ただ守りたい…〜大事な人を守るには、金と権力と腕っ節…あと諦めない心が必要です〜

ドラると

文字の大きさ
327 / 340
第9章 飛香編

第327話「七星とのデート part1」

しおりを挟む
日曜日

9時50分頃


駅前



守里: ……



先日、七星から送られてきたメッセージに対して、奈々未の後押しもあり、覚悟を決めて返信をした守里は、指定された時間の15分前に、駅前に到着し、七星が来るのを待っていた。



守里: ……ふぅ………



朝から、美月が起きる前に家を出て、しかも昨日、日向子に、僕の家に来て美月と遊んどくようにお願いしといたから、美月に関しては大丈夫なはず。

今回は、結真姉さんや桜、蓮花にも、なぁちゃんと出かけることは伝えてないから、美月にこの話が伝わることもないしね。


まぁ、別にバレたところで、何か気まずいことがあるかと言われれば、何も無いんだけども、単純に、バレた後でこの前みたいに拗ねられるのが目に見えてるから、それが面倒臭いんだよな……


って、もう美月のことは置いておいて、今からのことだよ。


奈々未さんは、仲直りのために、なぁちゃんは僕を誘ったに違いないって言ってたけど……不安だ。

事実として、なぁちゃんは、防衛団員であり、父さんの命令で、小学生の頃から僕の護衛をしていた。

これは、あの黒峰っていうアンチの構成員が言っていたように、アンチの目的が僕を捕まえることだってことを、父さんも知っていたから、何かしらの異常が発生したら、すぐに防衛団に知らせられるように、なぁちゃんを僕のそばで護衛させて、その周りに森田さんや矢口さんのような人達を待機させるようにしておいたんだろう。


この事実が変わらない以上、僕となぁちゃんの関係は、幼なじみというのもあるけど、それと同時に、護衛対象とその護衛、そして防衛団の次期団長とその団員なんだ。

だから、前になぁちゃんが僕に言ったことは間違ってないし、変わることでもない…



と、守里が不安を感じながら、ベンチに座っていると…



??: おはよう!守里。


守里: わっ!!



突然、真後ろから話しかけられ、守里は声を上げて驚くと共に、後ろを振り返る。


するとそこには、ドッキリの成功を見て、笑顔を浮かべている七星が立っていた。



七星: 笑、そんなに驚いたか。


守里: な、なぁちゃん……


七星: 本気で気配を消したら、さすがの守里も気づかんみたいやな笑


守里: ……いやほんとに、心臓に悪いよ…


七星: ごめんごめん笑


守里: ……



この待ち合わせ場所で、どう最初の挨拶をするかという様々なパターンを、拭えない不安により、昨日の夜から考えていた守里だったが、そのどれにも当てはまらず、最近のことが無かったことのように、笑顔で以前の七星らしく挨拶をした七星に、守里は内心で驚くと共に、反応に困る。


しかし…



七星: ほら、たくさんテーマパークで遊びたいんやから、早く行こう!



そんなことには気づかず……いや、気づいた上で、無視するように、七星は笑顔でそう言って、座っている守里に向けて、手を伸ばす。



守里: ……うん笑



それを受けて、守里も、七星の変わり様に疑問を持ち、考えるのではなく、笑顔の七星にそのまま乗ることにした。



ギュッ



2人は、強く手を握る。



七星: 笑、なんか小さい頃みたいやな。こうやって、手を繋ぐと。


守里: 確かにね笑


七星: よっしゃ、守里、行こうか!って、男なんやから、守里がななをエスコートせぇや笑


守里: いや、なぁちゃんの方から、手を繋いできたんだし、このテーマパークに誘ったのはなぁちゃんでしょ?


七星: そんな小さいことは気にすることないで笑。守里も、今から行くテーマパークには行ったことあるんやから、エスコートできるやろ?


