転生令嬢は腹黒王子の腕の中

氷雨

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夢を、見ました

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視点が、主人公に戻ります。
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夢を見た、とても懐かしい夢を。



『ごめんね_______千恵…』

(ううん、大丈夫…)

『…千恵が大好きなチーズケーキ、冷蔵庫に入ってるからね…』

(うん、ありがとう…)

『…それじゃあ、お母さんもう行くね』

(行ってらっしゃい…お母さん…)

そう言ってお母さんは出ていった。


明日は私の誕生日、それなのに、お母さんもお父さんも私のお祝いできないみたい。



母が出ていった玄関を見つめ、小さな溜息をこぼす。


誕生日は決まって母は家にいなかった。
いや、年中いないの間違いかな。


それでも、頑張って働いている母に我儘なんて言えなかったから、いつも黙って言うことを聞いていた。

それが普通だった。






母を見送った私は、1人、部屋で時間を潰す。

今は夏休みのため、家でゆっくりと時間を潰せるのだ。一応私は優等生なので、勉強は既に終わっていた。

うちはあまり裕福ではないけど、貧乏でもない、それは一重に母の頑張りがあるからだ。
だから、こうして一人部屋を持ち、出来るだけ欲しいものはプレゼントで買ってくれる。


今だって、去年の誕生日に買ってもらったゲーム機を使って乙女ゲーム「ドキドキ魔法学園~戦場のアモーレ~」をプレイしていた。


シリアスな曲でエンドロールが流れる。


あー、終わっちゃった。


手に持っていたコントローラーを絨毯の上に放り投げ、自らもそこに寝転がる。


何してるんだろ、私…。


クリアしたのに、全然高揚しない。
私の心は寂れてしまったんだろうか…。


それだけじゃない…何故だか、自分が自分じゃない気がしてくるのだ。


母を見送った時も、部屋に入った時も、ゲームをクリアした時も。


何もかもが他人事のような、何処か現実感のない光景に思えたのだ。

私って、こんなだっけ…。
浮かんできた疑問が、ジワジワと心に棲みつく。


分からない…何もかも分からない。

一つだけ分かるのは、前にもこんな事があったなぁということだけ、それがいつの話かは分からないけど。


考えすぎたのか、ゲームクリアの疲れからか、眠くなって瞼を閉じる。


でも、折角母が買ってきたケーキをまだ食べていないことに気が付き、徐に閉じていた瞼を開けた…はずだった。


目を開けると、あの少し汚れたアパートの天井などではなく、シャンデリアの光を反射してキラキラと光る白い天井が見えた。



「あれ…?」



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

お読みいただきありがとうございました。












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