7 / 7
第7話 殿下と私
しおりを挟む
夏季休暇の帰省は第三王子殿下のドラゴンであっという間だった。
おおらかすぎる実家の家族は殿下を歓迎し、職業体験という名目でちゃっかり働かせたりもしていたが、第三王子殿下は動物達との触れ合いに大満足のようだった。
殿下のパートナーであるドラゴンと父や兄のパートナーである龍達もすっかり仲良くなった。
「素敵すぎるな、ここは」
草原に寝転がって青空を見上げてつぶやく殿下。
いろんな仕事をしたり、家畜の死などもあったりして楽しいことばかりではなかったはずだけど、殿下はそこも含めてここの暮らしを理解してくださったようだった。
第三王子殿下の牧場行きは長期休暇の恒例行事となり、殿下が卒業して私が進級する春季休暇に交際を申し込まれた。
「最初は聖獣しか目に入らなかった。だが、いつも笑顔の貴女も素敵だと思うようになっていた。それに聖獣と一緒に楽しそうにお菓子を頬張る貴女はとてもかわいい」
もしかして私はモフモフと同列なのか?とも思ったが、細かいことは気にしない性格なので素直に受け入れた。もはや一緒にいるのが当たり前になってしまっていたしね。
殿下は王族なのに偉そうにしないし気配り上手だ。そして何より聖獣様が触られることを認めたのなら悪い人のわけないもんね。
私が魔法学院の最高学年になった頃、魔法学院の教授と第三王子殿下の共同研究という形で驚きの論文が発表された。
モフモフ系の聖獣は人間の怒りや悪意・害意を軽減させる能力があり、その能力は微量ながら常に発動していて、パートナーである人間の危機に特に強く発動する、というのである。
うちの実家の家族がおおらかで、ほとんどケンカもしたことがないのは聖獣様のおかげだったのかなぁ?
「あの研究は貴女の聖獣がきっかけだったんだ。ほら、あのかわいい威嚇のポーズをした時にみんな脱力しただろう?それに嫌なことがあっても聖獣に会うと心が落ち着くことは何度もあった」
そういえばモフモフ系の聖獣のパートナーとなっている同級生は何人かいるけれど、みんな穏やかだったりほんわりとしてたっけ。
なんだかんだで私は学院を卒業してすぐに殿下と結婚した。
第三王子殿下は結婚と同時に王家を離れて公爵位を賜った。
平民の牧場主の娘が公爵夫人になっちゃっていいのか?とも思ったけど、この国はそのあたりはわりとおおらかであるらしい。
そして実家の牧場での経験から、動物は幼いうちからドラゴンのそばで育てれば問題ないということに気づいた夫は、新居で犬と猫を飼い始めた。外では夫のドラゴンが、家の中では私の聖獣様がにらみを効かせているので、ケンカが起きることはほぼない。
穏やかな春の夜。
ソファーに座る夫の膝の上では私の聖獣様がおとなしくなでられていて、両脇には犬と猫がぺったりとくっついて眠っている。
「かわいい子達に囲まれて本当に嬉しそうですね」
いつもの光景を見ながらつぶやくと、夫は極上の笑顔を浮かべながら素敵な声で私に告げる。
「ああ。でも、この世で一番かわいいのは貴女だよ」
おおらかすぎる実家の家族は殿下を歓迎し、職業体験という名目でちゃっかり働かせたりもしていたが、第三王子殿下は動物達との触れ合いに大満足のようだった。
殿下のパートナーであるドラゴンと父や兄のパートナーである龍達もすっかり仲良くなった。
「素敵すぎるな、ここは」
草原に寝転がって青空を見上げてつぶやく殿下。
いろんな仕事をしたり、家畜の死などもあったりして楽しいことばかりではなかったはずだけど、殿下はそこも含めてここの暮らしを理解してくださったようだった。
第三王子殿下の牧場行きは長期休暇の恒例行事となり、殿下が卒業して私が進級する春季休暇に交際を申し込まれた。
「最初は聖獣しか目に入らなかった。だが、いつも笑顔の貴女も素敵だと思うようになっていた。それに聖獣と一緒に楽しそうにお菓子を頬張る貴女はとてもかわいい」
もしかして私はモフモフと同列なのか?とも思ったが、細かいことは気にしない性格なので素直に受け入れた。もはや一緒にいるのが当たり前になってしまっていたしね。
殿下は王族なのに偉そうにしないし気配り上手だ。そして何より聖獣様が触られることを認めたのなら悪い人のわけないもんね。
私が魔法学院の最高学年になった頃、魔法学院の教授と第三王子殿下の共同研究という形で驚きの論文が発表された。
モフモフ系の聖獣は人間の怒りや悪意・害意を軽減させる能力があり、その能力は微量ながら常に発動していて、パートナーである人間の危機に特に強く発動する、というのである。
うちの実家の家族がおおらかで、ほとんどケンカもしたことがないのは聖獣様のおかげだったのかなぁ?
「あの研究は貴女の聖獣がきっかけだったんだ。ほら、あのかわいい威嚇のポーズをした時にみんな脱力しただろう?それに嫌なことがあっても聖獣に会うと心が落ち着くことは何度もあった」
そういえばモフモフ系の聖獣のパートナーとなっている同級生は何人かいるけれど、みんな穏やかだったりほんわりとしてたっけ。
なんだかんだで私は学院を卒業してすぐに殿下と結婚した。
第三王子殿下は結婚と同時に王家を離れて公爵位を賜った。
平民の牧場主の娘が公爵夫人になっちゃっていいのか?とも思ったけど、この国はそのあたりはわりとおおらかであるらしい。
そして実家の牧場での経験から、動物は幼いうちからドラゴンのそばで育てれば問題ないということに気づいた夫は、新居で犬と猫を飼い始めた。外では夫のドラゴンが、家の中では私の聖獣様がにらみを効かせているので、ケンカが起きることはほぼない。
穏やかな春の夜。
ソファーに座る夫の膝の上では私の聖獣様がおとなしくなでられていて、両脇には犬と猫がぺったりとくっついて眠っている。
「かわいい子達に囲まれて本当に嬉しそうですね」
いつもの光景を見ながらつぶやくと、夫は極上の笑顔を浮かべながら素敵な声で私に告げる。
「ああ。でも、この世で一番かわいいのは貴女だよ」
63
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
結婚して5年、初めて口を利きました
宮野 楓
恋愛
―――出会って、結婚して5年。一度も口を聞いたことがない。
ミリエルと旦那様であるロイスの政略結婚が他と違う点を挙げよ、と言えばこれに尽きるだろう。
その二人が5年の月日を経て邂逅するとき
疑惑のタッセル
翠月 瑠々奈
恋愛
今、未婚の貴族の令嬢・令息の中で、王国の騎士たちにタッセルを渡すことが流行っていた。
目当ての相手に渡すタッセル。「房飾り」とも呼ばれ、糸や紐を束ねて作られた装飾品。様々な色やデザインで形作られている。
それは、騎士団炎の隊の隊長であるフリージアの剣にもついていた。
でもそれは──?
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる