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TESTIMONY no,6
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今日は10月31日。運良く金曜日だ。
大学の友達と肝試しに森へ入る約束をしている。
俺を入れて5人。小さいランプを持って、森を1周する。
さほど広くない森だ。迷うことはないだろう。
集合は森に1番近い俺の家に、11時。
今更怖いとは言えない。
何しろここの森の幽霊は人を殺すのもいるのだ。
足元すら確認せずに、全員で肩を組み木々を縫って進む。
結局全員が怖いのだ。
だが全員が強がった。
物音がする度飛び上がり、誰にも見られていないと言い聞かせる。
何故こんな事始めたんだ。
10月31日金曜日。縁起が悪すぎる。
どんな幽霊が出るかは知らない。ただ毎年被害が被られている。
会えば死を覚悟しなければならない。
そもそも生きて帰れるのか俺らは?
実際、この森から出てこなかった人も多く、死ぬ度に幽霊の目撃も増えるらしい。
10分が経ったか、一瞬木々が揺れ、空が明るくなった。
太陽でも雷でもない。
雨も降らなければ風も吹いていない。
夜中なんだ。
いつの間にか立ち止まり、誰も動けない。誰も口を開けなかった。
どこからか微かにピアノの音が聞こえる。
何の曲かはは分からない。
しかし半音の調子やのっぺりとしたテンポから、陽気な曲ではないことは確かだ。
家に帰りたい。
でも動くことも恐ろしい。
全員が一点を見ていた。
何かが蠢いている。
光ではない。影でもない。
暗く無という空間が蠢いている。
形が変わっていき、大きくなる。
人型だ。
その認識の瞬間、消えた。
幽霊か?
人を殺すやつか?
どこかで俺らを見ているのか?
幽霊から逃げ切る人もいる。
逃げるべきなのか。否か。
「走れ!」
誰かが叫ぶ。
全員が一斉に後方へ駆け出した。
真っ直ぐ進んできた訳では無い。
帰りつけるかどうかはわからない。
だが目の前に突きつけられた恐怖で、闇雲に走るしかなかった。
いつの間にか端の1人がいない。
気にする暇もないが、明らかに原因は遅れではない。
捕まったのだ。幽霊に。
聞こえる悲鳴は全て逃げる俺らからだ。
悲鳴が減る。
捕まったか、離れてしまった。
1人だ。
はぐれてしまったのか。
その時何かに躓いた。
危うく転びそうになるが、立て直す。
また走り出そうとしたが、違和感に気が付き躓いたものを見た。
明らかに自然の硬さではなく、少し柔らかかった。
少女の脚だ。
黒髪で、目が紫がかっている。
彼女は数少ない、名前の付けられた幽霊だ。
"Innocent shatter"
無邪気な破壊者。
人を殺したことがある幽霊だ。
2種類しかいない、死体の発見されるタイプの幽霊で、被害者は体の内から粉砕されるように破裂している。
粉々に。
ただ、今躓いたように彼女には攻撃も可能であり、傷を負うことがあるらしい。
手に持っていたランプを、彼女の顔に叩きつける。
「いたい」
「いたいよ」
「あはは」
「いたい」
笑うように悲痛な叫びを上げる。本当に笑っているのかもしれない。
それを背で聞きながらまた走り出す。
こんなに帰り道が長いはずがない。森は広くないはずだ。
焦る。
目の前に建物の明かりが見えた。
町の光ではない。
大きな屋敷だった。
ここは空き家のはずだ。
しかし全ての窓に明かりが灯っている。
追われの身を忘れ、いや、追っ手を撒いたと思い、立ち惚ける。
しかし"彼"には日常茶飯事だった。
逃がし、泳がせて殺す。
それが"彼"の信念だ。
倒れる体がまた1つ増えた。
だが"彼"は殺すことが出来なかった。
何かの力だ。
誰がそれを解ると言うのか。
...森?!
