縁の鎖

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孤立と孤独

自分の存在価値

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「声を失っても、やれる事を見つけて楽しんでください。遣り甲斐が心を軽くし、いずれは声も戻ります。一度は戻りかけたのです。落ち込まず、気長に構えましょう。」

御典医が出した結論は、ジュエリアが生きがいを見つかる事だった。


『私にできること…。声を使わなくてもできること…。そうだ!』

学園には失声症が隠されているため、通学ができない。
社交活動もできない。
ジュエリアが出した答えは、書類関係の公務を再開する事だった。


ジュエリアは王妃の側で、書類関係の公務を再開した。

王妃は離宮から戻る事を大反対した。
王城に流れている噂を聞かせたくなかったため。
だが、やっと自分にできる事を見つけたのだからと無理を通した。
その代わりに王妃から出された条件が、王妃の側で公務にあたる事だった。

王妃やマディラ伯爵夫人が驚く程の速さと、正確さで書類を仕上げていく。
元々王妃は書類仕事が好きではなく、マイペースに仕上げているため、王妃付きの文官達はいつも泣かされていた。
だが、ここ数日は書類が大量に仕上がって来てしまうことに泣かされている。

「ジュリー、ちょっと休憩しない?喉乾くでしょ?」
「そ、そうですよ。ジュエリア様、休憩も大事ですよ。」
【これは去年の予算の見直しなので、途中の計算で止める訳にいきませんので、先にお茶そてください。】

筆談でもジュエリアの真面目さが伝わってくる。
だけど楽しそうに書類仕事をしているのも、また事実であり無理矢理止めに入ることもできない。


ジュエリアは仕上がった書類を、魔法で文官の元に飛ばしている。
転移魔法の応用だが、王妃は応用はできるのに基本ができない事を、面白がった。
暖炉の火が消えそうになると火魔法を使ったり、室内が乾燥すると水魔法を使ったり、天気が悪く部屋が暗い時には光魔法を使ったり、王妃に魔力の制御方法を教えてもらいながら充実した日々を取り戻していった。
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