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第5話 上級生
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『ようこそ、お客様方』
ふと気がつくと、テラスの前に広がる広い芝生にはエメラルドグリーンのドラゴンがいた。
「ああ、私のパートナーのドラゴンだ」
第三王子殿下が私の聖獣様をなで続けながら紹介してくれる。
「あ、あの、おじゃましています!」
思わず立ち上がって礼をする。実家の龍達とはまた違うかっこよさだ。
『本日は殿下の要望に応じていただき、本当にありがとうございます。モフモフした生物と戯れるのが殿下の夢でしたのよ』
初めてドラゴンに会うけれど、なんとなく微笑んでいるのがわかる。
「あの、でも、よろしかったのでしょうか?」
私の問いかけに首をかしげるドラゴン様。
『何がでしょう?』
「パートナーである貴女がいらっしゃるのに他の聖獣を触るなんて、お気を悪くなさっているのではないかと」
首を横に振るドラゴン様。
『大丈夫ですわ。殿下はいつも私に優しくしてくださいますもの。この国の王族は7歳になるとドラゴンをパートナーとする慣わしなのですが、それまで殿下はいろんな動物をかわいがっておりましたわ。ですが、私の力が強すぎて他の動物や聖獣から避けられるようになり、大変申し訳なく思っておりましたの』
優しいドラゴン様だなぁ。
「ああっ?!」
そろそろなでられることに飽きてきた聖獣様は、殿下の膝の上からぴょんと飛び降りて私のところへ戻ってきた。
悲しそうな顔の第三王子殿下。
『そんな顔をするでない。美味い菓子の礼に今後もなでることを許可しよう』
「本当ですか?!」
パッと殿下の笑顔が輝く。
『我が飽きるまでだがな』
聖獣様はお菓子で簡単に釣られて連れ去られそうなので気をつけねば…と、やりとりを聞いていた私は思った。
それからは学院の放課後が主なモフモフ時間となった。
当初、第三王子殿下は昼休みも希望していたが、私だって級友達と過ごす時間が欲しいと率直に話したら納得してくれた。
放課後の殿下は、いつも聖獣様と私のためにお菓子を持ってきてくれる。そして聖獣様をなでながら私に勉強を教えてくれる。恐縮する私に、
「上級生なのだから、これくらいは軽いものさ。私自身のおさらいにもなるしね」
と笑顔で答えてくれる。その教え方がとてもわかりやすい上に、あいかわらずいい声なので、私の成績も上向いてきている。
放課後になっても談話室に殿下がなかなかいらっしゃらない日。
私は上級生の女子学生達に半ば強引に連れ出され、校舎の裏手で囲まれていた。
「平民のくせに生意気よ!」
「下級生のくせに殿下と親しくするなんて!」
「好かれてるのは貴女じゃなくて聖獣なんだからね!」
うん、最後のは同意だな。
「おとなしく身を引きなさいよ!」
そんなこと言われても、こちらも頼まれてるだけだしなぁ。
「あの、そういうことは殿下に直接おっしゃっていただけませんでしょうか?」
「「「 なんですってぇ~?! 」」」
つい正直に言ってしまったら、どうやら皆さんの逆鱗に触れてしまったらしい。
「どうやら少し痛い目を見ないとわからないようですわね?」
ふと気がつくと、テラスの前に広がる広い芝生にはエメラルドグリーンのドラゴンがいた。
「ああ、私のパートナーのドラゴンだ」
第三王子殿下が私の聖獣様をなで続けながら紹介してくれる。
「あ、あの、おじゃましています!」
思わず立ち上がって礼をする。実家の龍達とはまた違うかっこよさだ。
『本日は殿下の要望に応じていただき、本当にありがとうございます。モフモフした生物と戯れるのが殿下の夢でしたのよ』
初めてドラゴンに会うけれど、なんとなく微笑んでいるのがわかる。
「あの、でも、よろしかったのでしょうか?」
私の問いかけに首をかしげるドラゴン様。
『何がでしょう?』
「パートナーである貴女がいらっしゃるのに他の聖獣を触るなんて、お気を悪くなさっているのではないかと」
首を横に振るドラゴン様。
『大丈夫ですわ。殿下はいつも私に優しくしてくださいますもの。この国の王族は7歳になるとドラゴンをパートナーとする慣わしなのですが、それまで殿下はいろんな動物をかわいがっておりましたわ。ですが、私の力が強すぎて他の動物や聖獣から避けられるようになり、大変申し訳なく思っておりましたの』
優しいドラゴン様だなぁ。
「ああっ?!」
そろそろなでられることに飽きてきた聖獣様は、殿下の膝の上からぴょんと飛び降りて私のところへ戻ってきた。
悲しそうな顔の第三王子殿下。
『そんな顔をするでない。美味い菓子の礼に今後もなでることを許可しよう』
「本当ですか?!」
パッと殿下の笑顔が輝く。
『我が飽きるまでだがな』
聖獣様はお菓子で簡単に釣られて連れ去られそうなので気をつけねば…と、やりとりを聞いていた私は思った。
それからは学院の放課後が主なモフモフ時間となった。
当初、第三王子殿下は昼休みも希望していたが、私だって級友達と過ごす時間が欲しいと率直に話したら納得してくれた。
放課後の殿下は、いつも聖獣様と私のためにお菓子を持ってきてくれる。そして聖獣様をなでながら私に勉強を教えてくれる。恐縮する私に、
「上級生なのだから、これくらいは軽いものさ。私自身のおさらいにもなるしね」
と笑顔で答えてくれる。その教え方がとてもわかりやすい上に、あいかわらずいい声なので、私の成績も上向いてきている。
放課後になっても談話室に殿下がなかなかいらっしゃらない日。
私は上級生の女子学生達に半ば強引に連れ出され、校舎の裏手で囲まれていた。
「平民のくせに生意気よ!」
「下級生のくせに殿下と親しくするなんて!」
「好かれてるのは貴女じゃなくて聖獣なんだからね!」
うん、最後のは同意だな。
「おとなしく身を引きなさいよ!」
そんなこと言われても、こちらも頼まれてるだけだしなぁ。
「あの、そういうことは殿下に直接おっしゃっていただけませんでしょうか?」
「「「 なんですってぇ~?! 」」」
つい正直に言ってしまったら、どうやら皆さんの逆鱗に触れてしまったらしい。
「どうやら少し痛い目を見ないとわからないようですわね?」
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