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川辺に面した窓を開けていても吹き込まないくらい、風は治まっている。
アパートの屋根を叩く優しい雨音を聞きながら、菜穂は途方に暮れていた。
座りこんだ膝の先には、粉々に砕け散ったガラスのイヤリング。
土壁と畳の境い目の硬い木の縁が小さく凹み、辺りに破片が散らばっている。
「……」
仕事から戻って見た収納ボックスの上に、それはなかった。
将馬に返された金を入れた封筒で弾き落としてしまったらしい。
土壁との隙間に入り込んだイヤリングはなかなか取れず、家具を動かしたら下まで転がってしまった。
(前の模様替えで、想像するより家具は重いって学習したはずなのに、なんで中身を出してから収納ボックスを動かさなかったんだろう)
さっきから同じ後悔を繰り返して、溜息をついてばかりいる。
支えきれず下ろした収納ボックスは、木の縁に落ちていたイヤリングを無残に打ち砕いた。縁の凹みにはまり込んだ金属のネジ部分も曲がっている。
ガラスの破片は危ないから、早く掃除機をかけるべきなのに、どうしても気力が沸いてこない。
(魔法なんてないってわかってる……けど)
二十五歳の将馬が、三十歳の自分の相手をしてくれる理由が見つからない。
なんだか目頭が熱くなってきたとき、テーブルに置いた携帯が鳴った。
「え? 将馬くん、お仕事……」
時間を確認する。
帰宅して、夕飯も食べずにぼーっとしていただけにしては遅い時刻だが、将馬亭の閉店時間にはまだ早い。
菜穂の大好きな低い声が、事情を説明してくれる。
「なんかすげー客が来たんで、麺が切れちまったんだよ。だから早仕舞いした。金曜は土日が休みの分準備する麺の量抑えてるんで、たまにあるけど、木曜は珍しい。昨日開店休業状態だった反動かもな」
「ざ、雑誌に載ったからかもしれないね」
「おう、あれ見たのか」
気合を入れて明るい声を出したものの、次が続かない。
昼休み見たタウン誌のページが頭に蘇って、気持ちが沈んでしまう。
「……」
「菜穂?」
「えっと……将馬くんって二十五歳なんだね。わたしより、いつつも年下なんだ」
「言ってなかったか?」
「うん。聞いてなかった。ずっと年上だと思ってたの。わたしは……」
「三十歳だろ? 友達はみんな結婚しちまって、恋人もいなくて寂しいから、うちのラーメンで心癒しに来たって話してたの覚えてるぜ」
「うん……」
携帯の向こうから、くっくと笑う声が聞こえてきた。
「将馬くん?」
「いや、それでかと思って」
「なにが?」
「さっきからあんた、俺のこと将馬くんって呼んでる。年下だって知ったからだろ? ちょっとくすぐってえけど、丁寧語やめてくれるなら子ども扱いで構わねえよ」
菜穂は目を閉じた。
暗闇の中、彼の匂いが蘇る。優しい声が囁いた。
「どっちにしろ、俺はあんたに甘えてるんだから」
「そうなの?」
「甘えてるだろ? 約束もないのに家まで押しかけて無理矢理泊まった挙句、有給取れとねだったバカだぞ、俺は」
「泊まったのは無理矢理じゃないし、有給取るのは断ったよ?」
「おう。ちゃんと自分の意見を言って、俺がバカやったら正してくれる。年上の女房は金のわらじを履いてでも探せって言うだけあるな」
「なぁに、それ」
「年上のくせして知らねえのかよ。金のわらじってのはな、重いんだよ、すごく。要するにこれは、どんな苦労をしても結婚する価値があるくらい年上の女はいいって言葉だ。……親父が言ってた」
「将馬くんのお母様、お父様より年上だったの?」
「お袋は教師で、親父は担当クラスの問題児だったって、じーちゃんが言ってた」
「そうなんだ」
「だから、そんな泣きそうな声出すな。俺はあんたが年上でも関係ねえ、ってか嬉しいくらいなんだからよ。あ、でもマザコンじゃないからな」
「……ありがとう」
「んーで、年下ってバレたから遠慮なく甘えるけど」
「え、なに?」
「明日の昼、なんで来れねえの?」
「それは会社の……」
