賢者の幼馴染との中を引き裂かれた無職の少年、真の力をひた隠し、スローライフ? を楽しみます!

織侍紗(@'ω'@)ん?

文字の大きさ
70 / 123

第七十話 デイビッドの興味④

しおりを挟む
「わかりました。でも、僕にも言える事と言えない事があります。本当に言えないって事はいくら聞かれても言えないですよ?」

「ええ、ええ、勿論でゲスよ。それは当然の事でゲス。でも、極力魔導具の事は教えて欲しいでゲス。趣味でゲスから。ぐへへ」

 デイビッドさんのカエル潰れたような顔が、より一層潰れ、僕の苦手な笑い声が漏れた。やっぱりこればっかりは慣れないな……

「うぐ。ま、まあ今日の魔導具ですが……」

「やっぱりお湯を出す魔導具ですか?」

 僕ははその問いに首を横に振りながらこう答えた。

「いえ、温泉ですよ。出すのは」

「お、温泉! 本当でゲスか!」

 その言葉を聞いた僕はにやりと笑ってこう返した。

「嘘言ってもしょうがないじゃないでゲスか?」

 デイビッドさんはその言葉に苦笑いをしてしまう。さっきのお返しだとデイビッドさんも気がついたみたいだった。

「坊ちゃんもお人が悪い。これは一本取られましたでゲスな」

「さっきのお返しですよ。ま、正確にはお水を出す魔導具と、お湯にする魔導具と、温泉にする魔導具の三つですけどね」

 と、僕は指を三本立ててデイビッドさんに伝えた。

「まぁ、これでお相子ということでゲスね。しかし、温泉でゲスか。正直、想像の斜め上を行き過ぎでゲスね。たしかにそれなら他に人がいる場所で使いたくないのも分かるでゲス……でも、なんで温泉なんて作ろうと考えたのでゲスか?」

「先日、ラムネスの街に行ったんです。それで温泉が良かったので再現してみようかなと思ったんです」

 まさか行ったのに温泉に入った記憶が無いから、なーんて言う訳にいかない。先程、言えない事は言わないと言質を取ったばかりなので問題ないだろう。

「ほう、なるほど。でも、再現とは……そうだ、坊ちゃん。これ譲って貰えませんでゲスか?」

「え? これを?」

「そうでゲス。金貨三百枚でどうでゲスか? 温泉にする魔導具だけで構わないでゲスから」

 ゴブリンの魔石で普通は金貨一枚である。三百枚で買うと言うのだ。正直、有り得ない金額過ぎて、僕はびっくりしてしまった。なんせ三百倍である。

「いくらなんでも高すぎでは? これ、元々ゴブリンの魔石ですよ? しかもデイビッドさんが使えるかも分かりませんし」

「なんと、そんな魔石でこれ程の物を作るとは……やはり坊ちゃんはとても興味深いでゲス……それに、私としてはそんなこの世に一つしかない魔導具、使える、使えないの問題ではないでゲス。趣味でゲスからね」

「どっちしろ僕にとってはゴブリンの魔石にすぎないので、それはちょっと高いです。それに譲るつもりはないです。自分でも使いたいですし……」

「ムムム……じゃあ作って貰えませんでゲスか?」

 デイビッドさんは引き下がる様子は全くなかった。どうしてもこの魔導具が欲しいようだった。

「作る? どうしてそんなに欲しがるんですか?」

「さっきも言ったでゲスよ。趣味でゲス。それにね、もし使えるのでしたら、商売にも使えると思っているのでゲスよ。それを使えれば宿屋のお客様も喜ぶじゃないですか? 宿の浴場が温泉になるでげすよ? 金貨三百枚払っても試す価値はあると思うのでゲス」

「なるほど……確かにそれはそうですね。試すくらいは別にこれでデイビッドさんにさせてもいいですけど……でも、魔導具の事バレないですか? ラムネスの街の温泉は輸送向きじゃないですよね。輸送してきた、なんて言い訳使えないと思うんですが」

 温泉を輸送すること自体は出来るかもしれない。でもラムネスの温泉は無理だと僕は思った。単純に輸送中に炭酸が抜けてしまうからだ。

「うーん、確かにそうでゲスね。私も以前、やってみようとした事はあるのでゲスが、輸送すると状態は変わっちゃいますし、費用の面でも厳しかったでゲスね。割に合わないでゲスよ」

 どうやらデイビッドさんは既に試したことがあるようだった。次いで僕は浮かんだ疑問をデイビッドさんに尋ねた。

「ちなみに温泉って普通に掘って出るもんなんですか? この辺でも」

「それはわからないでゲス。出るまで掘る訳には行かないでゲスし、ある程度の広さの場所も必要でゲスからね。そんな賭けみたいなことやろうと思ったことすらないでゲス」

「つまり、絶対に出てその広さもある程度あればいいんですか?」

「それは理想ですが、そんな都合の良い事がある訳ないじゃないでゲスか? その魔導具はずっとお湯を温泉に変えることが出来るわけじゃないでゲスよね? お水の出る魔導具も、お湯に変える魔導具も、常に効果を発揮する訳無いでゲス。もしそうならこの辺水浸し……いや、温泉浸しでゲスからね」

「まぁそれはそうなんですけど……」

 実は僕にはこの時、とある考えが浮かんでいた。これが出来れば、今、僕が懸念していることが一つ解決するかもしれない策だ。デイビッドさんに伝えてみる価値はあるかもしれない。そう思った僕は、その考えをデイビッドさんに伝えることにした。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

何故か転生?したらしいので【この子】を幸せにしたい。

くらげ
ファンタジー
俺、 鷹中 結糸(たかなか ゆいと) は…36歳 独身のどこにでも居る普通のサラリーマンの筈だった。 しかし…ある日、会社終わりに事故に合ったらしく…目が覚めたら細く小さい少年に転生?憑依?していた! しかも…【この子】は、どうやら家族からも、国からも、嫌われているようで……!? よし!じゃあ!冒険者になって自由にスローライフ目指して生きようと思った矢先…何故か色々な事に巻き込まれてしまい……?! 「これ…スローライフ目指せるのか?」 この物語は、【この子】と俺が…この異世界で幸せスローライフを目指して奮闘する物語!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

私のスキルが、クエストってどういうこと?

地蔵
ファンタジー
スキルが全ての世界。 十歳になると、成人の儀を受けて、神から『スキル』を授かる。 スキルによって、今後の人生が決まる。 当然、素晴らしい『当たりスキル』もあれば『外れスキル』と呼ばれるものもある。 聞いた事の無いスキル『クエスト』を授かったリゼは、親からも見捨てられて一人で生きていく事に……。 少し人間不信気味の女の子が、スキルに振り回されながら生きて行く物語。 一話辺りは約三千文字前後にしております。 更新は、毎週日曜日の十六時予定です。 『小説家になろう』『カクヨム』でも掲載しております。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

聖女のはじめてのおつかい~ちょっとくらいなら国が滅んだりしないよね?~

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女メリルは7つ。加護の権化である聖女は、ほんとうは国を離れてはいけない。 「メリル、あんたももう7つなんだから、お使いのひとつやふたつ、できるようにならなきゃね」 と、聖女の力をあまり信じていない母親により、ひとりでお使いに出されることになってしまった。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

処理中です...