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第二十一話 一般常識
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今日から学園が始まる。今は二時を過ぎたところで、入学式は講堂で三時から開始だ。夜明けと共に一日が始まるので、前世の時間だと八時か九時くらいの感覚だ。とは言っても、この世界は一日が二十時間しかないから正確に一緒というわけではないけど……ただ、この世界に生まれてずっとこの時間で過ごしているので特に違和感とかはない。
まだちょっと早いけど特にやることも無かったので講堂に向かった僕は入口の横にちょこんと立っているレオナを見つけた。
レオナは僕のことを今か今かと待っていたようで、すぐに手を振ってきた。
「ご主人様。おはようございます」
ペコリとお辞儀をしてレオナが挨拶をしてきた。でも、昨日と呼び方が違う。
「おはよう、ってご主人様?」
「はい。昨日、お仕えさせて頂く許可を頂きましたので……」
確かにそう言ったけど、その呼び方はなんかこそばゆかった。
「学校でもそうなの?」
「申し訳ありません。私のご主人様への呼称はご主人様しかありませんので……」
昨日会ったばかりだけど、レオナも譲らない性格だし、もしかしたら技能にそういうのがあるのかもしれない。
ま、僕が慣れればいいだけか。
「まぁしょうがないか……許可しちゃったのは僕だし……」
「はい! ありがとうございます!」
無茶苦茶嬉しそう。イヌミミもひょこひょこ動いてるし、尻尾もブンブン振り回されてる。
「ところでいつから待ってたの?」
「今来た所です!」
あれ、何か反応が変わった。焦ってる感じかな?
「ホントに? 後でリアに聞いたらなんでもわかるんだよ?」
リアは部屋で留守番してる。いつも一緒にいる訳では無い。彼女にだって何かやることだってあるに違いない。
レオナは観念した様子で呟いた。
「夜明けからです……」
って二時間以上も待ってたのか! と僕が驚いていると力強くレオナが続けた。
「でも、私にとっては今来たところも同然なんです!」
二時間前は今じゃないっていくら言っても聞かなそうだな……これ……
「わ、わかったよ。じゃあ悪いけど、寮の部屋を教えるから明日からは二時過ぎくらいに迎えに来てよ」
「かしこまりました」
そう言ってレオナはペコリとお辞儀をした。これで大丈夫かな?
講堂に入るとずらりと列が出来ている。恐らく受付なのかな? レオナと共に列の一番後ろに着く。
「お名前は?」
「アインスです」
僕の番が来たので、名前を告げた。受付の人はパラパラと紙を捲って、その中から一枚を取り出した。
「これ、読めますか?」
ピラピラと手に持った紙を見せられた。なんでそんなこと聞くのだろう。
「僕の名前と三組って書いてありますけど?」
「ああ、なら問題ないです。奥に入ったら三組の空いてる席に座って下さい」
少し疑問に思ったが、後にも並んでいるので僕はその紙を貰って列から離れた。
不思議に思いながら紙を眺めていると、僕の次に受付を済ませたレオナが話しかけてきた。
「どうしたんですか?」
「ん? ああ、受付の人がこれ読めますか? って聞いてきたから……」
僕はレオナに紙を手渡した。するとレオナの表情がパァっと明るくなった。
「やった! 一緒の組だ! って単純に読めるか聞いてきただけですよ。文字が読めない人もいますから」
「あ、そうか。当たり前過ぎて気づかなかった」
「とりあえず席に着きません?」
レオナが中に入るように促すので、僕は頷いて空いてる席に並んで座った。
席に着いて僕がまだ不思議そうに紙を眺めていると、レオナが話しかけてきた。
「まだ何か気になるんですか?」
「いや、気になるって程じゃないけど……」
「そうですね……毎回そうやって紙を渡されるのはいつもらしいです。読めれば問題無いですし、読めなかったら教えてくれるんです。どこの組だよって。そういう人はどの席に座ればいいかもわかりませんから席まで案内するみたいです。ほら」
レオナに言われて辺りを見渡すとちらほら教師に連れられている子供達もいた。
「でも、紙渡す必要もないんじゃない?」
「席を立って、わからなくなった人にとかじゃないでしょうか」
ああ、トイレとかで席を離れたあと、戻れなくなる人もいるかもしれないってことか。
特に不思議に思うことでもないかな……
「なるほどね。ありがとう、もう大丈夫かな」
レオナにお礼を告げると笑顔が返ってきた。
「どういたしまして。ご主人様のお役に立てて光栄です。でも、私がご主人様に教えられることもあるんですね」
「僕だってなんでも知ってる訳じゃないし、ルーチェ村から出たこと無いからこの世界の常識は疎いと思うよ」
僕の知識は前世の記憶に偏っている。小さな村での生活と前世の記憶だけと言っても過言じゃない。間違いなく一般常識はレオナの方が知っているだろう。
そんな話をしていると入学式が始まった。
まだちょっと早いけど特にやることも無かったので講堂に向かった僕は入口の横にちょこんと立っているレオナを見つけた。
レオナは僕のことを今か今かと待っていたようで、すぐに手を振ってきた。
「ご主人様。おはようございます」
ペコリとお辞儀をしてレオナが挨拶をしてきた。でも、昨日と呼び方が違う。
「おはよう、ってご主人様?」
「はい。昨日、お仕えさせて頂く許可を頂きましたので……」
確かにそう言ったけど、その呼び方はなんかこそばゆかった。
「学校でもそうなの?」
「申し訳ありません。私のご主人様への呼称はご主人様しかありませんので……」
昨日会ったばかりだけど、レオナも譲らない性格だし、もしかしたら技能にそういうのがあるのかもしれない。
ま、僕が慣れればいいだけか。
「まぁしょうがないか……許可しちゃったのは僕だし……」
「はい! ありがとうございます!」
無茶苦茶嬉しそう。イヌミミもひょこひょこ動いてるし、尻尾もブンブン振り回されてる。
「ところでいつから待ってたの?」
「今来た所です!」
あれ、何か反応が変わった。焦ってる感じかな?