そうだ。屋敷の前で倒れたのか。
みんなを探さないと。
いや、"Innocent shatter"を始末しないと。
俺の可能な打撃。
馬車で轢くか。
それが1番効くだろう。
子供を轢いたって彼女は幽霊だ。
森を出て馬車を持ってこよう。
森にも道はある。
大学の友達と肝試しに森へ入る約束をしている。
俺を入れて5人。小さいランプを持って、森を1周する。
さほど広くない森だ。迷うことはないだろう。
集合は森に1番近い俺の家に、11時。
今更怖いとは言えない。
何しろここの森の幽霊は人を殺すのもいるのだ。
足元すら確認せずに、全員で肩を組み木々を縫って進む。
結局全員が怖いのだ。
だが全員が強がった。
物音がする度飛び上がり、誰にも見られていないと言い聞かせる。
何故こんな事始めたんだ。
10月31日金曜日。縁起が悪すぎる。
どんな幽霊が出るかは知らない。ただ毎年被害が被られている。
会えば死を覚悟しなければならない。
そもそも生きて帰れるのか俺らは?
実際、この森から出てこなかった人も多く、死ぬ度に幽霊の目撃も増えるらしい。
10分が経ったか、一瞬木々が揺れ、空が明るくなった。
太陽でも雷でもない。
雨も降らなければ風も吹いていない。
夜中なんだ。
いつの間にか立ち止まり、誰も動けない。誰も口を開けなかった。
どこからか微かにピアノの音が聞こえる。
何の曲かはは分からない。
しかし半音の調子やのっぺりとしたテンポから、陽気な曲ではないことは確かだ。
家に帰りたい。
でも動くことも恐ろしい。
全員が一点を見ていた。
何かが蠢いている。
光ではない。影でもない。
暗く無という空間が蠢いている。
形が変わっていき、大きくなる。
人型だ。
その認識の瞬間、消えた。
幽霊か?
人を殺すやつか?
どこかで俺らを見ているのか?
幽霊から逃げ切る人もいる。
逃げるべきなのか。否か。
「走れ!」
誰かが叫ぶ。
全員が一斉に後方へ駆け出した。
真っ直ぐ進んできた訳では無い。
帰りつけるかどうかはわからない。
だが目の前に突きつけられた恐怖で、闇雲に走るしかなかった。
いつの間にか端の1人がいない。
気にする暇もないが、明らかに原因は遅れではない。
捕まったのだ。幽霊に。
聞こえる悲鳴は全て逃げる俺らからだ。
悲鳴が減る。
捕まったか、離れてしまった。
1人だ。
はぐれてしまったのか。
その時何かに躓いた。
危うく転びそうになるが、立て直す。
また走り出そうとしたが、違和感に気が付き躓いたものを見た。
明らかに自然の硬さではなく、少し柔らかかった。
少女の脚だ。
黒髪で、目が紫がかっている。
彼女は数少ない、名前の付けられた幽霊だ。
"Innocent shatter"
無邪気な破壊者。
人を殺したことがある幽霊だ。
2種類しかいない、死体の発見されるタイプの幽霊で、被害者は体の内から粉砕されるように破裂している。
粉々に。
ただ、今躓いたように彼女には攻撃も可能であり、傷を負うことがあるらしい。
手に持っていたランプを、彼女の顔に叩きつける。
「いたい」
「いたいよ」
「あはは」
「いたい」
笑うように悲痛な叫びを上げる。本当に笑っているのかもしれない。
それを背で聞きながらまた走り出す。
こんなに帰り道が長いはずがない。森は広くないはずだ。
焦る。
目の前に建物の明かりが見えた。
町の光ではない。
大きな屋敷だった。
ここは空き家のはずだ。
しかし全ての窓に明かりが灯っている。
追われの身を忘れ、いや、追っ手を撒いたと思い、立ち惚ける。
しかし"彼"には日常茶飯事だった。
逃がし、泳がせて殺す。
それが"彼"の信念だ。
倒れる体がまた1つ増えた。
だが"彼"は殺すことが出来なかった。
何かの力だ。
誰がそれを解ると言うのか。
...森?!
そうだ。屋敷の前で倒れたのか。
みんなを探さないと。
いや、"Innocent shatter"を始末しないと。
俺の可能な打撃。
馬車で轢くか。
それが1番効くだろう。
子供を轢いたって彼女は幽霊だ。
森を出て馬車を持ってこよう。
森にも道はある。
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