縁の鎖

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王太子と侍女

隠蔽

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ジェイドは言葉が出ない
ダチュラは顔色を白くする
フィサリスは苛立ちを見せる
使用人達は凍りついている

「ソーディア公爵家にはもう一人、ご令嬢が居たと記憶しているが。」

と言うカーネリアンの一言で和やかだった空気が、張り詰めたものとなる。


「お義姉様のお話は、この場に相応しくありませんわぁ!カーネリアン様ぁ~王都のお話を聞かせて下さいませぇ~。」

フィサリスはそんな張り詰めた空気を、読んでか読まずか声を荒げる。
カーネリアンの口からジュエリアの名前を聞きたくないとばかりに。
同時に瞳を潤ませ上目遣いで、頬は紅潮こうちょうさせ、鼻にかけた猫撫で声でカーネリアンを見つめ話し掛ける。

「そっ、そうぉですわ。あのは、お恥ずかしながら殿下の御前に出せるだけの教養も品格も備わっておりませんの。淑女として、公爵令嬢として、家名に泥を塗らないよう日々教育しておりますが、不出来なため公の場へは出せないのですわ。」

少し上擦りながらダチュラは取り繕う。

「カーネリアン様ぁ~。カーネリアン様は、もう学園に通っておられるのでしょぉ~??学園はどの様なところですかぁ~??私、今から学園に行けるのを楽しみにしていますのぉ~。」


大公は無言を貫く。
愛おしい者を見つめるような惚けた目を、ダチュラとフィサリスに向けるだけ。
会話を女性陣に任せる事にしたようだ。
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