賢者の幼馴染との中を引き裂かれた無職の少年、真の力をひた隠し、スローライフ? を楽しみます!

織侍紗(@'ω'@)ん?

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第三十五話 白い炎

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 カタリナは右手を伸ばしながら言の葉を紡いだ。

「ではワタクシの番ですわね。火炎矢フレアアロー!」

 当然、僕はレオナの時と違って、カタリナには火炎矢フレアアローのような物を作ろうと想像した。カタリナには既にその役目はお願いしてある。前に一度だけ魔法を使ったことがあるので、その時と同じように……

 だから、僕はカタリナが言の葉を紡ぐと同時にカタリナの前に火炎矢フレアアローを発生させた。
 そう、アマンダ先生と同じような火炎矢フレアアローを発生させたつもり・・・だった。
 しかし、カタリナの目の前に発生した炎矢は白かった・・・・。それが飛翔し、鉄の的に当たるが、アマンダ先生のようになかなか消えない。しばらく燃え上がり続けている。そしてその炎が消えた時、鉄の的も一緒に消えていた。

 今度は歓声が上がらなかった。逆に周囲に重苦しい程の沈黙の時がが流れた。何故ならこの事態を想定している者など、僕を含めていなかったのだから。まさかアマンダ先生以上の魔法の使い手が現れるなんて、絶句してしまうのも当然だった。

「ほら、だから言ってたじゃない。気をつけてって。あたしは忠告したからね?」

 いや、さっきの言葉は訂正しよう。どうやらこの場に事態を想定してた人が居たみたい。リアだ。

「ま、前と同じようにしただけだったんだけど、なにが起きたの?」

「前と同じじゃダメに決まってるじゃない」

「え、なんで?」

「だってマスターはレベル上がってるじゃない?」

「うそ? 魔法にも影響あるの?」

「あるわよ。逆になんで無いと思ってたのよ? 動きやすくなったって自分で言ってたじゃない?」

「ぐぬぬ……」

「それにしてもさ、白い炎なんか作ってくれちゃって。そんな温度の火炎矢フレアアローじゃ、鉄だって蒸発するわよ」

「やっぱり。白い炎の矢が現れた時、あれ? と思ったんだよ」

「そ、だからこれからはもっと気をつけてよね。レベルが上がったらもっと抑えてあげないと。あの子にも魂の記憶はあるから育てれば白い火炎矢フレアアローも放てるだろうけど、間違っても青い火炎矢フレアアローは無理だから。マスターと違ってね。ま、逆に考えれば白い火炎矢フレアアローで運が良かったわね。青かったらどうやっても取り繕えない事態になってたわ」

「わ、わかったよ……運が良かったのか、悪かったのか分かんないけど……」

 でも、場の雰囲気は戻らなかった。そんな中、アマンダ先生が放心状態でぼそぼそと何かを呟いているのが聞こえた。

「ありえない……あんな威力見たことも聞いたことも無いわ……いや、確か千年前の魔王四天王の一人が白い炎を操った伝説はあったけど……まさか本当に白い炎がこの世にあるなんて……神話の世界じゃない? 現実に有り得ることなの?」

 既にカタリナは神話の域に片足を突っ込んでしまったようだった。僕の代わりにカタリナが目立てば、僕が目立たなくなる計画だったんだけど、神話級に目立つのはちょっとやりすぎたかも……

「で、ワタクシはどうすればいいんですの?」

「あ!」

 カタリナの言葉にアマンダ先生が我に返る。するとアマンダ先生はカタリナの手をとり興奮気味にこう言った。

「カ、カタリナちゃん! 凄いじゃない! あんな威力の魔法、世界で誰も使えないわ! いや、過去を遡っても神話にしか出てこないもの! まさかそんな魔法をこの目で見れるなんて、私もビックリしたわ! でも、あなた遊び人じゃなかったの?」

「あ、遊び人ですわよ」

 アマンダ先生の言葉にカタリナは少し戸惑いながら答えた。

「もしかして、何があったか分からないけど、もう職位クラスが変わったのかも! 冒険者ギルドに行けば有料だけど職位クラス判定してくれるわ! お金は学校で出すから行きましょう!」

「え、嫌ですわ」

 カタリナが拒否したのは当然のことだった。カタリナはまだ遊び人である。行っても意味無いのはカタリナは知っているし、逆にカタリナが遊び人であれほどの魔法を使ったのはおかしい、となる可能性もある。

「仕方ないわね……じゃあせめて組を変えましょう! 魔法職の二組に!」

 アマンダ先生はそこまで言うとハッとした表情になり、腕を組んで考え込み出した。

「いや……これなら王都の学校に行く事になるわね……」

 プラムと同じか……僕は嫌な出来事を思い出してしまった。胸を締め付けられる感じがする……

「え、そんなの嫌ですわ。王都にも行かないし、二組にも行かないですわ」

 カタリナは即答だった。その答えにアマンダ先生は驚いてしまった。

「な、なんで? あなたの魔法の才能を生かすにはそっちの方がいいんじゃない? 王都の方が良い暮らしも出来るし、将来の道も有利になるわよ?」

「しつこいですわね。私は御主神様アインスさまと一緒じゃなきゃ生きる意味がないですわ。これ以上しつこいと、ワタクシまた魔法を使いたくなっちゃうかもしれませんわ」

 きゅ、究極の二択だ。カタリナは魔法を使えないから、僕がまた魔法を使わないといけない。そうしないと逆にカタリナが魔法を使えないことがバレてしまう。アマンダ先生を白い火炎矢フレアアローで焼き殺すか、バレるかの究極の二択。
 僕の背筋には冷たい汗が、そして辺りには沈黙の時が流れた。チラリと周囲の様子に目を配ると、一人残らず青ざめている。カタリナとリア以外は。
 そんな重苦しい空気を動かしたのはアマンダ先生だった。

「ま、まぁそこまで言うなら仕方ないわね……でも、そうなら、逆にウチの学校としては好都合だわ。というのも、恐らく年末にある学校対抗の大会には出てもらう事になるから。どう考えても、あなたの魔法は強いからね。今まで王都の学校しか勝ったことのない大会でついに他の学校が勝利を収めるのね……しかも、それがウチの学校とはラッキーだったわ……でも、今年は勇者の王子とこの間の賢者の子が出るはず……三人出場だから他の子次第だけど気をつけなくちゃ……」

 アマンダ先生が妄想であさっての方向に行ってしまっている。
 ってか賢者の子って多分プラムのことだろうな。年末の大会プラムも来るのか。まぁどうせ外から見るだけだから関係ないかな。
 と思っていたら、カタリナがとんでもない事を口走ってしまった。

「出てあげても宜しいけど、出るならこの三人でですわ」

「え、無理よ。だってこの二人は魔法もろくに使えないのよ? あなたの足を引っ張るだけじゃない?」

「じゃなきゃ出ませんですわ」

「仕方ないわね……ま、年末までに他の二人が周りを認めさせられればいいでしょう」

「ちょ、ちょっと! 僕は出たいなんて一言も言ってないけど! レオナだって!」

わたしはご主人様が出ると仰るならば当然出ますけど……」

「アインス君は学校が負けてもいいと言うのね?」

「ぐぬぬ……」

「はい、とりあえずこの話はおしまい。とは言っても私も個人的にアインス君には期待してるんだから頑張ってよね?」

 アマンダ先生はウインクをしながら僕にそう告げた。そのアマンダ先生の様子とレオナの言葉に僕は押し黙ることしか出来なかった。
 そしてその時、無情にも学校の終わりを告げる鐘が鳴り響くのであった。
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