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第二部
女神と伯父と母②
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「女神アールストゥは大地の女神。地を思うままに変化させられます。地上に私の先祖が造った神殿ごと、その神殿の真下の大地のみ液状化させ自ら沈んで行かれました。私の一族は変わらぬ忠誠をお約束し、族長が地下に向かう前の女神に血の契約を申し出ました。女神は地下深くそうそうお会いできなくなりましたが、血の契約を交わした族長の血を引くものたちはお声を聞き、時には女神のおわす神殿に招かれお目通りすることができる形になりました。代々そのお役目は受け継がれ、私と殿下の母である妹のステファナもそのお役目を行っておりました」
母の名を呼ぶ人に久しぶりに会った。父は母を思い出して辛いのかほぼ話題にしないし、俺も妹も名前呼びはしないから。
しかしそうか、それで母上は女神アールストゥと面識があり、神殿への行き方も知っていたのか。
と、それでは伯父上も女神の声が聞こえているはず。なぜ妹のシャルロッテに接触してきたのだろう。伯父上に伝えれば済む話のはずだ。
「伯父上、女神と伯父上はお話ができるのでしょう? なにか連絡はなかったのですか?」
「ああ、残念ながらそれはできなくなっているのです。ここ10年、私は女神のお声を聞いていません。私から話しかけても繋がらなく、神殿に行こうにも女神の方から入れていただけなくなっているのです」
「なぜです?」
「女神のお力が弱くなってしまっているからのようです。最後に女神のお声を聞いた時に"力を削がれている"とおっしゃっていました」
「…最後に女神の声を聞いたのはいつですか?」
「妹であり王妃のステファナが亡くなった日です」
「なんですって?」
母上が亡くなった10年前から女神に異変が起きていた?
「母上が亡くなったことと女神の弱体化に関係があるのですか? 母上は血の契約をしてはいてもあくまで女神の部下のようなもののはずです。女神に影響が出るようには思えませんが」
母上が亡くなったのは俺たち家族や国民には大きな出来事だが女神に大きな影響があるのだろうか?
「城は神殿が沈んでいる真上に建っています。かつて薔薇園を造ると王家に言われ、それならば神殿の真上にあっても大丈夫だろうと当時の族長が了承したのですが、いつの間にやら離宮を建てられてしまった経緯がありましてね。さらに後に越してきた王家の王城にされて頭を抱えたそうです。女神の存在は外に漏らさず守れと家訓があり、王家に事情を話すわけにはいかず、追い出すわけにもいかずズルズルと先延ばしになってきたそうです。先祖のマヌケ具合にこちらが頭を抱えましたよ」
「はぁ、それで?」
感想には同意見で伯父上と考え方が近いなと親近感を覚えたものの、それと何の関係があるのか。
「ステファナは国王陛下と偶然出会い婚姻し城で生活することになりました。これをいい機会とし、城内にある神殿入り口を管理し、結界を張り悪意ある者が寄りつけなくなるようにしていました」
「なっ、城内に神殿入り口があるのか!? あ、いや、それでそこはどこですか?」
一番知りたかった情報に辿り着き興奮して言葉が崩れてしまった。親戚とはいえ礼儀としてはよろしくない。
「入り口には転移の魔法陣を使って行きます。その転移の魔法陣のある場所は、ステファナの城の自室です」
母の名を呼ぶ人に久しぶりに会った。父は母を思い出して辛いのかほぼ話題にしないし、俺も妹も名前呼びはしないから。
しかしそうか、それで母上は女神アールストゥと面識があり、神殿への行き方も知っていたのか。
と、それでは伯父上も女神の声が聞こえているはず。なぜ妹のシャルロッテに接触してきたのだろう。伯父上に伝えれば済む話のはずだ。
「伯父上、女神と伯父上はお話ができるのでしょう? なにか連絡はなかったのですか?」
「ああ、残念ながらそれはできなくなっているのです。ここ10年、私は女神のお声を聞いていません。私から話しかけても繋がらなく、神殿に行こうにも女神の方から入れていただけなくなっているのです」
「なぜです?」
「女神のお力が弱くなってしまっているからのようです。最後に女神のお声を聞いた時に"力を削がれている"とおっしゃっていました」
「…最後に女神の声を聞いたのはいつですか?」
「妹であり王妃のステファナが亡くなった日です」
「なんですって?」
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「母上が亡くなったことと女神の弱体化に関係があるのですか? 母上は血の契約をしてはいてもあくまで女神の部下のようなもののはずです。女神に影響が出るようには思えませんが」
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「はぁ、それで?」
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「なっ、城内に神殿入り口があるのか!? あ、いや、それでそこはどこですか?」
一番知りたかった情報に辿り着き興奮して言葉が崩れてしまった。親戚とはいえ礼儀としてはよろしくない。
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