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暇です。
しおりを挟むあれからだいぶ体調も良くなり、最近は庭に出ては散歩をしている。
ユーリは私が倒れたことで休暇を無理やり取っていたようだったけど、私が元気になった事で休み続けることも出来なくなり、ユーリは学校の宿舎に帰って行った。勿論その際大暴れしたのは言うまでもない。
お父様もお父様で、いつも何処かピリピリしていて、私の体調が回復してからは家に帰ってくる度にそれが謙虚に現れていた。
お母様はまぁ、いつも通りと言えばそうだけど、なにやら隠れて何かやっていそうな雰囲気があった。
という訳で、現在私に話し合い手は誰もいない。とっても暇である。
「はぁ…」
ついつい溜息をついてしまう。
あれから何度か私の倒れた原因を聞いたけど、その件に関して一切話すつもりがないらしく、使用人を含め私以外の屋敷の者たちは皆この件に関して触れることがない。
(そこまで隠す必要はあるのかしら…?)
だって、パーティ会場で倒れたとするなら、きっと社交界に少なからず噂が飛び交っているはずだ、それに私はこの国の宰相の娘だから、嫌でも注目を浴びる。
(本当に…そこまで隠す意味が分からないわ…)
皆の意思が分からず、再びため息を吐いた私は、暖かな風に吹かれながら庭園に咲く花々を見ていたのだった。
◇ ◇ ◇
「殿下!!何をやっているのですか!?」
声を張り上げたはこの国の宰相、マチルダ伯爵であった。
「お前を呼んだ覚えはないが」
そんな宰相に流し目を送り、すぐに書類に目を通し始めた男に宰相はツカツカと歩み寄った。
「呼ばれなくとも十二分に関係あります!…ご説明願いますか!」
「説明も何も、これは私個人が行っていることであって、宰相が介入できるほど大規模なものではない、また国家兵を動かしている訳でもない…何か問題があるのか?」
「…ぐっ、それは…」
机に向かって今だ書類作業続ける男は、部屋に入ってきた宰相を一瞥しただけで、淡々と机に向かい作業を続けていた。
だが、今だ机に向かう男は徐に口を開いた。
「言ったはずだ、全て片付けてから謝罪しに行くと…今はまだ彼女を不安にさせてしまう…お前だって娘に隠し事をしてるじゃないか、それと同じだ」
「ですが…!!」
「アルベルト」
「…っ」
いつになく真剣な声色で名前を呼ばれ、宰相は口を噤んだ。
「持ち場に戻れ、そして無駄な書類は作成するなと伝えろ」
「…はい、失礼します」
ピリピリした雰囲気を纏った宰相が部屋を出ていくのを確認した男は、ふぅと静かに息を吐き出したのだった。
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お読みいただきありがとうございました。
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