55 / 95
七階の非常階段
しおりを挟む
俺の地元には、昔からちょっと気味の悪い団地がある。
郊外の小高い丘に建ってる、築40年くらいのボロ団地だ。
別に幽霊が見えるとかそういうんじゃなく、
ただ一つだけ妙な噂がある。
「あそこの七階には非常階段がない」
普通、団地って階段か非常口が必ずあるだろ?
でもそこの七階だけ、いくら探しても非常階段が見つからない。
建築図面にもちゃんと非常階段が描かれてるし、
管理会社に聞いても「七階からも出られますよ」と平然と言う。
でも住んでる人に聞くと、みんな決まってこう答える。
「ドアを開けると、壁があるんです。
だから七階の人は、非常ベルが鳴ったらエレベーター使うんですよ」
おかしいよな。火事になったらどうするんだって話だ。
昔、地元の先輩が面白半分で肝試しをやった。
夜中に七階に行って、非常口のドアを開けてみたらしい。
中は確かに壁だった。
でも、スマホでライトを当ててよく見ると、
壁の真ん中に黒いシミみたいなものがいくつも浮かんでいた。
よく見たらそれ全部、手の跡だったんだって。
先輩は気味悪がってすぐ帰ったが、
その夜からしばらくの間、夜中になると必ずインターホンが鳴いたらしい。
画面を見ても誰もいない。
でもドアの下の隙間から、
小さな子供の足みたいなものが覗いていたことが一度だけあったって。
七階は今も普通に入居者がいる。
住んでる人は別に気にせず暮らしてる。
ただその団地に詳しい奴は言う。
「あそこは七階に“何かがいる”から、非常階段なんか作っても無駄なんだよ。
逃げ道なんか、最初からないんだから。」
郊外の小高い丘に建ってる、築40年くらいのボロ団地だ。
別に幽霊が見えるとかそういうんじゃなく、
ただ一つだけ妙な噂がある。
「あそこの七階には非常階段がない」
普通、団地って階段か非常口が必ずあるだろ?
でもそこの七階だけ、いくら探しても非常階段が見つからない。
建築図面にもちゃんと非常階段が描かれてるし、
管理会社に聞いても「七階からも出られますよ」と平然と言う。
でも住んでる人に聞くと、みんな決まってこう答える。
「ドアを開けると、壁があるんです。
だから七階の人は、非常ベルが鳴ったらエレベーター使うんですよ」
おかしいよな。火事になったらどうするんだって話だ。
昔、地元の先輩が面白半分で肝試しをやった。
夜中に七階に行って、非常口のドアを開けてみたらしい。
中は確かに壁だった。
でも、スマホでライトを当ててよく見ると、
壁の真ん中に黒いシミみたいなものがいくつも浮かんでいた。
よく見たらそれ全部、手の跡だったんだって。
先輩は気味悪がってすぐ帰ったが、
その夜からしばらくの間、夜中になると必ずインターホンが鳴いたらしい。
画面を見ても誰もいない。
でもドアの下の隙間から、
小さな子供の足みたいなものが覗いていたことが一度だけあったって。
七階は今も普通に入居者がいる。
住んでる人は別に気にせず暮らしてる。
ただその団地に詳しい奴は言う。
「あそこは七階に“何かがいる”から、非常階段なんか作っても無駄なんだよ。
逃げ道なんか、最初からないんだから。」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしてそこにトリックアートを設置したんですか?
鞠目
ホラー
N県の某ショッピングモールには、エントランスホールやエレベーター付近など、色んなところにトリックアートが設置されている。
先日、そのトリックアートについて設置場所がおかしいものがあると聞いた私は、わかる範囲で調べてみることにした。
百の話を語り終えたなら
コテット
ホラー
「百の怪談を語り終えると、なにが起こるか——ご存じですか?」
これは、ある町に住む“記録係”が集め続けた百の怪談をめぐる物語。
誰もが語りたがらない話。語った者が姿を消した話。語られていないはずの話。
日常の隙間に、確かに存在した恐怖が静かに記録されていく。
そして百話目の夜、最後の“語り手”の正体が暴かれるとき——
あなたは、もう後戻りできない。
■1話完結の百物語形式
■じわじわ滲む怪異と、ラストで背筋が凍るオチ
■後半から“語られていない怪談”が増えはじめる違和感
最後の一話を読んだとき、
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2025/12/17:『まく』の章を追加。2025/12/24の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/16:『よってくる』の章を追加。2025/12/23の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/15:『ちいさなむし』の章を追加。2025/12/22の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/14:『さむいしゃわー』の章を追加。2025/12/21の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/13:『ものおと』の章を追加。2025/12/20の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/12:『つえ』の章を追加。2025/12/19の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/11:『にく』の章を追加。2025/12/18の朝4時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる