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8―B・蒼吾君に打ち明ける。
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「って、ダメダメダメ! それ媚薬だから!」
蒼吾君が飲んで発情しちゃったら、沙姫ちゃんのところへ直行して監禁まっしぐらかもしれない。
彼はとても真剣な表情で、私を嗜めるように言った。
「世莉ちゃん……学園の自販機に媚薬が入ってるわけないだろ?」
普通はそうだよね! でもここエロゲ世界ですから! 学園の生徒もみんな十八歳以上ですからーっ!
さっき考えてたようにゲームのこと説明しようか。私が転生者だってことも。
……それが一番だよね。私は彼に向かって、首を横に振って見せた。
「それがあるの。ここは……ゲームの世界だから。私、転生者なの」
辺りに人影がないので、きっぱり言ってしまう。もちろん校舎の裏口にも人の姿はない。
さすがにゲームはゲームでもエロゲだとは言えなかったけど。
蒼吾君は憐れむような顔になり、サキュバスジュースのキャップを締め直して私に返してくれた。
「世莉ちゃん、ネット小説読んでる暇があったら勉強したほうがいいと思うよ?」
「私の学力の低さは自分が一番わかってるよ。この実力で学園に編入出来た時点でおかしいでしょ?」
「いや、それはたぶん……」
なにかを言おうとしてためらっている蒼吾君に畳みかける。
「私がこの学園に編入出来たこと、それが私に主人公補正が発動されているというなによりの証拠でゴワス!」
「ちょ……それはやめてよ、あはは」
ひとしきり笑った後、彼はうーん、と首を捻った。
「もしかして、そのギャグもゲーム由来? ひとりで考えてても全然面白くないのに、世莉ちゃんに言われると爆笑しちゃうんだ」
「うん」
ギャグってひとりで考えて面白いもんじゃないよね、とは思ったものの、蒼吾君にウケると知っていたのはゲーム由来だったので、私は力強く頷いた。
彼はなにかを探すように辺りを見回した後、言った。
「いくら人がいなくても、ここで話していいことじゃなさそうだね。今日は桜山さんも紅太郎もいないけど……僕のマンションに来る?」
「うん!」
蒼吾君が監禁男になる未来はなんとしても食い止めたい。
沙姫ちゃんのためでもあるし、蒼吾君のためにもなると思う。『ラストサマーメモリー』の男性主人公が攻略対象と全然仲良くなれないで、卒業後友情ルートをクリアして親友となった彼と同居して大学生活を送るエンドのときに見せる蒼吾君の笑顔は、とても幸せそうだった。きっとあれが本当の彼だ。
沙姫ちゃんとの仲を邪魔している私にも優しく勉強を教えてくれる蒼吾君は、本当はいい人なのだ。
「はあ……女の子なんだから、気軽に男がひとり暮らししている部屋に来るべきじゃないと思うけどね。まあ、いいか。ついでにお茶も渡しとくよ」
「ありがとう!」
そんなわけで、私は蒼吾君の車で彼のマンションへと向かったのだった。
蒼吾君が飲んで発情しちゃったら、沙姫ちゃんのところへ直行して監禁まっしぐらかもしれない。
彼はとても真剣な表情で、私を嗜めるように言った。
「世莉ちゃん……学園の自販機に媚薬が入ってるわけないだろ?」
普通はそうだよね! でもここエロゲ世界ですから! 学園の生徒もみんな十八歳以上ですからーっ!
さっき考えてたようにゲームのこと説明しようか。私が転生者だってことも。
……それが一番だよね。私は彼に向かって、首を横に振って見せた。
「それがあるの。ここは……ゲームの世界だから。私、転生者なの」
辺りに人影がないので、きっぱり言ってしまう。もちろん校舎の裏口にも人の姿はない。
さすがにゲームはゲームでもエロゲだとは言えなかったけど。
蒼吾君は憐れむような顔になり、サキュバスジュースのキャップを締め直して私に返してくれた。
「世莉ちゃん、ネット小説読んでる暇があったら勉強したほうがいいと思うよ?」
「私の学力の低さは自分が一番わかってるよ。この実力で学園に編入出来た時点でおかしいでしょ?」
「いや、それはたぶん……」
なにかを言おうとしてためらっている蒼吾君に畳みかける。
「私がこの学園に編入出来たこと、それが私に主人公補正が発動されているというなによりの証拠でゴワス!」
「ちょ……それはやめてよ、あはは」
ひとしきり笑った後、彼はうーん、と首を捻った。
「もしかして、そのギャグもゲーム由来? ひとりで考えてても全然面白くないのに、世莉ちゃんに言われると爆笑しちゃうんだ」
「うん」
ギャグってひとりで考えて面白いもんじゃないよね、とは思ったものの、蒼吾君にウケると知っていたのはゲーム由来だったので、私は力強く頷いた。
彼はなにかを探すように辺りを見回した後、言った。
「いくら人がいなくても、ここで話していいことじゃなさそうだね。今日は桜山さんも紅太郎もいないけど……僕のマンションに来る?」
「うん!」
蒼吾君が監禁男になる未来はなんとしても食い止めたい。
沙姫ちゃんのためでもあるし、蒼吾君のためにもなると思う。『ラストサマーメモリー』の男性主人公が攻略対象と全然仲良くなれないで、卒業後友情ルートをクリアして親友となった彼と同居して大学生活を送るエンドのときに見せる蒼吾君の笑顔は、とても幸せそうだった。きっとあれが本当の彼だ。
沙姫ちゃんとの仲を邪魔している私にも優しく勉強を教えてくれる蒼吾君は、本当はいい人なのだ。
「はあ……女の子なんだから、気軽に男がひとり暮らししている部屋に来るべきじゃないと思うけどね。まあ、いいか。ついでにお茶も渡しとくよ」
「ありがとう!」
そんなわけで、私は蒼吾君の車で彼のマンションへと向かったのだった。
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