答え終わる前に、年下彼氏の拗ねた声に遮られる。
「男? いや、まあ会社勤めだとおつき合い、とかあるんだろ? ビジネスランチっつうの? 俺もそれくらい知ってる。でもまさか男とふたりきりで食事するんじゃねえよな?」
菜穂は吹き出した。
「女の子よ。その子と食べに行くんじゃなくて、その子が将馬亭へ食べに行くの。……あなたの前で真っ赤になった顔を見られたくないから、明日のお昼は行きません」
「べつにいいじゃねえか。俺なんか、お客さんにもバイトのヤツらにもあんたとのこと知られてる」
「うふふ」
ふっと沈黙が降りた。
聞こえてくる息遣いに、彼の体温を思い出す。
「……本当は、な」
「うん」
「今夜もあんたのところへ行きたい。けど早仕舞いだったとはいえ、昨夜と違ってまだ明日の準備が終わってねえんだ」
「電話してて大丈夫?」
「切ってからやる。あんたの声聞かないと、準備する元気出なかった」
「元気出た?」
「出た。準備する以外の元気も出たから、明日の夜は覚悟して来い」
「……じゃあ行く前に、ドラッグストアでグロス買って行こうか?」
「バーカ。ああいうのは一緒に買いに行くんだよ。ちゃんとみんなに、あんたは俺のもんだって見せつけとかねえとな」
「ねえ、将馬くん」
「なんだ?」
「掃除の途中だから、そろそろ切るね」
「さすが年上女は冷てえな」
おやすみと囁いて電話を切る。
泣きたい気分に気づいてくれたことも、年上で構わないと言ってくれたことも、嬉しくてたまらないのに不安は消えない。彼が優しければ優しいほど怖くなる。
(でもきっと、同じなんだわ)
将馬が年上でも同い年でも、優しくなくて冷たくても、菜穂は不安になる。
──だって好きだから。
不安も胸の痛みも、彼を想うから生じる。
心が締めつけられなくなる日が来るとしたら、それはきっと恋が終わったときだ。
でも今は、不安が、胸の痛みが心地いい。
(出来ることをしなくちゃね)
菜穂は立ち上がり、掃除機を出した。
ガラスの破片を片づけたら夕飯を食べて風呂に入り、ぐっすり寝て起きたら出勤して一所懸命に仕事をして、明日の夜は──恋人に会いに行く。
アパートの屋根を叩く優しい雨音を聞きながら、菜穂は途方に暮れていた。
座りこんだ膝の先には、粉々に砕け散ったガラスのイヤリング。
土壁と畳の境い目の硬い木の縁が小さく凹み、辺りに破片が散らばっている。
「……」
仕事から戻って見た収納ボックスの上に、それはなかった。
将馬に返された金を入れた封筒で弾き落としてしまったらしい。
土壁との隙間に入り込んだイヤリングはなかなか取れず、家具を動かしたら下まで転がってしまった。
(前の模様替えで、想像するより家具は重いって学習したはずなのに、なんで中身を出してから収納ボックスを動かさなかったんだろう)
さっきから同じ後悔を繰り返して、溜息をついてばかりいる。
支えきれず下ろした収納ボックスは、木の縁に落ちていたイヤリングを無残に打ち砕いた。縁の凹みにはまり込んだ金属のネジ部分も曲がっている。
ガラスの破片は危ないから、早く掃除機をかけるべきなのに、どうしても気力が沸いてこない。
(魔法なんてないってわかってる……けど)
二十五歳の将馬が、三十歳の自分の相手をしてくれる理由が見つからない。
なんだか目頭が熱くなってきたとき、テーブルに置いた携帯が鳴った。
「え? 将馬くん、お仕事……」
時間を確認する。
帰宅して、夕飯も食べずにぼーっとしていただけにしては遅い時刻だが、将馬亭の閉店時間にはまだ早い。
菜穂の大好きな低い声が、事情を説明してくれる。
「なんかすげー客が来たんで、麺が切れちまったんだよ。だから早仕舞いした。金曜は土日が休みの分準備する麺の量抑えてるんで、たまにあるけど、木曜は珍しい。昨日開店休業状態だった反動かもな」
「ざ、雑誌に載ったからかもしれないね」
「おう、あれ見たのか」
気合を入れて明るい声を出したものの、次が続かない。
昼休み見たタウン誌のページが頭に蘇って、気持ちが沈んでしまう。
