賢者の幼馴染との中を引き裂かれた無職の少年、真の力をひた隠し、スローライフ? を楽しみます!

織侍紗(@'ω'@)ん?

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第百十三話 復活

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 アマンダたちの目の前に立つその小さな人のような物は、手はとても細く二本の角が生え、緑色のローブを羽織った老人のようだった。髪の毛は無いが、白い髭を蓄えている。

「あ、あなたは何なの?」

 アマンダは目の前の存在にそう尋ねた。

「われはカノダバ……千年の眠りから目覚めた所だ……」

 するとその言葉を受けたアインスが、自身をカノダバと呼んだその存在へ、まるで当然の質問のごとく、こう尋ねた。

「あれ、カノダバってもしかして魔王なの?」

「ま、魔王!」

 アマンダはアインスのその言葉に驚き、オウム返しをしてしまう。が、カノダバは気にする様子もなく、こう答えた。

「魔王だと? われは魔王ではない……まぁわれら、協力はしてやったが……」

「そ、そんな……」

 アマンダの顔から血の気が引いていった。目の前の存在が、伝承上の魔王と同じ時代に生き、協力者だなんて聞いたのだから無理もなかった。しかしアインスはそうではなかった。
 
「へぇ、あまりその魔王とやらに敬意を持っているようには見えないね。魔王の部下なのか、似たようなものだったとは思うけど、ね。あと、村人たちを攫ったのもカノダバ? この森を作ったのもカノダバ?」

「そうだな……われは魔王に協力する代わりに色々な知識を受け取った。それ以前に元々、われは操るという能力に長けていた……そして、千年前に封印された時、森にわれの力で呪いをかけた。植物に関しては特にわれの得意とする物だったからな……それと貰った知識、強化された操る力……封印を解く力を集めるのに千年もの時を費やしてしまったよ……そして、とうとうその時が来たのだ。一斉に餌を集めさせて貰ったわ!」

「ひ、酷いわ! あ、あなたいったい何人の生命を吸い取ったの?」

 アマンダの顔はまだ青ざめている。しかし恐怖から必死に逃れようとして大きな声を出した。それを聞いたカノダバはアマンダにこう答えた。

「おまえは今まで食った餌の数を覚えているのか?」

「こ、この!」

 その言葉にアマンダの頭に血が上った。多くの人を殺して来た事をまるで気にしていない、その言葉に。
 しかし、その怒りを察したカノダバはアマンダを軽く睨みつけてからこう吐き捨てる。

「おや、餌が何か文句でもあるのか?」

「クッ! そ、そんな……」

 ほんの一瞬だった。アマンダはまたも真っ青になり、冷や汗だらけになるのにかかった時間は。アマンダは簡単な睨み一つで相当な威圧感、恐怖心を植え付けられてしまったのだった。

「こ、こんな力量差があるなんて……なんで私は無力なの……」

 その姿から相手の強大さを想像だに出来なかったアマンダは、自身の力の無さを呪った。アマンダは力量の差を経験からある程度感じる事が出来る。しかし、目の前のカノダバからその強さをさほど感じてはいなかった。だから、まだ振るまえていたのだ。今まではあくまで伝承上の存在を目の前にして、の恐怖にすぎない。
 しかし、それが出来たのはここまでだった。その力の差を眼前に突き付けられたアマンダは、もう今までのように強気ではいられなくなった。そして、自分の行動、判断の甘さを深く悔やんだ。

「クソッ! 私たちはまだいい……でも、アインス君たちは……」

 直ぐに訪れる自身の死は仕方が無い。判断を誤ったのは自分だからだ。それに、事件が発生していた村人たちも、カノダバに殺されるのは時間の問題だっただろう。アマンダはそう思った。しかし、アインスたち三人をは無関係だった。それを巻き込んでしまった。アマンダはそれを悔やんだ。
 彼らに罪は無い。ただの協力者だ。しかし、人間を餌と言い切るカノダバにいくら頼んでもアインスたちを逃す事など出来ないのは理解していた。

「となると、手はひとつか……時間稼ぎ……」

 となると、アマンダに取れる手はひとつしか無かった。それは時間を稼ぐ事。

「ミリアごめん。ちょっと下ろすわね」

 目の前のカノダバから視線を外さず、しゃがみこみミリアを下ろした。今まで恐怖で気付かなかったが、この時ミリアも恐怖で震えている事を知った。しかし、ミリアには悪いと思いながらも、アインスたちにミリアを頼むことをアマンダはしなかった。ミリアもここで命を落とす事になることが分かっていても。
 巻き込んでしまったアインスたちを逃がすチャンス作るのがアマンダのする最優先事項。ミリアを頼むと逃げられる可能性が少しでも下がる。そんなことをアマンダはする気がなかった。と、同時にアマンダの持つ最後の手段。それは三人までしか使えない。ミリアを切り捨てるのはアマンダにとって当然のことであった。
 そして、そのままの視線でアインスの傍まで行き、耳元でこうささやく。

「アインス君、最後の授業を始めるわ……」

「え?」

 その言葉に驚きの言葉を返すアインスだった。
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