13 / 17
REVEAL ITSELF no,7
しおりを挟む
頬に水を打つような冷たさで僕は目が覚めた。
目の前にクオカがいた。
ここは屋敷の入口だ。初めの場所?
クオカも恐ろしい存在と認識してしまっている僕は、後ろのドアに背を張り付かせた。
「待って!私の話を聞いて、ミルラ!信じなくてもいい。でも待って!」
どうせ背のドアは開かないだろう。
僕はクオカから目を離さずに、身体の力を抜いた。
「あなたはこの屋敷の前で倒れていた。お父様がうちに運び込み、私に『看病してあげなさい』とだけ言った。あなたが目を覚ましてから、私はお父様の事を話したわ。お父様が急に部屋に入って来たけど、仕事ぶりを理解してもらうのは嬉しいって、ニコニコしながら出ていった。でも私は知ってる。お父様は人殺し。今まで7人も殺したわ。あなたが7人目。でも、あなたをお父様が殺した夜に、お父様は殺されていた。人ではないのだろうけど、幽霊でもないようだった。動物、猛獣的な何かの仕業みたいだった。
3人で食卓を囲んだのは1度だけだった。
殺されたお父様を見つけたのは私。
あまり悪い気はしなかった。
でもまた独りになった寂しさは耐えられなかった。
それで、あなたをまたここに呼び戻してしまったの。
何度も。」
クオカが僕に近寄る。
「でも伝えたいのはこれだけじゃないの。」
クオカの手が僕に触れた。
驚く間もない。
しかしそれは、僕に剣を立てるためではなかった。
クオカの唇が僕の頬にふれた。
だが温かみのあるはずの行動全て、凍てつくように冷たい。
水が頬を打つように。
生気を感じない。人ではないのか...?
「最初に死んだのは私。馬車に轢かれてとうの昔に死んでいた。でもあなたとは何度か会っている。
その生きていた頃の私が、繰り返す前の私の欠片が宿っている物がある。
それは今、あなたの手によって失われようとしているわ。
あなたなら私の望みを聞いてくれる...」
最後の方はよく聞き取れない。
涙を溜めながらだからか、消えそうだからか。
僕に寄り掛かろうとしたクオカが、灰になって崩れた。
その崩れた灰もすぐに消滅して、何事も無かったかのように静けさが取り囲む。
クオカの灰は最期、呟いていた気がする。
まだ頬に残るクオカの冷たさと温かさが、切ないくらい長い。
クオカの行った意味は理解出来なかった。
しかし、背のドアの鍵が解かれドアが開いたのを知った時、僕はすべき事を分かっていた。
町に帰らねば。
家に帰らねば。
ドアを大きく開け放ち駆け出した。
霧はない。
遠くに町の教会の鐘が見える。
記憶は多分取り戻した。
それが正しいなら家はそう遠くない。
振り返ると、屋敷が燃えていた。
青や赤の炎で、見る間に焼き尽くされていった。
目の前にクオカがいた。
ここは屋敷の入口だ。初めの場所?
クオカも恐ろしい存在と認識してしまっている僕は、後ろのドアに背を張り付かせた。
「待って!私の話を聞いて、ミルラ!信じなくてもいい。でも待って!」
どうせ背のドアは開かないだろう。
僕はクオカから目を離さずに、身体の力を抜いた。
「あなたはこの屋敷の前で倒れていた。お父様がうちに運び込み、私に『看病してあげなさい』とだけ言った。あなたが目を覚ましてから、私はお父様の事を話したわ。お父様が急に部屋に入って来たけど、仕事ぶりを理解してもらうのは嬉しいって、ニコニコしながら出ていった。でも私は知ってる。お父様は人殺し。今まで7人も殺したわ。あなたが7人目。でも、あなたをお父様が殺した夜に、お父様は殺されていた。人ではないのだろうけど、幽霊でもないようだった。動物、猛獣的な何かの仕業みたいだった。
3人で食卓を囲んだのは1度だけだった。
殺されたお父様を見つけたのは私。
あまり悪い気はしなかった。
でもまた独りになった寂しさは耐えられなかった。
それで、あなたをまたここに呼び戻してしまったの。
何度も。」
クオカが僕に近寄る。
「でも伝えたいのはこれだけじゃないの。」
クオカの手が僕に触れた。
驚く間もない。
しかしそれは、僕に剣を立てるためではなかった。
クオカの唇が僕の頬にふれた。
だが温かみのあるはずの行動全て、凍てつくように冷たい。
水が頬を打つように。
生気を感じない。人ではないのか...?
「最初に死んだのは私。馬車に轢かれてとうの昔に死んでいた。でもあなたとは何度か会っている。
その生きていた頃の私が、繰り返す前の私の欠片が宿っている物がある。
それは今、あなたの手によって失われようとしているわ。
あなたなら私の望みを聞いてくれる...」
最後の方はよく聞き取れない。
涙を溜めながらだからか、消えそうだからか。
僕に寄り掛かろうとしたクオカが、灰になって崩れた。
その崩れた灰もすぐに消滅して、何事も無かったかのように静けさが取り囲む。
クオカの灰は最期、呟いていた気がする。
まだ頬に残るクオカの冷たさと温かさが、切ないくらい長い。
クオカの行った意味は理解出来なかった。
しかし、背のドアの鍵が解かれドアが開いたのを知った時、僕はすべき事を分かっていた。
町に帰らねば。
家に帰らねば。
ドアを大きく開け放ち駆け出した。
霧はない。
遠くに町の教会の鐘が見える。
記憶は多分取り戻した。
それが正しいなら家はそう遠くない。
振り返ると、屋敷が燃えていた。
青や赤の炎で、見る間に焼き尽くされていった。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる