賢者の幼馴染との中を引き裂かれた無職の少年、真の力をひた隠し、スローライフ? を楽しみます!

織侍紗(@'ω'@)ん?

文字の大きさ
15 / 123

第十五話 転生者レオナ

しおりを挟む
「私……そろそろ大丈夫なので……降ろして下さい」

「うん。わかった」

 抱きかかえていたレオナが僕にそう言った。特に重くもないけど、大丈夫だって言うなら無理に抱えてる必要はない。だから僕はレオナをそっと降ろした。
 するとレオナは深々とお辞儀をした。

「改めてお礼を言わせてください。一生を救って頂き本当にありがとうございました」

「そんな良いって! 別に偶然通りかかっただけだし……」

 あまりこういう事に慣れていない僕は照れて顔を背けてしまった。暫く経ってレオナを見ると、まだ深々とお辞儀をしている。

「ねえ、もういいよ! 本当にやめて?」

 僕の制止にやっとレオナが顔を上げてニコリと笑顔を浮かべる。

「かしこまりました! 止めます!」

 うぐっ! 可愛い……ってよく見るとイヌミミだし、獣人なのか。銀髪のショートヘアもよく似合っている。

「じゃ、街まで戻ろうか?」

 と、二人で並んで歩き出した。

 暫く歩いているとレオナが僕に尋ねてきた。

「アインス様は何であそこに居らっしゃったのですか?」

 って様付けかー。なんかちょっと嫌だな……メイドとご主人様みたい……

「ってなんで様付けなの? アインスでいいよ」

「ダメです! アインス様は私の一生を救って下さいました! そんな失礼なことは出来ません!」

 立ち止まってレオナが大きな声を出した。
 うーん……譲りそうにないかも……

「じゃあ、僕はレオナさんでいい?」

「ダメです! レオナにして下さい!」

 これも意思が硬そうだ。変えるのは無理かな……

「はぁ……わかったよ……ここはレオナに譲るよ」

 僕は一つ大きな溜め息を吐いてから再び歩き出した。

「そうだね……ルーチェ村からの帰りでここを通ったからあそこに居たんだ」

「アインス様はルーチェ村の方なんですね! ってあれ? こっちの山道はもう使えなくなってるはずじゃ……」

 ま、だからこっちの山道は人気が全く無いんだけど。

「そうなんだけど、急いで行きたかったから使っちゃったんだ」

「危なくなかったんですか? 以前事故があってから使われなくなったって聞いたんですけど……」

「実はちょっと身のこなしには自信があってね。大丈夫だったよ」

 すると荷物の中に潜り込んでいたリアが僕に茶々を入れてきた。

「ちょっと? マスターのちょっとってどれだけよ?」

 ま、レオナもいるしほっとくんだけどね。レオナに空間と話す頭がおかしい人だと思われたくないしね……

「え? 何それ……妖精さん?」

 レオナが立ち止まって呟いた。
 僕も驚いて立ち止まってしまった。

「え? 見えるの!」

 レオナはゆっくりと頷いている。どうやらリアの姿が見えるのは間違いないようだ。声も聞こえているみたい。

「じゃあ転生者なの?」

 僕はリアに尋ねた。リアはコクリと頷いた。

「うん、転生者だね」

「しかも三十歳以上で童貞ってことなのか……」

 レオナの前世は男性だったってことか……

「いや、あれ実は処女でも大丈夫なんだよね」

「ってそうなの?」

「そうそう」

 って別にレオナの前世が男でも女でも僕には関係ないな。
 レオナを見ると話が理解出来ない様子だった。

「どうしたの?」

「あ、転生者って何ですか?」

「この世界に産まれる前に別の世界にいた人のことだよ」

「別の……世界?」

「そう、別の世界。そこでとある条件を達成して転生すると妖精が見えるようになるんだって」

 とある条件とか聞くと偉そうだけど!

「なるほど……なんとなく理解しました」

「しかし、レオナも転生者とは……記憶はないみたいだけど?」

「まあ、普通はそうなんだけどね。あの女神が記憶を制限する操作をしなかったんでしょ」

「ああ、なるほど……」

 あのクソ女神は適当にタブレット弄ってたし、リアの言うことは理解出来る。

「つまり、私とアインス様は同じ転生者だけど、アインス様は私と違って特別って事ですね……」

 レオナが何度も頷いている。ま、そこを強引に否定するのもな……結構頑固なとこあるみたいだし……普通じゃないのは僕も認めるし……

「ま、そういうことにしとこうか?」

 僕は肩を竦めてレオナにそう言った。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

嘘つきと呼ばれた精霊使いの私

ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。

ありふれた聖女のざまぁ

雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。 異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが… 「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」 「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」 ※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処理中です...