転生王女は世界ランキング1位の元廃ゲーマー ~一生Lv1固定が確定しちゃってても、チート級な知識の前にはそんなの関係(ヾノ・∀・`)ニャイ

織侍紗(@'ω'@)ん?

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「しっかりしろ! 頑張れ!」

 目を閉じて冷たい地面に倒れ込む私に呼びかける声が、凄い遠くでかすかに聞こえているような気がする。
 でも私の身体は重く、その声に応えることも出来ない。瞼すら開けることも出来ない。何故、倒れているかも分からないほど意識が混濁していた私は、そのままゆっくりと意識を失っていった……

 それからどれくらい経ったのかわからない。が、私はうっすらと意識を取り戻した。さっきみたいな身体の重さはさほど無い。膝が少し痛むけど多分かすり傷なのだろう。その程度の痛みだった。

 今度はゆっくりと瞼を開けてみる。薄暗くてはっきりと周囲を見ることは出来ないけれども、岩肌がゴツゴツと剥き出しの洞窟の通路の中だった。
 でも、周囲には誰もいない。あの声は誰だったんだろう? 何だったんだろうな。

「痛っ! あ、血だ!」

 私は混濁した意識の中で、さっきの声を思い出そうと深く考えようとした。が、頭に鈍い痛みが走り、咄嗟にこめかみを押さえた。何かヌルッとした感触がして掌を見ると、血が付いていた。どうやら頭を打って倒れていたみたい。

「待って……ゆっくりと考えよう。まず私は? アイラ、うん。そこは忘れてない」

 とりあえず私は焦らず一つ一つ思い出すことにした。

「ファンダール王国の第18王女、ってそこはあまり思い出したくないなぁ」

 まぁ王女だからこんなとこ・・・・・にいるのだけど、母が平民だった私は王族と呼べるような暮らしでは無かった。殆どの親族からはまるで居ないもののように扱われ、もしくは怒りの捌け口として矛先を向けられ、生傷だって耐えなかった。領地の端っこの馬小屋と呼んでもおかしくないような家で過ごすことを余儀なくされて。

 ああ、思い出すだけで惨めだなぁ

 なのに王族だからって王家の試練を受けろって、こんな所に連れてこられて、しかも普通なら騎士団がお付きなのに、私には勿体ないからって新米冒険者をあてがわれて。

「って待って! そう、私だけじゃないわ。他にも居たはず……」

 そう、ここには私だけじゃない、一応王族だった私の護衛として新米冒険者が確か三人ほど一緒に来たはず。

「でも、何処にもいないわ……いえ、ちょっと待って!」

 少し目の慣れてきた私は周囲を見渡した。すると少し離れた所に三つの人影のようなものが目に入った。私は駆け寄って三人の無事を確かめようとする、が。

「ダメだ、死んでるわ……」

 近くに寄れば確かめなくても死んでいることが分かった。
 一人は頭が岩に押し潰されて、頭を確認することすら出来ない。他の二人は手足が有り得ない方向を向いており、一人の首は背中側に折れ曲がっていて白目を剥いていて、もう一人の首はもげて横に転がっていた。私だけほぼ無傷なのは運が良かったと思うと同時に、私も死んでいたかもしれないと思い、ぞっとした。

「どうして? あ、そうだ! 崩落事故だ。私たちが歩いていたら何かが降ってきた」

 私はその光景を見て、私に……いや、私たち・・・に何があったのかを思い出した。私たちは王家の試練の為に、王家の墓と呼ばれるダンジョン奥深くまで潜っていた。そこで崩落事故に巻き込まれたんだった。そこまで考えて私はふと上を見た。ここは最下層ではあるけど、吹き抜けのようになっており、ずっと上まで見ることが出来た。
 目の前に降ってくる岩の数々、逃げ惑う私たち。さっきの光景が思い出されて背筋が冷たくなる。
 でも、本当なら目を背けたい、思い出したくもない光景なのに、何故か私の心に引っかかる。こんな光景、何処かで見たことあるような。でも、そんなことはない。私が今まで生きてきた中でそんなことは……

 私はそんなことを考えながらじっと見上げていた。すると突然似たような光景がフラッシュバックしてきた。
 見上げると迫り来る鉄骨、私のすぐ側にドスンと落ちる……ゆっくりと私に向かって倒れてくる……足がすくんで動けない私に向かって倒れてくる……そして私にぶつかり、私は倒れる……

「あ! 思い出した……アレ・・はきっと私が死んだ時の声なんだ……」

 そう、私は思い出した。思い出してしまった。私には前世があるということを。そしてもう一つ思い出したことがある。それはこの世界・・・・がゲームの中の世界であると言うことを。
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