130 / 131
王都フラシュ
ルカの場面
しおりを挟む
市民と騎士を匿う家屋への襲撃を幾度も幾度も撃退していたルカは次第に疑問を抱き始めていた。
「ヒヒヒ、あそこだ!」
「騎士共を取り返すぜ!」
意気揚々と離れた屋根に上がってきた二匹のコボルトをぺぺっと下に蹴り落とす。
それなりに強い奴らは序盤に集中して来たので残ってやって来ているのはルカの相手にはならない弱い敵ばかりである。
「アソコ」
「アソコダ」
だが、いくら弱くとも数が多くては手がかかる。
今度は反対側の屋根に小柄なゴブリンが現れたのでルカはせっせと跳んでいって蹴り飛ばした。
「うぅ……多い!」
頭を抱えて大声で嘆いた。
この場を離れすぎるわけにはいかない。かといって現れた敵を潰しに行かなければどんどん大挙して手が回らなくなる。
一対一を得意としている上に気の短いルカの性根も相俟って防衛戦は不向きである。逆に段々と苛々が募って冷静さを欠いてしまい大きなミスに繋がりかねない。
今現在そうなっていないのは、大好きなホイムのために頑張っているからであった。
「あの女邪魔」
「だがあそこを守ってる」
「あそこにいるはず!」
そんな話し声が聞こえた後にまたしても現れる魔物の群れ。行ったり来たりに辟易するルカだったが、蹴落とさない訳にはいかない。
「グケー」
三匹まとめて蹴り落としたところで疲れの色を見せる。
「どうして全部ここ来るの……?」
いくらなんでも集まり過ぎだと感じたところで、彼女にしては珍しくハッと気付くものがあった。
さっきの魔物たちの会話である。
「分かった……! ルカが此処にいるからあいつらやって来る!」
自分が目印となっているせいで敵が寄ってくると理解したルカ。
今まで自分が警護していた建物の屋上から離れ、通りを挟んだ向かいの建物の屋上に陣取った。
「見ろ! あいつ向こうに行ったぞ!」
屋上に集まる魔物の一匹がルカが移動したのを見て騒ぐ。
「ルカ此処! お前らこっち来い!」
目論見通り敵の注意がルカの方へ向いてきた。更に気を引くべく手をブンブン振って存在をアピールしていく。
これで万事上手くいくと得意気になるルカであったが、
「……あいついなくなった」
「そこの建物からいなくなった」
「今なら攻め放題じゃね?」
その事に気付いた魔物たちはルカが警備を放棄した建物目がけて駆け出した。
「そっちじゃなあい!!」
目論見通りにいかなかったことに腹を立てたルカのドロップキックが屋根の上の魔物たちをまとめて吹き飛ばした。
「ンガー! どうしてこうなる!」
狙い通りにいかないことに地団駄を踏むルカであった。
そうやって少しずつストレスが蓄積していたところに、これまでとは違う者の接近を察した。
「ん……」
屋上から街の通りを見下ろすと、これまで撃退してきた魔物とは一線を画す巨体が空気を震わせながら歩いている。
足元にいる魔物を意に介さず踏み潰し、のしのしと迫る家屋ほどの全高を誇る敵を目撃したルカはニカッと笑った。
「ああいうのがいい! 分かりやすい!」
シュタッと地面に降りると魔物の前に立ちはだかる。
魔族の中で巨体と怪力を有するトロルという魔物であるが、種族名などルカは知らない。
ただ此処へ辿り着くのに結構な時間がかかるくらい足が遅いのと、五倍以上は身長が違うとにかく大きい相手だということだけは分かった。
小物をせっせと追い払うだけであったことに頭を悩ませていたところに大物の到来。やる気が溢れていた。
しかしながら、トロルにだけ気を取られてしまえば本末転倒である。
「あいつ離れた」
「今手薄」
ルカがトロルを食い止めようとしている間に、小物たちが建物の入口へ殺到しようとする。
「それダメ!」
