇◇◇


翌日


第3体育館



灰崎: それでは、生徒会選挙の結果を発表します!

 

再び、全校生徒が集まった体育館に灰崎の声が響く。

生徒達の注目は、誰もいないステージの上に向けられ、その袖、生徒達からは見えないところに、立候補者達は緊張しながら立っていた。



灰崎: 昨日の第45回生徒会選挙は、投票総数が858票で、有効投票数が852票、無効投票数が6票。ということで、有効投票数が全校生徒数の4分の3を超えているため、有効となります。さぁ、前置きはさておき、本題に入ります!



昨日とは違い、感情を入れた司会進行で、灰崎は、生徒達の関心とテンションを上げさせる。



灰崎: まずは、監査から。選挙の結果、第46代生徒会監査に選ばれたのは!得票数248票!!



生徒達から感じる熱が最高潮になったところで…



灰崎: "早水正羅はやみ せいら"!!!



その名前を呼んだ。



パチパチパチパチパチ!!!!



すると、歓声と共に盛大な拍手が巻き起こる。

その中で、名前を呼ばれた女子生徒が、ステージ中央へ、堂々とした足取りで歩き、一礼した。



灰崎: では、早水さん。今の気持ちや意気込みなどがあれば、どうぞ!


早水: …はい!



袖に控えていた倉田から、マイクを受け取った早水は、真剣な眼差しで生徒達を見ながら、大きく返事をし…



早水: 皆さん、投票ありがとうございます!選ばれたからには、昨日、宣言した通り、規律ある正義の生徒会を目指して頑張ります!!



と言った。



灰崎: ありがとうございました。次に、生徒会長の投票結果を発表します!



この一言で、早水が倉田の隣に移動すると同時に、生徒達の注目も早水から、次の生徒会長の名前を言う灰崎と、その人が出てくるステージ脇に移る。



灰崎: 第46代生徒会会長に選ばれたのは!得票数346票!!


美月: (お願い!)


祐希: (大丈夫!)



友達が当選することを願い、目を瞑って祈る。


そして…



灰崎: 川嶋志帆!!!



この言葉が聞こえた瞬間に、喜びの声が響いた。



美月 祐希: いぃぃぃやったぁぁああ!!!!


守里: 笑、やったな!


日向子: いぇーい!!!しーちゃーーん!!!


飛香: 騒ぎ過ぎ笑(良かった…)


陽芽叶: まぁまぁ笑



再び拍手が鳴り響く中で、少し目が赤くなっている川嶋が、ステージ袖から出てきた。



灰崎: さて、早水さんと同じように、川嶋さんにも感想と意気込みを聞かせてもらいたいんですが、その前に。'前'生徒会長、櫻宮麗華からの言葉です!



清々しい笑顔の櫻宮が、ステージに上がり、川嶋の隣に立つ。



櫻宮: 皆さん、おはようございます。まずは、この1年間、私についてきてくれてありがとうございました。皆さんの協力のおかげで、昨年宣言した通り、歴代最高の能高になることができたと思います。



ステージ下にいる生徒達を見ていた櫻宮は、川嶋と早水が見える位置に移動し、振り向く。



櫻宮: そして…川嶋志帆、あなたは生徒会長として。早水正羅、あなたは生徒会監査として。私達が作り上げた今を超える伊衛能高校を作り上げることを、私は信じています。これからを任せます。


川嶋: はい!


早水: 任せてください!


櫻宮: 笑、改めて、皆さん、ありがとうございました。



そう言って、ステージ上で一礼をした櫻宮は、ステージ袖にはけていった。



灰崎: それでは、川嶋さん。感想と意気込みをお願いします。


川嶋: はい。



櫻宮からの言葉を受け、それを噛み締めるように下を向いていた川嶋が、前を向く。

その顔からは、強い覚悟が感じられ、自然と視線を引き寄せられた生徒達は、川嶋の言葉を黙って待つ。



川嶋: 前会長の流儀を受け継ぎ、私も短く終わらせます。



静かな体育館に、透き通った綺麗な声が響く。



川嶋: …チラッ


早水: っ!


川嶋: 早水正羅さんも含め、私が作る最強の生徒会に、ついてきてください。みんなで、前の能高を超える……常に最高を更新し続ける能高を作り上げましょう!!



こうして、会場が割れるような歓声と拍手が鳴り響く中で、川嶋志帆を生徒会長に、早水正羅を監査に据えた、第46代伊衛能高校生徒会が、始動したのであった。




to be continued



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