「……」
「菜穂?」
「えっと……将馬くんって二十五歳なんだね。わたしより、いつつも年下なんだ」
「言ってなかったか?」
「うん。聞いてなかった。ずっと年上だと思ってたの。わたしは……」
「三十歳だろ? 友達はみんな結婚しちまって、恋人もいなくて寂しいから、うちのラーメンで心癒しに来たって話してたの覚えてるぜ」
「うん……」
携帯の向こうから、くっくと笑う声が聞こえてきた。
「将馬くん?」
「いや、それでかと思って」
「なにが?」
「さっきからあんた、俺のこと将馬くんって呼んでる。年下だって知ったからだろ? ちょっとくすぐってえけど、丁寧語やめてくれるなら子ども扱いで構わねえよ」
菜穂は目を閉じた。
暗闇の中、彼の匂いが蘇る。優しい声が囁いた。
「どっちにしろ、俺はあんたに甘えてるんだから」
「そうなの?」
「甘えてるだろ? 約束もないのに家まで押しかけて無理矢理泊まった挙句、有給取れとねだったバカだぞ、俺は」
「泊まったのは無理矢理じゃないし、有給取るのは断ったよ?」
「おう。ちゃんと自分の意見を言って、俺がバカやったら正してくれる。年上の女房は金のわらじを履いてでも探せって言うだけあるな」
「なぁに、それ」
「年上のくせして知らねえのかよ。金のわらじってのはな、重いんだよ、すごく。要するにこれは、どんな苦労をしても結婚する価値があるくらい年上の女はいいって言葉だ。……親父が言ってた」
「将馬くんのお母様、お父様より年上だったの?」
「お袋は教師で、親父は担当クラスの問題児だったって、じーちゃんが言ってた」
「そうなんだ」
「だから、そんな泣きそうな声出すな。俺はあんたが年上でも関係ねえ、ってか嬉しいくらいなんだからよ。あ、でもマザコンじゃないからな」
「……ありがとう」
「んーで、年下ってバレたから遠慮なく甘えるけど」
「え、なに?」
「明日の昼、なんで来れねえの?」
「それは会社の……」
答え終わる前に、年下彼氏の拗ねた声に遮られる。
「男? いや、まあ会社勤めだとおつき合い、とかあるんだろ? ビジネスランチっつうの? 俺もそれくらい知ってる。でもまさか男とふたりきりで食事するんじゃねえよな?」
菜穂は吹き出した。
「女の子よ。その子と食べに行くんじゃなくて、その子が将馬亭へ食べに行くの。……あなたの前で真っ赤になった顔を見られたくないから、明日のお昼は行きません」
「べつにいいじゃねえか。俺なんか、お客さんにもバイトのヤツらにもあんたとのこと知られてる」
「うふふ」
ふっと沈黙が降りた。
聞こえてくる息遣いに、彼の体温を思い出す。
「……本当は、な」
「うん」
「今夜もあんたのところへ行きたい。けど早仕舞いだったとはいえ、昨夜と違ってまだ明日の準備が終わってねえんだ」
「電話してて大丈夫?」
「切ってからやる。あんたの声聞かないと、準備する元気出なかった」
「元気出た?」
「出た。準備する以外の元気も出たから、明日の夜は覚悟して来い」
「……じゃあ行く前に、ドラッグストアでグロス買って行こうか?」
「バーカ。ああいうのは一緒に買いに行くんだよ。ちゃんとみんなに、あんたは俺のもんだって見せつけとかねえとな」
「ねえ、将馬くん」
「なんだ?」
「掃除の途中だから、そろそろ切るね」
「さすが年上女は冷てえな」
おやすみと囁いて電話を切る。
泣きたい気分に気づいてくれたことも、年上で構わないと言ってくれたことも、嬉しくてたまらないのに不安は消えない。彼が優しければ優しいほど怖くなる。
(でもきっと、同じなんだわ)
将馬が年上でも同い年でも、優しくなくて冷たくても、菜穂は不安になる。
──だって好きだから。
不安も胸の痛みも、彼を想うから生じる。
心が締めつけられなくなる日が来るとしたら、それはきっと恋が終わったときだ。
でも今は、不安が、胸の痛みが心地いい。
(出来ることをしなくちゃね)
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