賢者の幼馴染との中を引き裂かれた無職の少年、真の力をひた隠し、スローライフ? を楽しみます!

織侍紗(@'ω'@)ん?

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第七十二話 デイビッドの興味⑥

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「じゃあ明日から取り掛かるでゲスかね」

「え? なんで?」

「さすがに坊ちゃんには申し訳ないでゲスけど、今からは無理でゲスよ。一日も早く取り掛かりたいのはわかるでゲスがね。そこは我慢して欲しいでゲス」

「いや、そうじゃなくて金貨五万枚かかるんじゃ?」

「かかるでゲスよ?」

「僕、そんなお金用意出来ないですよ?」

「何を言ってるんでゲスか? 何で坊ちゃんがお金を出すんでゲスか? これは私の商売でゲス。勝手にお金を出されたら困るでゲスよ。坊ちゃんは魔導具で温泉を作る。勝手にそれ以上をしないで頂けないでゲスか?」

「え? あ、ああ……そう言えばそうですね。でも大丈夫なんですか?」

「何がでゲスか?」

「金貨五万枚って大金じゃないですか? デイビッドさん、用意出来るんですか?」

「ああ、それなら大丈夫でゲスよ。別に蓄えもあるでゲスからね」

「かと言ってその金額を即決出来るなんて……」

「お言葉を返すでゲスがね、坊ちゃん。ご自分が金貨三百三枚を即決したのは忘れたのでゲスか? ご自分の行為を棚に上げないで欲しいでゲス」

「あ……すいません……」

 つまりデイビッドさんは僕が金貨三百三枚に抱く価値と、デイビッドさんが金貨五万枚に抱く価値が同程度だと言ってると僕は考えた。

「そうですね……あとは利益配分でゲスかね? 確かラムネスの街の施設が銀貨二十枚で一日三千名くらいの来客だったはずでゲス。利益が月で金貨三千枚程度でゲスから、シスターには毎月金貨三百枚くらいが必要でゲスね。建物が出来るまでには半年くらいかかるとして、完成までにシスターにお支払いする金貨は千五百枚程度でゲスね。ふむ、問題無いでゲスね。それにラムネスの施設でその数でゲスから、交通の便も良く、街の規模も大きいこの街なら上振れする可能性は高いでゲスね。より大きな施設になるでゲスし、金額をラムネスの施設より上げてもいいかもしれないでゲス。ま、それは後々でいいでゲス。最初は同じくらいの値段でやってみるでゲスか」

 デイビッドさんは早速皮算用を始めた。が、そこにはラムネスの施設の情報という、とんでもないことが盛り込まれていたので、僕は驚いてしまった。

「ちょ、ちょっ! デイビッドさん? なんでそんな事を知ってるんですか?」

「昔ちょっと有名だった時の伝手でゲス。商売に関する事はちょっとばかり詳しいのでゲスよ」

 僕は詳しいと言うレベルじゃない気がした。もし、情報が本当だとすると店の売上どころか利益、つまり経費に関する情報までを持っているのだ。重要過ぎる情報である。
 それを手に入れられる立場にデイビッドさんはいるという事は確かだった。

「それ、ちょっとじゃないですよ? かなり詳しいですよ? デイビッドさんって何者なんですか?」

「まぁまぁ、私の事はどうでもいいでゲスよ。それよりも後は坊ちゃんの分け前でゲスね。シスターに払った分の残りを半分って所でゲスかね? 金貨千三百五十枚と言う所でしょうかね? いかがでゲスか?」

「金貨千三百五十枚!」

 さっきの魔導具で三百枚である。それでも多いと思ったん! これは、さすがに多すぎる!

「ふむ、じゃあ千五百枚にするでゲスかね」

「逆に増えてる!」

「いや、だって坊ちゃんがいないと成り立たないでゲスからね。もっと払ってもいいでゲスよ? じゃあ毎月二千枚にするでゲスからね」

「また増えてる! しかも毎月だったの?」

「ええ、だって利益を分けるって話でゲスからね。そりゃ毎月でゲスよ。ただ、坊ちゃんの場合は利益が出てからでゲスから、完成してからと言う事にはなりますでゲスがね。そもそも二千枚出したって七百枚は利益が残るのでゲスから。最初の金貨五万枚も十年かからず回収出来るんでゲスからね。上振れすればもっとでゲスよ。そして、さっきの通り、上振れする可能性はとても高いのでゲス。ね、とても魅力的でゲスよ。そう思いませんか? それに今回の施設の建設に伴って宿屋も増築するでゲス。大体客室数は倍くらいを考えてるでゲス。それでもラムネスの宿屋を全部合わせた数の半分、そのまた半分にも届かないんでゲスからね。今でもほぼ満室でゲスから、施設も出来れば増やしても満室になるでゲスよ。そちらでも回収出来るのでゲスから、坊ちゃんは気兼ね無く受け取っていいでゲスよ」

「いやいや! ダメですよ! そんないらないです!」

 魅力的を通り越して恐怖を感じる提案すぎて、僕は断ってしまった。何もせずに毎月金貨二千枚である。そんな大金を十二歳にして手にしてしまっては、自分が真っ当な人間になれない気がしてしまったのである。金の魔力は人を変えるとも言うし……実際それはこの目で見てきてる。

「ふむぅ。強情なお方でゲス……まぁいいでしょう。坊ちゃんも喜んで頂けるようなものを考えておくでゲス」

「あはは……お、お願いしますね……」

 今までのデイビッドさんとの会話から、自分が喜べるような物は出てこない気がした僕は、乾いた笑いを返す事しか出来なかった。

 そこまで話したデイビッドさんは再度、紅茶を口にして一息をついた。

「いやはや、やはり坊ちゃんには世界を旅して頂きたいでゲスよ。こんな人材を一つの場所に留めるなど世界の損失でゲスからね」

「世界の損失だなんて……でも、ありがとうございます。実は僕も学校卒業したらそうしようかと思っていたのです」

「おお! 是非お願いしますでゲス! その時は教えて欲しいでゲス! 微力ですが何かお役に立てるかもしれないでゲスから」

「ええ、その時は宜しくお願い致します」

 デイビッドさん今までで一番大きく顔をゆがめて、こう続けた。

「いやいや、今日は大変有意義な時間を過ごさせて頂きましたでゲス。坊ちゃん、ありがとうございますでゲスね」

「いえ、こちらこそありがとうございます」

 その時、扉がノックされ、声が聞こえる。

「失礼致します。アインス様をお尋ねになられた方がいらっしゃいました」

 その言葉にデイビッドさんは答えた。

「ええ、わかったでゲス。すぐに坊ちゃんは行きますのでゲスから、少しお待ち頂くように伝えて欲しいゲス」

「かしこまりました」

 扉の向こうからそう声が聞こえた。
 するとデイビッドさんは僕に向き直って話しかけた

「さて、坊ちゃん。お迎えがいらっしゃったようでゲス」

「ええ、デイビッドさん。今日はありがとうございました」

「いえいえ、こちらこそでゲス。さ、お迎えの方がお待ちですから行って上げてくださでゲス。孤児院の裏庭の事はあとで私からシスターに話しておきますから大丈夫でゲスよ。坊ちゃんからの話とは伝えさせて頂きますがね」

「ありがとうございます。それでは……」

 僕は一つ礼をして、部屋を後にしたのだった。
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