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第二部
幽霊伯爵②
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彼からしてみれば正体不明の謎の力を持った集団が自国で暗躍しようとしている。それは警戒もするだろう。でも、これはこちらの目的を伝えて、協力を取り付けるのにちょうど良いタイミングだろう。
みんなを見渡せばみんなも視線を交わしてうなずき返してくれた。
「では、僕からの要望を伝えさせてもらいますね?」
"幽霊"はにこやかな笑顔で口を開いた。
「僕たちはとある集団を追っています。それはあの鉱山跡を瘴気まみれにした悪しき連中です。邪神信仰者、と言えば殿下もご存じでしょうか?」
「邪神信仰者、噂には知っている。創造神アウレリアを否定し、己が崇める神を創造神とし世界の滅びを望んでいるそうだな」
「さすがは世界を股にかける殿下は情報通でいらっしゃる。この連中はほとんどの人が知らないのですが話が早くて助かります」
「知っているだろうが瘴気対策のために調べているとその者たちの情報も入ってきた。世界を滅ぼすために瘴気を広めようと各地で悪業を行っている者たちだ。我が国でもかつて"ワルプルギスの惨劇"というワルプルギス村で大量虐殺が起こった事件があった。その直前に、ローブを着た妙な一団を隣村の猟師が目撃している。それは邪神信仰者とされる者たちの紋章を身につけていたこともな。…その村は100年経ったというのにいまだ瘴気にまみれ閉鎖されている」
「むごいことです。ですがその連中が、オーランド王国の王城内に入り込んでいるようなのですよ。リュシオン、こちらに魔法陣を」
ヴラドが魔王を呼び捨てにしてギョッとして魔王を見ると、感情の読めない無表情で静かに懐から魔法陣の描かれた箱を取り出し、開けてテーブルに置いた。無表情なのが怖い。
「これは鉱山跡で見つけた箱ですが、転移の魔法陣が施されていました。その転移先を辿るとオーランド王城内を示したのですよ。つまりは王城内に邪神信仰者、あるいは関係者がいる可能性が高い。殿下には僕たちに協力してもらい、王城内に招き入れてもらいたいのですよ。お願いできますか?」
ヴラドはありのままのこちらの事情を話した。
しっかり説明したのはその内容については隠す必要のない正当な理由だからだと念話でヴラドが情報共有してきた。
ただ当初の予定通り、魔王一派だとかわたしのことについては伏せた。正体を言ったらややこしいことになりそうだしそれは仕方ないのだけれど、ちょっと心苦しい。
そう物思いに耽っているとテオドール王子が唸り顔を右手で覆った。
「待ってくれ。我が国の中枢に、そんな危険人物が入り込んでいると? 病で伏せる父や妹の近くに? なんてことだ…!」
「信じるのですか? 素直な子は好ましいですが僕のような怪しい者の言葉はもっと疑ってかかるべきでは?」
「信じるさ。"幽霊"は昔から協力した者に嘘をつかなかったと聞き及んでいる。そして暴いた情報は全て真実だったと。だから信じるさ。…それに俺にも思い当たる節がある」
王子は顔を上げるとわたしたちを見回した。
「今度は俺の事情を聞いてくれるか? オーランド王国の危機なんだ」
みんなを見渡せばみんなも視線を交わしてうなずき返してくれた。
「では、僕からの要望を伝えさせてもらいますね?」
"幽霊"はにこやかな笑顔で口を開いた。
「僕たちはとある集団を追っています。それはあの鉱山跡を瘴気まみれにした悪しき連中です。邪神信仰者、と言えば殿下もご存じでしょうか?」
「邪神信仰者、噂には知っている。創造神アウレリアを否定し、己が崇める神を創造神とし世界の滅びを望んでいるそうだな」
「さすがは世界を股にかける殿下は情報通でいらっしゃる。この連中はほとんどの人が知らないのですが話が早くて助かります」
「知っているだろうが瘴気対策のために調べているとその者たちの情報も入ってきた。世界を滅ぼすために瘴気を広めようと各地で悪業を行っている者たちだ。我が国でもかつて"ワルプルギスの惨劇"というワルプルギス村で大量虐殺が起こった事件があった。その直前に、ローブを着た妙な一団を隣村の猟師が目撃している。それは邪神信仰者とされる者たちの紋章を身につけていたこともな。…その村は100年経ったというのにいまだ瘴気にまみれ閉鎖されている」
「むごいことです。ですがその連中が、オーランド王国の王城内に入り込んでいるようなのですよ。リュシオン、こちらに魔法陣を」
ヴラドが魔王を呼び捨てにしてギョッとして魔王を見ると、感情の読めない無表情で静かに懐から魔法陣の描かれた箱を取り出し、開けてテーブルに置いた。無表情なのが怖い。
「これは鉱山跡で見つけた箱ですが、転移の魔法陣が施されていました。その転移先を辿るとオーランド王城内を示したのですよ。つまりは王城内に邪神信仰者、あるいは関係者がいる可能性が高い。殿下には僕たちに協力してもらい、王城内に招き入れてもらいたいのですよ。お願いできますか?」
ヴラドはありのままのこちらの事情を話した。
しっかり説明したのはその内容については隠す必要のない正当な理由だからだと念話でヴラドが情報共有してきた。
ただ当初の予定通り、魔王一派だとかわたしのことについては伏せた。正体を言ったらややこしいことになりそうだしそれは仕方ないのだけれど、ちょっと心苦しい。
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「待ってくれ。我が国の中枢に、そんな危険人物が入り込んでいると? 病で伏せる父や妹の近くに? なんてことだ…!」
「信じるのですか? 素直な子は好ましいですが僕のような怪しい者の言葉はもっと疑ってかかるべきでは?」
「信じるさ。"幽霊"は昔から協力した者に嘘をつかなかったと聞き及んでいる。そして暴いた情報は全て真実だったと。だから信じるさ。…それに俺にも思い当たる節がある」
王子は顔を上げるとわたしたちを見回した。
「今度は俺の事情を聞いてくれるか? オーランド王国の危機なんだ」
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