慌てて駆け出したルカの前に、唸りを上げるトロルの豪腕が迫る。
地表を掠めて薙ぐような一撃が、地表を這うように滑走するルカの鼻先を通過していった。
チッと擦った鼻から血が吹き出すのを構わず走るルカが建物に群がる魔物を引き剥がし、蹴り飛ばしと我武者羅に追い払う。
「お前たち邪魔ッ!」
ルカの咆哮搏撃に気圧された魔物たちが怖気づいて後退る。
フンスと鼻を鳴らす彼女の前に群れの中から歩み出るのは、恐れることなく攻勢を仕掛けてきたトロルである。
豪と振り上げた腕が重圧を伴って真正面から襲撃してくる。サッと避けて反撃に転ずることは容易であったが、この位置で避けてしまえば背後の建物がどうなるかくらいルカにも理解できる。
なので彼女は腕を拡げ、その身で大きな拳を真っ向から受け止めた。
「んぎ!」
流石に衝撃は大したものだった。拳の威力を受け止めきれずに足元の石畳が陥没する。
「んぐぐぐぐ……!」
そのまま膝が折れてしまうかに思われたが、彼女がグイと体ごと腕を捻ると、トロルの巨体が宙を舞って地面に転がった。
地震と錯覚する振動に包まれる一帯の中、ルカは仁王立ちで背後の砦を守るのであった。
しかしながら徐々にルカも限界を感じ始めていた。素早い動きで攻めてくる敵を撃退していたが、数に頼った相手の攻勢がルカの守りを上回りだしていた。
「あっちからも、こっちからも!」
建物の上から、通りの角からうじゃうじゃと。そして大通りの向こうからは今転がしたものと同じ大きなトロルが数体迫ってきていた。
「……ちょっと多い」
少し愚痴を零したルカだが、それでも通りに立ちはだかって敵を押し止めようと迎え撃つ。
そんな彼女は背後から新たに迫る音に耳を立てた。
後ろから敵が来るなら厄介だなと思いつつ肩越しに視線を送り、そして見えた光景に目を丸くした。
そこへ姿を見せたのは、彼女が見たことのあるような鎧を身につけた……。
「ヒヒヒ、あそこだ!」
「騎士共を取り返すぜ!」
意気揚々と離れた屋根に上がってきた二匹のコボルトをぺぺっと下に蹴り落とす。
それなりに強い奴らは序盤に集中して来たので残ってやって来ているのはルカの相手にはならない弱い敵ばかりである。
「アソコ」
「アソコダ」
だが、いくら弱くとも数が多くては手がかかる。
今度は反対側の屋根に小柄なゴブリンが現れたのでルカはせっせと跳んでいって蹴り飛ばした。
「うぅ……多い!」
頭を抱えて大声で嘆いた。
この場を離れすぎるわけにはいかない。かといって現れた敵を潰しに行かなければどんどん大挙して手が回らなくなる。
一対一を得意としている上に気の短いルカの性根も相俟って防衛戦は不向きである。逆に段々と苛々が募って冷静さを欠いてしまい大きなミスに繋がりかねない。
今現在そうなっていないのは、大好きなホイムのために頑張っているからであった。
「あの女邪魔」
「だがあそこを守ってる」
「あそこにいるはず!」
そんな話し声が聞こえた後にまたしても現れる魔物の群れ。行ったり来たりに辟易するルカだったが、蹴落とさない訳にはいかない。
「グケー」
三匹まとめて蹴り落としたところで疲れの色を見せる。
「どうして全部ここ来るの……?」
いくらなんでも集まり過ぎだと感じたところで、彼女にしては珍しくハッと気付くものがあった。
さっきの魔物たちの会話である。
「分かった……! ルカが此処にいるからあいつらやって来る!」
自分が目印となっているせいで敵が寄ってくると理解したルカ。
今まで自分が警護していた建物の屋上から離れ、通りを挟んだ向かいの建物の屋上に陣取った。
「見ろ! あいつ向こうに行ったぞ!」
屋上に集まる魔物の一匹がルカが移動したのを見て騒ぐ。
「ルカ此処! お前らこっち来い!」
