賢者の幼馴染との中を引き裂かれた無職の少年、真の力をひた隠し、スローライフ? を楽しみます!

織侍紗(@'ω'@)ん?

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第百十四話 最後の授業

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 驚いたアインスはアマンダにこう尋ねた。

「最後の授業ってどういう事です?」

 するとアマンダはアインスに答えを返す。

「あいつの力はとても強大よ……私じゃあいつに勝てない……なんとか注意をひいて時間を稼ぐからあなた達は逃げて。ミリアも置いていって構わないから、なんとか君たちだけでも……」

「アマンダ先生、それって……」

 アインスはハッとした表情でアマンダを見るが、アマンダはカノダバをじっと睨んだまま、言葉を続けた。

「一つ目、何者にも負けない強さと優しさを持ち続けなさい! アインス君、あなたならできるはずよ! 二つ目、なんでもできるんだと信じなさい! この世のどんなものでも作ることができるし、どんなものでも壊すことができる! そして……三つ目。あなたの信じる道を進みなさい! これで卒業よ。もう……教えることはないわ」

 そこまで話したアマンダはアインスから一歩離れ、右手で剣を構えた。
 カノダバとは少し距離がある状況だった。アマンダは左手を前に出して身構える。

「われを倒そうというのか? 無駄なことを……」

 カノダバの言葉を無視し、アマンダは言の葉を紡いだ。

火炎槍フレアジャベリン

 差し出した左手の前に赤く燃え上がった炎の槍が舞い踊る。即座にそれ・・はカノダバに向かい発射された。
 と同時にアマンダはカノダバに向かい駆け出した。あくまで火炎槍フレアジャベリンは目くらましに過ぎない。自分の得意な接近戦で注意を引きつつ時間を稼ぐしかない。

筋力強化ストレングス

 駆けつつ筋力を強化する魔法を放つ。先ほどからの連戦だ。もうアマンダには魔力は殆ど残っていない。使える魔法はあと二つだけ。それに費やす魔力は残しておかないと……出来れば使いたくはなかったけれども。
 アマンダはそのような事を考えつつカノダバに向かって駆けていた。

 先ほどまでの恐怖はもう無かった。アインスたちを逃がしたい、その一心がアマンダの恐怖心を消していた。

 火炎槍フレアジャベリンがカノダバに当たると思われたその一瞬、カノダバが左手を振るった。その手の中には黒い魔力で出来た球体が存在していた。火炎槍フレアジャベリンはその球体に当たりかき消えた。

「え!」

 アマンダにとって予想外の出来事ではあった。傷を負わせられるとは思わなかったが、せめて目くらましにでもと思い放った火炎槍フレアジャベリンはその役目すら果たせなかった。しかし、アマンダは躊躇することなくカノダバの懐に潜り込み、右手の刃を横に薙ぐ。

 キィィィーン! 

 アマンダにとって必殺の間合いで薙いだ、その刃はカノダバの胴を捕らえるが、同時に真っ二つに折れてしまう。

「だから無駄だと言ったのだ」

 カノダバの呟きを聞き事なく、アマンダは折れた柄を投げ捨て距離を取った。

「われを倒すことは出来ぬ。われを断てる剣はたったひとつの聖剣のみ。そういう契約だからな」

 その時だった、アマンダの背後にいたアインスが叫んだのは。

「もう! うるさいな! ちょっと黙ってよ!」

 一瞬、アマンダは振り向きそうになるが、カノダバから目を離してはいけない、という思いがそれをさせなかった。

「あ、ごめんなさい。そういう意味じゃ……」

 アマンダの背後でアインスが謝罪の言葉を述べる。正直、アマンダには何を意図しているのか分からなかったので、その言葉に対して特に反応を示すことは無かったし、カノダバも同様であった。
 アマンダはそれ以上に大事なことを考えなければならなったこともある。

「クソッ! 剣が折れるなんて……この手しか……」

 そう、剣折れてしまったことでカノダバから時間稼ぎをする手段が無くなってしまったのである。だからアマンダは覚悟を決めた。死ぬ覚悟を。

透明障壁インビジブル・バリア!」

 アマンダは振り向くことすらせずに、後ろに右手をかざして言の葉を紡いだ。

「これでアインス君たちも耐えられる。私が放てる、最後の魔法に! 動けなくなっちゃうし、私の力じゃ三人までしかかけられないけどね。ゴメンね、ミリア」

 アマンダはそこまで話すと先ほどと同じように駆けた。違うのは魔法をまだ放っていなかったこと。アマンダはかけながら両手を胸の前で、まるで祈るかのように握って言の葉を紡ぐ。

最終爆弾オメガ・ボム

 と同時にアマンダの身体が淡い光に包まれる。その身体は一歩駆けるごとにどんどん強い光になっていった。自身の全魔力と全生命力をかけて敵を倒す魔法である。もちろん使った者は、死ぬ。

「無駄なことだというのに……」

 カノダバはそう呟きながら、その光に応えるかのように右手を掲げる。すると先ほどの黒い球体よりも数段大きい黒い球体がカノダバの頭上に現れた。
 そしてアマンダの身体から放たれる光が部屋を包み込むのとほぼ同時に、その球体が振り下ろされたのだった。
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