「ホントに? 後でリアに聞いたらなんでもわかるんだよ?」
リアは部屋で留守番してる。いつも一緒にいる訳では無い。彼女にだって何かやることだってあるに違いない。
レオナは観念した様子で呟いた。
「夜明けからです……」
って二時間以上も待ってたのか! と僕が驚いていると力強くレオナが続けた。
「でも、私にとっては今来たところも同然なんです!」
二時間前は今じゃないっていくら言っても聞かなそうだな……これ……
「わ、わかったよ。じゃあ悪いけど、寮の部屋を教えるから明日からは二時過ぎくらいに迎えに来てよ」
「かしこまりました」
そう言ってレオナはペコリとお辞儀をした。これで大丈夫かな?
講堂に入るとずらりと列が出来ている。恐らく受付なのかな? レオナと共に列の一番後ろに着く。
「お名前は?」
「アインスです」
僕の番が来たので、名前を告げた。受付の人はパラパラと紙を捲って、その中から一枚を取り出した。
「これ、読めますか?」
ピラピラと手に持った紙を見せられた。なんでそんなこと聞くのだろう。
「僕の名前と三組って書いてありますけど?」
「ああ、なら問題ないです。奥に入ったら三組の空いてる席に座って下さい」
少し疑問に思ったが、後にも並んでいるので僕はその紙を貰って列から離れた。
不思議に思いながら紙を眺めていると、僕の次に受付を済ませたレオナが話しかけてきた。
「どうしたんですか?」
「ん? ああ、受付の人がこれ読めますか? って聞いてきたから……」
僕はレオナに紙を手渡した。するとレオナの表情がパァっと明るくなった。
「やった! 一緒の組だ! って単純に読めるか聞いてきただけですよ。文字が読めない人もいますから」
「あ、そうか。当たり前過ぎて気づかなかった」
「とりあえず席に着きません?」
レオナが中に入るように促すので、僕は頷いて空いてる席に並んで座った。
席に着いて僕がまだ不思議そうに紙を眺めていると、レオナが話しかけてきた。
「まだ何か気になるんですか?」
「いや、気になるって程じゃないけど……」
「そうですね……毎回そうやって紙を渡されるのはいつもらしいです。読めれば問題無いですし、読めなかったら教えてくれるんです。どこの組だよって。そういう人はどの席に座ればいいかもわかりませんから席まで案内するみたいです。ほら」
レオナに言われて辺りを見渡すとちらほら教師に連れられている子供達もいた。
「でも、紙渡す必要もないんじゃない?」
「席を立って、わからなくなった人にとかじゃないでしょうか」
ああ、トイレとかで席を離れたあと、戻れなくなる人もいるかもしれないってことか。
特に不思議に思うことでもないかな……
「なるほどね。ありがとう、もう大丈夫かな」
レオナにお礼を告げると笑顔が返ってきた。
「どういたしまして。ご主人様のお役に立てて光栄です。でも、私がご主人様に教えられることもあるんですね」
「僕だってなんでも知ってる訳じゃないし、ルーチェ村から出たこと無いからこの世界の常識は疎いと思うよ」
僕の知識は前世の記憶に偏っている。小さな村での生活と前世の記憶だけと言っても過言じゃない。間違いなく一般常識はレオナの方が知っているだろう。
そんな話をしていると入学式が始まった。
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