目論見通り敵の注意がルカの方へ向いてきた。更に気を引くべく手をブンブン振って存在をアピールしていく。
これで万事上手くいくと得意気になるルカであったが、
「……あいついなくなった」
「そこの建物からいなくなった」
「今なら攻め放題じゃね?」
その事に気付いた魔物たちはルカが警備を放棄した建物目がけて駆け出した。
「そっちじゃなあい!!」
目論見通りにいかなかったことに腹を立てたルカのドロップキックが屋根の上の魔物たちをまとめて吹き飛ばした。
「ンガー! どうしてこうなる!」
狙い通りにいかないことに地団駄を踏むルカであった。
そうやって少しずつストレスが蓄積していたところに、これまでとは違う者の接近を察した。
「ん……」
屋上から街の通りを見下ろすと、これまで撃退してきた魔物とは一線を画す巨体が空気を震わせながら歩いている。
足元にいる魔物を意に介さず踏み潰し、のしのしと迫る家屋ほどの全高を誇る敵を目撃したルカはニカッと笑った。
「ああいうのがいい! 分かりやすい!」
シュタッと地面に降りると魔物の前に立ちはだかる。
魔族の中で巨体と怪力を有するトロルという魔物であるが、種族名などルカは知らない。
ただ此処へ辿り着くのに結構な時間がかかるくらい足が遅いのと、五倍以上は身長が違うとにかく大きい相手だということだけは分かった。
小物をせっせと追い払うだけであったことに頭を悩ませていたところに大物の到来。やる気が溢れていた。
しかしながら、トロルにだけ気を取られてしまえば本末転倒である。
「あいつ離れた」
「今手薄」
ルカがトロルを食い止めようとしている間に、小物たちが建物の入口へ殺到しようとする。
「それダメ!」
慌てて駆け出したルカの前に、唸りを上げるトロルの豪腕が迫る。
地表を掠めて薙ぐような一撃が、地表を這うように滑走するルカの鼻先を通過していった。
チッと擦った鼻から血が吹き出すのを構わず走るルカが建物に群がる魔物を引き剥がし、蹴り飛ばしと我武者羅に追い払う。
「お前たち邪魔ッ!」
ルカの咆哮搏撃に気圧された魔物たちが怖気づいて後退る。
フンスと鼻を鳴らす彼女の前に群れの中から歩み出るのは、恐れることなく攻勢を仕掛けてきたトロルである。
豪と振り上げた腕が重圧を伴って真正面から襲撃してくる。サッと避けて反撃に転ずることは容易であったが、この位置で避けてしまえば背後の建物がどうなるかくらいルカにも理解できる。
なので彼女は腕を拡げ、その身で大きな拳を真っ向から受け止めた。
「んぎ!」
流石に衝撃は大したものだった。拳の威力を受け止めきれずに足元の石畳が陥没する。
「んぐぐぐぐ……!」
そのまま膝が折れてしまうかに思われたが、彼女がグイと体ごと腕を捻ると、トロルの巨体が宙を舞って地面に転がった。
地震と錯覚する振動に包まれる一帯の中、ルカは仁王立ちで背後の砦を守るのであった。
しかしながら徐々にルカも限界を感じ始めていた。素早い動きで攻めてくる敵を撃退していたが、数に頼った相手の攻勢がルカの守りを上回りだしていた。
「あっちからも、こっちからも!」
建物の上から、通りの角からうじゃうじゃと。そして大通りの向こうからは今転がしたものと同じ大きなトロルが数体迫ってきていた。
「……ちょっと多い」
少し愚痴を零したルカだが、それでも通りに立ちはだかって敵を押し止めようと迎え撃つ。
そんな彼女は背後から新たに迫る音に耳を立てた。
後ろから敵が来るなら厄介だなと思いつつ肩越しに視線を送り、そして見えた光景に目を丸くした。
そこへ姿を見せたのは、彼女が見たことのあるような鎧を身につけた……。
1
あなたにおすすめの小説
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる