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目覚めました
しおりを挟む「あれ…?」
少し汚れたはアパートの天井が、急に豪奢なシャンデリア付きの天井に変わったため、暫し目を開けたままフリーズする。
しかし、そんな些細な変化でもやはり姉弟か、隣で眠っていたであろうユーリががばっと起き上がった。
「エヴァーナ…!!!」
私の名前を言うとともにすごい勢いでユーリが抱きついてきた。
「ぐふっ…!!」
(あ、顎にクリティカルヒット…!)
「うわぁあん、よかったぁ、よかったよぉ……うわああぁぁ!!」
眠りから冷めた姉をまた深い眠りに誘おうとした弟に少しばかりイラッとしたものの、ここまで取り乱したユーリは初めて見たのですぐに怒りが納まった。
きっと私が何かやらかしてしまったんだろうと予想がつく……だって私は寝てるし、記憶が正しければ私はパーティ会場にいた筈である、なのに帰ってきた記憶がさっぱりない、ということはやっぱり何かあったのだろう…。
取り敢えず、ユーリの背中に手を回しポンポンとリズミカルに叩いてやった。ついでとばかりに頭にも手を乗せゆっくりと撫でてやった。
(サラサラね、ずっと撫でていたいくらいだわ)
暫く撫でていると、ユーリも落ち着いたのか、私から体を引き、「あぁ!エヴァーナが起きたこと知らせなきゃっ!!」と言ってものすごい速さで部屋から出ていった。
「ほんと、嵐のような子だわ…ははは…」
乾いた笑い声を出していると、部屋の外からドタバタと数人の足音が聞こえたと思うと部屋の扉がバーンと吹きとんじゃないかと思うほどの衝撃を響かせ、開いた。
「「エヴァーナッ…!!!!」」
そう言いながら早足に近づいてきたのは、お母様にお父様、ユーリだった。
半壊した扉に目もくれず、3人はずんずんとこちらに近づいきた。
(うん、見なかったことにしよう)
私は体を起こそうとして、慌てて止められ、この寝たままの状態で心配をかけたことを謝った。
ただ、何故自分が寝ていたのかは分かっていないが。
「あぁ、そんなことはいいよ、エヴァーナが生きてさえいてくれたらそれでいいんだ」
そう言って抱きしめてくれるお父様。
「その通りです、全てはあの王子のせい、貴方は気にせずに療養していて…必ず私達が仇を取ってみせるから…ふふ」(私の可愛い娘を殺そうとするなんて…ふふふ、随分となぶられたいようね)
と微笑みながら言ったのがお母様で、時々副音声で何か聞こえたけど、気にしないことにした。
ひと通り再会?を喜んだ私達は次第に会話がほのぼのとしてきたので、そろそろいいかと思い、なぜ自分がこうなった経緯を聞いてみることにしたのだが…何故こうなる。
「誰があんな奴の話なんてするものか」
「娘に危険に晒しておいて烏滸がましい」
「あんな奴エヴァーナに相応しくないよ」
(は…?私は今までの経緯を聞いたのだけど、何故そうなる)
どうやら、家族は揃って私が倒れたあとからが前提なようで、倒れた原因を教えてくれない。また話す気はサラサラないようで終始愚痴っていたために、今日のところは諦めることにした。
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