賢者の幼馴染との中を引き裂かれた無職の少年、真の力をひた隠し、スローライフ? を楽しみます!

織侍紗(@'ω'@)ん?

文字の大きさ
100 / 123

第百話 怪しい森

しおりを挟む
 僕たちはその後すぐに村を出た。そしてしばらく経った後のこと、先頭を歩くアマンダ先生が前を向きながら口を開いた。

「ごめんね。あまり村の中で話して村の人達に聞かれるのも避けたくて」

 肩を竦めてそう言ったアマンダ先生に僕も歩みを止めずにこう返した。

「ええ、大丈夫です。気にしないで下さい」

「そう言ってくれると助かるわ」

「村の雰囲気からあまり歓迎されていないのはわかりますので……調査に協力的って感じにもならなかったでしょうし……とりあえず隣村でしたっけ? フリックさんも言ってましたけど仲が悪いっていう村に行くんですよね?」

 アマンダ先生がその言葉に頷いている。

「仲が悪いって言うのもなんだか嫌なんだけど、実際お互いそうだしね……隣村って言っても結構離れてるのよ。あの森の反対側ね」

 と、アマンダ先生は右手を上げた。指を差す正面にはうっすらと森が見える。

「じゃあ森の中を通っていくんですか?」

 その言葉にアマンダ先生は静かに首を横に振っていた。

「あそこはダメよ。迂回していくわ」

「何故ですか? 向こう側なら通って行った方が早いんじゃないですか?」

 アマンダ先生はピタリと止まり、僕たちの方に向き直ってからこう言った。

「あそこはね入ったら誰も出られないって言われてる森なのよ」

 その言葉に僕はこう問いで返す。

「え、じゃあ今回の事件って皆、あそこにいるんじゃないですか? 一番怪しく無いですか?」

 その問いに、アマンダ先生は腕を組んで考えながら答える。

「そうね……村の外の人ならそう考えるでしょう。実際一人や二人ならそう判断されてたかもしれない。過去にだってそういう事はあったわ。でも、入ったら出られないって言い伝えのある森があって、そこに何人も行くと思う? しかも、実際に帰って来てないし……もし、仮にそうだとしても、なんで多くの人があの森に入ったのか。子供が遊びで入る場所でも無い。ましてや大人が入る訳もない。原因がわからないから余計に不安なのよ、村の皆は……」

 僕はそれを黙って聞いてから一つだけ頷いた。

「なるほど……それはそうかもしれませんね。それで向こうの村に原因があるのでは? と言う事なんですか?」

 その問いにアマンダ先生は頷いている。

「仲が良くない向こうの村が何か絡んでるんじゃないか、って皆思ってるのよね。ま、元々、なんで村同士が仲が良くないかは、誰もわからないんだけど。昔っからそうだからね。私はそういうのが心底嫌だったわ。近しい者同士が理由もわからずにいがみあう。それが村を出た理由の一つでもあるわ。そこはキャロルも一緒よ。だから私もキャロルも村を出てから一度も帰ったことなんかなかったの」

 そこまで語ってから、アマンダ先生はまた前を向き歩き出した。

「って話しすぎちゃったわね。さ、あまり時間をかけるのも良くないし向かいましょう。日が暮れるまでには着いておきたいから」

 道中は何事もなく、無事に日が暮れる前に村の入口が見えてきた。だが、先頭のアマンダ先生は首をかしげている。

「アマンダ先生、どうしたんですか?」

 アマンダ先生は目の前の村をじっと見つめたまま、僕たちの方を向かずに声を返した。

「いやね……変なのよ。昔はあんな柵で囲まれていたわけじゃなかったはずなの……」

 そう言われて僕は村をよく見ると確かに柵に囲まれている。それはまるで……

「あれじゃ今のロザリーバレーだわ……」

 そう、アマンダ先生の言う通り、外からの侵入者を拒もうとする今のロザリーバレーそっくりなのだ。つまりアマンダ先生が言ったことが本当ならば、今、ロザリーバレーに起こっていることと同じことが起きている可能性が高い。いや、それどころか……
 そう思った僕は、アマンダ先生にこう提案する。

「アマンダ先生、ちょっと気になるところもあります。もうちょっと近づきませんか?」

 アマンダ先生は僕のその言葉に頷いた。

「そうね、ここからじゃ良く見えないからもっと近づきましょう。でも、気になるところって何?」

 僕は村の入口を指を差して答えた。

「あそこが村の入口ですよね? あんなに侵入者を拒もうとしているのに、入口で番をしている人がいません。ロザリーバレーでは僕たちは門番にすぐに止められましたし……普通なら一番、人がいなきゃいけない場所なはずです。それに、もうすぐ日暮れですし、侵入者を拒みたいならこれからの時間の方が気になるのでは? まぁここから見えにくい場所にいるのかもしれないですけど……」

 アマンダ先生はその話を聞いて、しばらく考え込んでからゆっくりと頷いた。

「確かにアインス君の言う通りね……ちょっと急いだ方がいいかもしれないわね……」

 その言葉に僕たちも頷き、先ほどよりも早い足取りで村へと向かった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!

にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。 そう、ノエールは転生者だったのだ。 そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

処理中です...