守里: しょうがない。じゃ、行こう、なぁちゃん笑


七星: うん!笑



こうして、守里と七星は2人で並んで歩き、駅の中に入って行った。




??1: ……


??2: ねぇ、お姉ちゃん達、行ったよ。


??1: あ!…行くよ、祐希。


祐希: もう、飛香が誘ったんだから、ぼーっとしないでよ。


飛香: ごめん。さ、気づかれないように、私達も。


祐希: は~い……



こっそりと後をつける、飛香と祐希を引き連れて。


◇◇◇


テーマパーク入場ゲート前



守里: このペアチケットを見せれば、無料で入れるんだよね?


七星: 多分。ななも奏雄に…って、文化祭での宝探しゲームの景品を用意したのは、奏雄で、その奏雄に詳しいことは聞いてへんから、よく分からんけど、このチケットを見せたら、行けるやろ。


守里: まぁ、とりあえず行ってみるか。



今、手に持っているペアチケットが使えるかどうかの不安に駆られながらも、守里と七星は入場ゲートに向かって行く。



従業員: こんにちは。チケットをご確認させていただきます。


守里: あ、はい。これで……良いんですよね?


従業員: っと…はい。問題ございません……ニコッ笑



カップル用のペアチケットを確認した従業員は、肩がぶつかりそうなぐらいに距離が近い守里と七星を見て、暖かい笑顔を浮かべる。



従業員: それでは、楽しい時間をお過ごしください。


守里: はい笑


七星: 笑



入場ゲートにいた従業員達に見送られて、守里と七星は、テーマパーク内に入り、人の多さを感じつつも、奥に見える数々のアトラクションや、特有の世界観を表現するためにある建物を前に、立ち止まる。



守里: 久しぶりに来たけど、やっぱり凄いね。


七星: うん。小さい頃に守里達と来た時には、よう分からんやったけど、改めて見るとな。


守里: ……よし、まずはどこから行く?



そう言って、守里はルーズリーフを開き、テーマパーク内のマップを見る。



守里: どこか、行きたい場所の目星とかつけてきた?


七星: いや、目星はつけてへんけど、このテーマパークの目玉には乗りたいよな。


守里: あぁ笑。前に来た時も一緒に乗った、日本一ヤバいって言われているジェットコースターね。


七星: そうそう笑。守里が怖くてチビりそうやから無理って言うんなら、別に乗らんでもええけど……


守里: 何言ってんの笑。なぁちゃんの方が、実は内心ではビビってるんじゃないの?


七星: まさか笑……じゃあ、試してみるか?ノーリアクション対決で。


守里: 笑、乗った。早く行こう。


七星: うん笑



どちらの方がビビりか、という張合いを始めた2人が動き始めると、もちろん、同じように、予めチケットを2枚買っており、無事に入場できた飛香と祐希も、後ろをついて行く。

そんな2人は、テーマパーク内に入る前までは、守里と七星の気配察知能力の高さを見越して、かなり遠目からついて行っていたのだが、テーマパーク内は人が多いため、話している声は聞こえないものの、表情はギリギリ分かるぐらいにまで、前2人との距離を縮めている。



飛香: 随分と楽しそうだな…


祐希: ほんとね。つい最近まで、あんなにギクシャクしてたのに。


飛香: 自分で後押ししといて、こう言うのもなんだけど………やっぱり羨ましい。


祐希: ………ってかさ、飛香って絶叫系は大丈夫なんだっけ?


飛香: え?


祐希: だって、お姉ちゃんと守里が乗るアトラクションには、一緒に乗るんでしょ?まぁ、離れ過ぎて別の回とかになったら、乗らないけど。


飛香: っ………


祐希: …考えてなかったの?


飛香: ………別に大丈夫だし。絶叫系乗れるし。


祐希: あ、そうなんだ。てっきり、飛香は絶叫系とか無理な人だと思ってた。祐希の記憶違いかな?


飛香: ………そう言う祐希はどうなの?


