賢者の幼馴染との中を引き裂かれた無職の少年、真の力をひた隠し、スローライフ? を楽しみます!

織侍紗(@'ω'@)ん?

文字の大きさ
21 / 123

第二十一話 一般常識

しおりを挟む
 今日から学園が始まる。今は二時を過ぎたところで、入学式は講堂で三時から開始だ。夜明けと共に一日が始まるので、前世の時間だと八時か九時くらいの感覚だ。とは言っても、この世界は一日が二十時間しかないから正確に一緒というわけではないけど……ただ、この世界に生まれてずっとこの時間で過ごしているので特に違和感とかはない。
 まだちょっと早いけど特にやることも無かったので講堂に向かった僕は入口の横にちょこんと立っているレオナを見つけた。
 レオナは僕のことを今か今かと待っていたようで、すぐに手を振ってきた。

「ご主人様。おはようございます」

 ペコリとお辞儀をしてレオナが挨拶をしてきた。でも、昨日と呼び方が違う。

「おはよう、ってご主人様?」

「はい。昨日、お仕えさせて頂く許可を頂きましたので……」

 確かにそう言ったけど、その呼び方はなんかこそばゆかった。

「学校でもそうなの?」

「申し訳ありません。私のご主人様への呼称はご主人様しかありませんので……」

 昨日会ったばかりだけど、レオナも譲らない性格だし、もしかしたら技能スキルにそういうのがあるのかもしれない。
 ま、僕が慣れればいいだけか。

「まぁしょうがないか……許可しちゃったのは僕だし……」

「はい! ありがとうございます!」

 無茶苦茶嬉しそう。イヌミミもひょこひょこ動いてるし、尻尾もブンブン振り回されてる。

「ところでいつから待ってたの?」

「今来た所です!」

 あれ、何か反応が変わった。焦ってる感じかな?

「ホントに? 後でリアに聞いたらなんでもわかるんだよ?」

 リアは部屋で留守番してる。いつも一緒にいる訳では無い。彼女にだって何かやることだってあるに違いない。
 レオナは観念した様子で呟いた。

「夜明けからです……」

 って二時間以上も待ってたのか! と僕が驚いていると力強くレオナが続けた。

「でも、私にとっては今来たところも同然なんです!」

 二時間前は今じゃないっていくら言っても聞かなそうだな……これ……

「わ、わかったよ。じゃあ悪いけど、寮の部屋を教えるから明日からは二時過ぎくらいに迎えに来てよ」

「かしこまりました」

 そう言ってレオナはペコリとお辞儀をした。これで大丈夫かな?

 講堂に入るとずらりと列が出来ている。恐らく受付なのかな? レオナと共に列の一番後ろに着く。

「お名前は?」

「アインスです」

 僕の番が来たので、名前を告げた。受付の人はパラパラと紙を捲って、その中から一枚を取り出した。

「これ、読めますか?」

 ピラピラと手に持った紙を見せられた。なんでそんなこと聞くのだろう。

「僕の名前と三組って書いてありますけど?」

「ああ、なら問題ないです。奥に入ったら三組の空いてる席に座って下さい」

 少し疑問に思ったが、後にも並んでいるので僕はその紙を貰って列から離れた。
 不思議に思いながら紙を眺めていると、僕の次に受付を済ませたレオナが話しかけてきた。

「どうしたんですか?」

「ん? ああ、受付の人がこれ読めますか? って聞いてきたから……」

 僕はレオナに紙を手渡した。するとレオナの表情がパァっと明るくなった。

「やった! 一緒の組だ! って単純に読めるか聞いてきただけですよ。文字が読めない人もいますから」

「あ、そうか。当たり前過ぎて気づかなかった」

「とりあえず席に着きません?」

 レオナが中に入るように促すので、僕は頷いて空いてる席に並んで座った。
 席に着いて僕がまだ不思議そうに紙を眺めていると、レオナが話しかけてきた。

「まだ何か気になるんですか?」

「いや、気になるって程じゃないけど……」

「そうですね……毎回そうやって紙を渡されるのはいつもらしいです。読めれば問題無いですし、読めなかったら教えてくれるんです。どこの組だよって。そういう人はどの席に座ればいいかもわかりませんから席まで案内するみたいです。ほら」

 レオナに言われて辺りを見渡すとちらほら教師に連れられている子供達もいた。

「でも、紙渡す必要もないんじゃない?」

「席を立って、わからなくなった人にとかじゃないでしょうか」

 ああ、トイレとかで席を離れたあと、戻れなくなる人もいるかもしれないってことか。
 特に不思議に思うことでもないかな……

「なるほどね。ありがとう、もう大丈夫かな」

 レオナにお礼を告げると笑顔が返ってきた。

「どういたしまして。ご主人様のお役に立てて光栄です。でも、私がご主人様に教えられることもあるんですね」

「僕だってなんでも知ってる訳じゃないし、ルーチェ村から出たこと無いからこの世界の常識は疎いと思うよ」

 僕の知識は前世の記憶に偏っている。小さな村での生活と前世の記憶だけと言っても過言じゃない。間違いなく一般常識はレオナの方が知っているだろう。

 そんな話をしていると入学式が始まった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。 全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。 ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。 これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

何故か転生?したらしいので【この子】を幸せにしたい。

くらげ
ファンタジー
俺、 鷹中 結糸(たかなか ゆいと) は…36歳 独身のどこにでも居る普通のサラリーマンの筈だった。 しかし…ある日、会社終わりに事故に合ったらしく…目が覚めたら細く小さい少年に転生?憑依?していた! しかも…【この子】は、どうやら家族からも、国からも、嫌われているようで……!? よし!じゃあ!冒険者になって自由にスローライフ目指して生きようと思った矢先…何故か色々な事に巻き込まれてしまい……?! 「これ…スローライフ目指せるのか?」 この物語は、【この子】と俺が…この異世界で幸せスローライフを目指して奮闘する物語!

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

処理中です...