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FIRST LOVE and CONCLUSION LOVE no,8
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家の前に人集りが出来ている。
その奥には屋敷を燃やしたものと同じ炎が見えた。
僕の家も消し炭になりかけている。
炎の勢いはずっと強い。
2階の窓に見える僕の部屋は、まだ原形を留めている。
「何してるんだ君!」
「中に大切な物があるんです!離してください!」
「だめだ!この炎ではすぐに焼かれてしまう!危険だ!」
「離して!」
その時、ドアが吹っ飛び火柱が立った。
手首を掴む力が緩む。
その隙に手を振りほどき、家へ突っ込んだ。
「あッ、止めるんだ君!戻りなさい!」
まだ叫ぶ大人達を残し、2階へ駆け上がる。
僕の部屋のドアを開ける。
まだ燃え切ってはいない。
だがここまできて、大切な物がわからない。思い出せ...!
そこに1匹の黒猫が現れた。
うちの屋根裏に住み着いていた猫だ。
動きが不自然だった。
そこから離れないように飛び上がってる。
何かを火の粉から守っている?
あれか。
2冊の本とスケッチブックだった。
焦げひとつ無い。護られていたのだ。
猫に名前はない。
気のせいか、猫の目が紫がかっていた。
しかし直ぐに元の黄色い目に戻っている。
僕は床に座り込み、本を開いた。
町の歴史に関するものだった。
レフォート家のページが折られている。
魔術のような、恐ろしいものを操るらしい。
だが今考えればそれは医学だったのかもしれない。
レフォート家にはいい話を聞かない為、気になったのだろう。
2冊目は絵に関するもの。
名画集ではなく、描き方などの手解き書だった。
紙の端はこすけていて、読みすり切った雰囲気があった。
何故この2冊を猫は護っていたのか。
と、2冊目からメモが落ちた。
日記のような書き方だ。
『先週、窓の外を見ていると、家の前で少女が転んだ。恥ずかしそうに起き上がった少女は、目撃してしまった僕を見て、顔を赤くして森の方へ走っていった。
昨日、あの少女がまた家の前で転んだ。家の前に酷い段差でもあったかな。僕を見て恨めしそうに苦笑いをしていた。
今日、少女は転ばなかった。僕を見て、満面の笑みを浮かべ走っていった。
しかしその先で転んだのを、僕は見てしまった。もうこちらには気もとめない。
また明日も少女は通るのだろうか。転ぶのは可哀想だけど、あの笑顔をもう一度見たい気もする。
美しかった。』
僕はもしやと思い、スケッチブックの1番汚れているページを開いた。
へたくそ。
クオカはもっと美しい。
[彼女]か。
名前すら知らなかったのか。
クオカが好きだった。
確かにこれは見つかるとまずいな。
これがクオカの生きていた証か。
これは初恋と言っていいのか?
...今となってはどうでもいい、過ぎ去った事実だ。
少し寝たい。
疲労と共に、眠気が急に僕の瞼を落とす。
そして熱い。
待っているのなら。
感覚だけは幸せだった。
この目はもう、開かないのだろうか。
焼けた家から、少年の服が発見された。
ついに出てこなかった少年のものだ。
しかし死体が出てこない。
人は首を捻らざるを得ない。
大人は知らない。
ミルラの身と共に、スケッチブックも消えているということを。
その奥には屋敷を燃やしたものと同じ炎が見えた。
僕の家も消し炭になりかけている。
炎の勢いはずっと強い。
2階の窓に見える僕の部屋は、まだ原形を留めている。
「何してるんだ君!」
「中に大切な物があるんです!離してください!」
「だめだ!この炎ではすぐに焼かれてしまう!危険だ!」
「離して!」
その時、ドアが吹っ飛び火柱が立った。
手首を掴む力が緩む。
その隙に手を振りほどき、家へ突っ込んだ。
「あッ、止めるんだ君!戻りなさい!」
まだ叫ぶ大人達を残し、2階へ駆け上がる。
僕の部屋のドアを開ける。
まだ燃え切ってはいない。
だがここまできて、大切な物がわからない。思い出せ...!
そこに1匹の黒猫が現れた。
うちの屋根裏に住み着いていた猫だ。
動きが不自然だった。
そこから離れないように飛び上がってる。
何かを火の粉から守っている?
あれか。
2冊の本とスケッチブックだった。
焦げひとつ無い。護られていたのだ。
猫に名前はない。
気のせいか、猫の目が紫がかっていた。
しかし直ぐに元の黄色い目に戻っている。
僕は床に座り込み、本を開いた。
町の歴史に関するものだった。
レフォート家のページが折られている。
魔術のような、恐ろしいものを操るらしい。
だが今考えればそれは医学だったのかもしれない。
レフォート家にはいい話を聞かない為、気になったのだろう。
2冊目は絵に関するもの。
名画集ではなく、描き方などの手解き書だった。
紙の端はこすけていて、読みすり切った雰囲気があった。
何故この2冊を猫は護っていたのか。
と、2冊目からメモが落ちた。
日記のような書き方だ。
『先週、窓の外を見ていると、家の前で少女が転んだ。恥ずかしそうに起き上がった少女は、目撃してしまった僕を見て、顔を赤くして森の方へ走っていった。
昨日、あの少女がまた家の前で転んだ。家の前に酷い段差でもあったかな。僕を見て恨めしそうに苦笑いをしていた。
今日、少女は転ばなかった。僕を見て、満面の笑みを浮かべ走っていった。
しかしその先で転んだのを、僕は見てしまった。もうこちらには気もとめない。
また明日も少女は通るのだろうか。転ぶのは可哀想だけど、あの笑顔をもう一度見たい気もする。
美しかった。』
僕はもしやと思い、スケッチブックの1番汚れているページを開いた。
へたくそ。
クオカはもっと美しい。
[彼女]か。
名前すら知らなかったのか。
クオカが好きだった。
確かにこれは見つかるとまずいな。
これがクオカの生きていた証か。
これは初恋と言っていいのか?
...今となってはどうでもいい、過ぎ去った事実だ。
少し寝たい。
疲労と共に、眠気が急に僕の瞼を落とす。
そして熱い。
待っているのなら。
感覚だけは幸せだった。
この目はもう、開かないのだろうか。
焼けた家から、少年の服が発見された。
ついに出てこなかった少年のものだ。
しかし死体が出てこない。
人は首を捻らざるを得ない。
大人は知らない。
ミルラの身と共に、スケッチブックも消えているということを。
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