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第七十一話 デイビッドの興味⑤
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「デイビッドさん、試してみないと分かりませんが、ずっと温泉を作る魔導具は作れると思います。あと、お水が出る魔導具も、お湯にする魔導具も、です。残りは場所の問題ですが、これも解決できるとしたら……どうです? 場所については僕の考えなだけで、許可が得られるかは確認してみないとわからないのですけれども」
と僕が話すと、デイビッドさんは興味津々とばかりに身を乗り出してきた。
「本当でゲスか? と言っても嘘を吐いても仕方ないでゲスよね。いやいや、これは失礼しましたでゲス。ついつい……ね。ま、でも、それならすぐにでも取り掛かりたいものでゲスね。ちなみにどんな案でゲスか?」
「いや、孤児院の裏庭があるじゃないですか? あそこを掘って、そこから温泉が出た事にするんです。出るかわからないから掘らないのであって、絶対に出るならば掘っても良いんですよね? 外向けには占いか何かで温泉が出る場所がわかったとか適当な理由を付けて。デイビッドさんはただ掘ればいいだけ。そこからは必ず温泉が湧き上がる、という訳です」
そして僕はチラリと魔導具に視線を送った。そう、掘った穴の奥底に新たに作った魔導具を入れてしまえばいい。デイビッドさんにも僕の考えは伝わったようだった。
「ふむ。それは面白いでゲスな。それにあそこなら広さも充分でゲスな。と言うか掘るだけじゃ広すぎるくらいでゲス」
「ですよね? だから、ラムネスにあるような温泉の施設を作ってみては? 孤児院の裏庭ならラークアの隣だし、くっつけちゃえば宿屋の施設として使えるんじゃないですか?」
正直、ラムネスの施設の広さは知らないが、前の世界であった屋根付きの運動場の近くにあった温浴施設には行ったことが何度もある。一人でね……
で、それくらいの広さなら作れそうに思っていた。
「なるほど。あの広さならラムネスの施設よりも、数段大きなものが出来そうでゲスね」
「なら良かったです。それでなんですが、土地を借りるお金としてシスターにお金払って欲しいんです。ずっとシスターの事が気がかりだったんです。でも、何か商売をやるにしてもシスターが出来るかどうかもわからないし、成功するかもわかりません。なので安直にシスターに提案が出来なかったんです。でも、デイビッドさんなら商人ですから商売の提案を出来るかなと。それで儲けたお金を少しでもシスターに回して貰えると問題が解決すると思うんです。僕はずっと孤児院のことが気がかりでして……」
そう、僕の最大の懸念事項はシスターのことだった。火の車である孤児院を助ける方法はないか、ずっと考えていた。前みたいに僕が手助けすることは出来るかもしれない。でも、シスターはそれを望んでないと僕は思った。だからこそ、悩んでいたのだけれども、商売はデイビッドさんが行って、土地の賃料を支払えば、シスターの収入にも繋がって、懸念事項が解決するのではないか。僕はそう考えたのだった。
そう思って話した僕の言葉に対して、デイビッドさんはゆっくりと頷いた。
「ええ、それは勿論でゲスよ。私もシスターの件は気になってはおりましたのでゲス。それ以前に土地を借りておいて無償と言うのもありえませんでゲス。ちゃんと土地を借りた分のお金はお支払いするでゲス」
「良かった。ありがとうございます。それでシスターも寄付に頼らない生活が出来るようになればいいのですが……ただ、作るにはお金が必要なんですよね……」
「まぁそれは当然でゲス。私も商売人の端くれ。そういう経験は多いでゲス。経験上でゲスが、ざっと見積もった所、金貨五万枚くらいでゲスかな」
「五万枚も、ですか……」
なかなかの大金だ。流石に僕には用意出来ない。ゴブリンの魔石で金貨一枚、もっと強い魔物なら高く買い取ってくれるだろうが、そういう魔物はダンジョンの奥深くにいるような魔物だ。
ゴブリンのように近くで倒せる魔物でもないし、数も多くいる訳ではない。何しろ持ち帰るのも簡単ではないのだ。
