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第6話 危機
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「少し痛い目を見ないとわからないようですわね?」
どうやら全員が風魔法の使い手らしく、揃って詠唱を始める。
私闘に魔法を使ってはいけないというのは一番最初の授業で習うはずなのだが、上級生だからもう忘れているのだろうか?
しょうがないなぁ。
私に向かってきた風の塊を無詠唱ではじき返すと、全員がしりもちをついた。よかった、上手く加減ができたようだ。さすがに怪我させるわけにはいかないからねぇ。
「もう許せませんわっ!」
リーダー格らしい女子学生がいち早く立ち上がり、再び詠唱を始める。
おや、お次はかまいたち系か。
はじき返すと向こうが怪我しちゃうし、さてどうしようかなぁ?と思っていると、聖獣様が私の前に飛び出してきた。私は思わず叫ぶ。
「ダメです!聖獣様、危ないから下がって!」
私の叫びを無視した聖獣様は、女子学生達に向かって後ろ足だけで立ち上がり、前足を高く上げた。
『この者に手を出すなっ!』
そのとたん、女子学生達はまるで力が抜けてしまったかのようにその場で崩れ落ちた。
その後方には騒動に気付いて駆けつけようとしていた第三王子殿下もいたのだが、同じように地面に膝をついている。
「「「「 かわいすぎるぅ~! 」」」」
本当は威嚇のポーズなんだけど、まぁいいか。かわいいのは無敵だよね。
その後、殿下は女子学生達に対してかなりご立腹だったけれど、全員すっかり毒気を抜かれて反省しているようだし、私も別に怪我したわけじゃない。もう2度とこんなことはしないと約束させて、今回は学院には通報しないことにした。
「校舎の窓から気がついて駆けつけようとしたのだが、貴女はずいぶんと強かったのだな」
「子供の頃から実家の牧場で害獣や魔獣の退治をやっていましたので、人よりちょっと慣れているだけですよ」
倒すのは慣れてるけど、相手に怪我させないようにする方が面倒だよね。
それに牧草を刈ったり集めたりするのも風魔法を使っていたので、繊細な魔力操作はそれなりにできている方だと思う。
実家のことを思いだしたら、ふと気がついた。
「ああ、そうだ。殿下、うちの実家の子達なら聖獣様と同様に龍の気に慣れていますので、殿下でも触れるんじゃないでしょうか?」
「えっ?!」
驚く殿下。
「うちは羊毛がメインなんですけど、他にもいろいろいますよ。牧場には牧羊犬がいますし、他にはヤギ、牛、馬、ニワトリといったところでしょうか。それから兄が猫を3匹、妹はウサギを飼っています。みんな仲良しなんですよ」
実はちょっと自慢なんだよね~とか思っていると、殿下は天を仰いでいた。
「なんということだ、地上にそんな楽園が存在するなんて…」
あいかわらずいい声だけど、大げさだなぁ。
しばらく固まっていた殿下は、我に返るとガシッと私の手を掴んだ。
「夏季休暇に貴女の実家へ行ってもかまわないだろうか?ぜひ動物達と触れ合いたいんだ!」
「え、えっと、実家に手紙を出してみますけど、国境近くなのですごく遠いですよ?」
王都から馬車で10日ほどといったところだろうか。
「心配はいらない。私のドラゴンで飛べば1日もかからないよ。ああ、手紙を出すなら私からもお願いするため一筆書こう」
すでにご機嫌な殿下。実家は部屋も余っているし、王家さえいいのなら問題ないかな、たぶん。
どうやら全員が風魔法の使い手らしく、揃って詠唱を始める。
私闘に魔法を使ってはいけないというのは一番最初の授業で習うはずなのだが、上級生だからもう忘れているのだろうか?
しょうがないなぁ。
私に向かってきた風の塊を無詠唱ではじき返すと、全員がしりもちをついた。よかった、上手く加減ができたようだ。さすがに怪我させるわけにはいかないからねぇ。
「もう許せませんわっ!」
リーダー格らしい女子学生がいち早く立ち上がり、再び詠唱を始める。
おや、お次はかまいたち系か。
はじき返すと向こうが怪我しちゃうし、さてどうしようかなぁ?と思っていると、聖獣様が私の前に飛び出してきた。私は思わず叫ぶ。
「ダメです!聖獣様、危ないから下がって!」
私の叫びを無視した聖獣様は、女子学生達に向かって後ろ足だけで立ち上がり、前足を高く上げた。
『この者に手を出すなっ!』
そのとたん、女子学生達はまるで力が抜けてしまったかのようにその場で崩れ落ちた。
その後方には騒動に気付いて駆けつけようとしていた第三王子殿下もいたのだが、同じように地面に膝をついている。
「「「「 かわいすぎるぅ~! 」」」」
本当は威嚇のポーズなんだけど、まぁいいか。かわいいのは無敵だよね。
その後、殿下は女子学生達に対してかなりご立腹だったけれど、全員すっかり毒気を抜かれて反省しているようだし、私も別に怪我したわけじゃない。もう2度とこんなことはしないと約束させて、今回は学院には通報しないことにした。
「校舎の窓から気がついて駆けつけようとしたのだが、貴女はずいぶんと強かったのだな」
「子供の頃から実家の牧場で害獣や魔獣の退治をやっていましたので、人よりちょっと慣れているだけですよ」
倒すのは慣れてるけど、相手に怪我させないようにする方が面倒だよね。
それに牧草を刈ったり集めたりするのも風魔法を使っていたので、繊細な魔力操作はそれなりにできている方だと思う。
実家のことを思いだしたら、ふと気がついた。
「ああ、そうだ。殿下、うちの実家の子達なら聖獣様と同様に龍の気に慣れていますので、殿下でも触れるんじゃないでしょうか?」
「えっ?!」
驚く殿下。
「うちは羊毛がメインなんですけど、他にもいろいろいますよ。牧場には牧羊犬がいますし、他にはヤギ、牛、馬、ニワトリといったところでしょうか。それから兄が猫を3匹、妹はウサギを飼っています。みんな仲良しなんですよ」
実はちょっと自慢なんだよね~とか思っていると、殿下は天を仰いでいた。
「なんということだ、地上にそんな楽園が存在するなんて…」
あいかわらずいい声だけど、大げさだなぁ。
しばらく固まっていた殿下は、我に返るとガシッと私の手を掴んだ。
「夏季休暇に貴女の実家へ行ってもかまわないだろうか?ぜひ動物達と触れ合いたいんだ!」
「え、えっと、実家に手紙を出してみますけど、国境近くなのですごく遠いですよ?」
王都から馬車で10日ほどといったところだろうか。
「心配はいらない。私のドラゴンで飛べば1日もかからないよ。ああ、手紙を出すなら私からもお願いするため一筆書こう」
すでにご機嫌な殿下。実家は部屋も余っているし、王家さえいいのなら問題ないかな、たぶん。
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