祐希: 祐希はむしろ大好き。


飛香: だよね………って、この守里と七星さんが歩いて行ってる方向って…


祐希: 中央にあるジェットコースターっぽいね。


飛香: ………


祐希: よし、2人を見つつ、祐希達も楽しむぞ~!


飛香: う、うん……




30分後



守里: いや~楽しかったね。


七星: せやな。って、2人とも結局、全くビビってへんやったやん笑


守里: 確かに笑。僕達はどちらかと言うと、ビビり枠じゃなくて、むしろ物凄く強い枠だから。逆に、志帆とか桜、あとは……何気に飛香もビビり枠だね。


七星: 笑、じゃ、純粋にアトラクションを楽しんで行こうか。


守里: うん。



2人は、ジェットコースターに乗る前以上に、テンションを上げて、マップを確認した後、楽しそうなアトラクションに向けて、すぐに動き出した。




飛香: ………


祐希: 笑、飛香、めっちゃ叫んでたね。


飛香: ……いや、叫ばない方がおかしいって。



ジェットコースターに乗り降りする場所のすぐ近くにあるベンチに、顔色が悪くなった飛香は座り、その様子を見て、祐希はニヤニヤと笑う。



祐希: やっぱ、飛香は苦手だったんじゃん。


飛香: うるさい。


祐希: 確か、飛香って、お化けも無理だったよね?


飛香: ……


祐希: まぁまぁ、そんなに強がんないで。絶叫系は祐希1人で乗るよ。


飛香: ……頼んだ。


祐希: これぞ、ギブアンドテイクってヤツだね!


飛香: 笑、最近、守里にでも聞いた?


祐希: いや、志帆が言ってた。


飛香: あっそ。じゃあ、行こう。


祐希: もう動ける?


飛香: おかげさまで。2人を見失わないうちに、早く行くよ。


祐希: うん!




to be continued


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

職業ガチャで外れ職引いたけど、ダンジョン主に拾われて成り上がります

チャビューヘ
ファンタジー
いいね、ブックマークで応援いつもありがとうございます! ある日突然、クラス全員が異世界に召喚された。 この世界では「職業ガチャ」で与えられた職業がすべてを決める。勇者、魔法使い、騎士――次々と強職を引き当てるクラスメイトたち。だが俺、蒼井拓海が引いたのは「情報分析官」。幼馴染の白石美咲は「清掃員」。 戦闘力ゼロ。 「お前らは足手まといだ」「誰もお荷物を抱えたくない」 親友にすら見捨てられ、パーティ編成から弾かれた俺たちは、たった二人で最低難易度ダンジョンに挑むしかなかった。案の定、モンスターに追われ、逃げ惑い――挙句、偶然遭遇したクラスメイトには囮として利用された。 「感謝するぜ、囮として」 嘲笑と共に去っていく彼ら。絶望の中、俺たちは偶然ダンジョンの最深部へ転落する。 そこで出会ったのは、銀髪の美少女ダンジョン主・リリア。 「あなたたち……私のダンジョンで働かない?」 情報分析でダンジョン構造を最適化し、清掃で魔力循環を改善する。気づけば生産効率は30%向上し、俺たちは魔王軍の特別顧問にまで成り上がっていた。 かつて俺たちを見下したクラスメイトたちは、ダンジョン攻略で消耗し、苦しんでいる。 見ろ、これが「外れ職」の本当の力だ――逆転と成り上がり、そして痛快なざまぁ劇が、今始まる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

まほカン

jukaito
ファンタジー
ごく普通の女子中学生だった結城かなみはある日両親から借金を押し付けられた黒服の男にさらわれてしまう。一億もの借金を返済するためにかなみが選ばされた道は、魔法少女となって会社で働いていくことだった。 今日もかなみは愛と正義と借金の天使、魔法少女カナミとなって悪の秘密結社と戦うのであった!新感覚マジカルアクションノベル! ※基本1話完結なのでアニメを見る感覚で読めると思います。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...