金貨五万枚という金額は、あまりにも途方も無い金額すぎる……
僕は、せっかくシスターを助けられる、と考えたこの案を諦めるしかないな……と思ったのだった。
しかし、その時だった。デイビッドさんが僕の予想だにしなかった言葉を発したのは。
と僕が話すと、デイビッドさんは興味津々とばかりに身を乗り出してきた。
「本当でゲスか? と言っても嘘を吐いても仕方ないでゲスよね。いやいや、これは失礼しましたでゲス。ついつい……ね。ま、でも、それならすぐにでも取り掛かりたいものでゲスね。ちなみにどんな案でゲスか?」
「いや、孤児院の裏庭があるじゃないですか? あそこを掘って、そこから温泉が出た事にするんです。出るかわからないから掘らないのであって、絶対に出るならば掘っても良いんですよね? 外向けには占いか何かで温泉が出る場所がわかったとか適当な理由を付けて。デイビッドさんはただ掘ればいいだけ。そこからは必ず温泉が湧き上がる、という訳です」
そして僕はチラリと魔導具に視線を送った。そう、掘った穴の奥底に新たに作った魔導具を入れてしまえばいい。デイビッドさんにも僕の考えは伝わったようだった。
「ふむ。それは面白いでゲスな。それにあそこなら広さも充分でゲスな。と言うか掘るだけじゃ広すぎるくらいでゲス」
「ですよね? だから、ラムネスにあるような温泉の施設を作ってみては? 孤児院の裏庭ならラークアの隣だし、くっつけちゃえば宿屋の施設として使えるんじゃないですか?」
正直、ラムネスの施設の広さは知らないが、前の世界であった屋根付きの運動場の近くにあった温浴施設には行ったことが何度もある。一人でね……
で、それくらいの広さなら作れそうに思っていた。
「なるほど。あの広さならラムネスの施設よりも、数段大きなものが出来そうでゲスね」
「なら良かったです。それでなんですが、土地を借りるお金としてシスターにお金払って欲しいんです。ずっとシスターの事が気がかりだったんです。でも、何か商売をやるにしてもシスターが出来るかどうかもわからないし、成功するかもわかりません。なので安直にシスターに提案が出来なかったんです。でも、デイビッドさんなら商人ですから商売の提案を出来るかなと。それで儲けたお金を少しでもシスターに回して貰えると問題が解決すると思うんです。僕はずっと孤児院のことが気がかりでして……」
そう、僕の最大の懸念事項はシスターのことだった。火の車である孤児院を助ける方法はないか、ずっと考えていた。前みたいに僕が手助けすることは出来るかもしれない。でも、シスターはそれを望んでないと僕は思った。だからこそ、悩んでいたのだけれども、商売はデイビッドさんが行って、土地の賃料を支払えば、シスターの収入にも繋がって、懸念事項が解決するのではないか。僕はそう考えたのだった。
そう思って話した僕の言葉に対して、デイビッドさんはゆっくりと頷いた。
「ええ、それは勿論でゲスよ。私もシスターの件は気になってはおりましたのでゲス。それ以前に土地を借りておいて無償と言うのもありえませんでゲス。ちゃんと土地を借りた分のお金はお支払いするでゲス」
「良かった。ありがとうございます。それでシスターも寄付に頼らない生活が出来るようになればいいのですが……ただ、作るにはお金が必要なんですよね……」
「まぁそれは当然でゲス。私も商売人の端くれ。そういう経験は多いでゲス。経験上でゲスが、ざっと見積もった所、金貨五万枚くらいでゲスかな」
「五万枚も、ですか……」
なかなかの大金だ。流石に僕には用意出来ない。ゴブリンの魔石で金貨一枚、もっと強い魔物なら高く買い取ってくれるだろうが、そういう魔物はダンジョンの奥深くにいるような魔物だ。
ゴブリンのように近くで倒せる魔物でもないし、数も多くいる訳ではない。何しろ持ち帰るのも簡単ではないのだ。
金貨五万枚という金額は、あまりにも途方も無い金額すぎる……
僕は、せっかくシスターを助けられる、と考えたこの案を諦めるしかないな……と思ったのだった。
しかし、その時だった。デイビッドさんが僕の予想だにしなかった言葉を発したのは。
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