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第1話:魔王討伐パーティ
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「いい加減にしてください!私には好きな人がいるって何度も言ってるでしょう?!」
今日も今日とて魔王討伐パーティの女勇者を口説こうとしたのだが、予想通りいつもの返事が返ってきた。
「だが、お前の男はどこか遠くにいるんだろ?そんな奴より近くにいる俺の方がいいじゃないか」
「だから、そういう問題じゃないんですってば!あの人とは将来を誓い合った仲なんですから」
「じゃあ何でお前は魔王討伐なんかに行くんだよ?そいつと仲良くしてりゃいいじゃねぇか」
小柄な女勇者が俺を見上げてにらむ。
「私達が一緒になるためには魔王を討伐しなきゃならないんです!お願いだからしばらく私に話しかけないで!」
女勇者は野営のテントにもぐりこんでしまった。
見た目がいいだけじゃなく、腕も立つし度胸もあっていい女なんだがなぁ。料理は壊滅的だけど。
女神様より剣聖の加護を受けた俺は、王宮騎士団に入って実戦でも活躍してきたが、どうにも集団行動や上下関係というものに馴染めず、騎士団を辞めて冒険者になった。剣の腕前のおかげで食うには困らないし、仕事もそれなりに選べるから気楽でよかった。
だが、冒険者ギルドを通じて国から極秘任務である魔王討伐の一員に加わるよう要請されてしまったのだ。国からの依頼は断れないというルールがある。
魔王討伐パーティは、剣も魔法も使える女勇者、防御や治癒などを担当する聖女、ちょっとした攻撃魔法と空間魔法が使える荷物持ちの男、そして俺の全部で4人。俺は魔法を使えないので、バランス的には魔法使いもいるといいと思うのだが、適任者がいなかったのだろうか?
「剣聖様、あんまり勇者様にちょっかい出さない方がよろしいと思いますわ。ほら、荷物持ちの方がにらんでいますわよ」
聖女にたしなめられ、ふと荷物持ちの男を見るとすぐさま視線をそらされた。
「どうも気にくわねぇんだよな、このパーティは」
「どうしてですか?」
聖女が小首をかしげる。
「何かはわからねぇが、俺達に知らされてねぇことがあるだろ。そもそも魔王討伐が極秘任務ってのもおかしい。昔は王都で派手な壮行パレードをやったとか聞いてるぞ」
小さくうなずく聖女。
「私も今回は剣聖様と同様に違和感を感じておりますわ。おそらく国としては何か隠したいことがあるのでしょうね」
聖女は大神殿に勤めていたが、なにやら事情があったとかで現在は大神殿を離れて冒険者として登録している。お互いに特定のパーティには加わらず、単独行動かサポートメンバーとして動くのが基本だが、何度も仕事で組んだことがあるのですっかり顔なじみだ。
「まぁ、俺達はやれることをやるだけだがな」
「そうですわね」
襲ってくる魔族達をなぎ倒しながら旅は進み、とうとう魔王城にたどりついた。
魔王城の内部でも戦いは繰り広げられたが、いよいよ謁見の間にいる魔王と相対することとなった。
いかにも魔王らしく、黒い冠をかぶって黒いマントを羽織り、大きな黒い杖を持っている。
だが、想像していた魔王とはどうも違っていた。
「なんか貧相な男だよなぁ」
ずいぶんと痩せていて顔色もよくない。
顔立ちそのものは男前の部類に入るのだろうが、その眼は赤く光っている。
「魔王!その人を返してよ!」
そう叫んだ女勇者は涙を流していた。
今日も今日とて魔王討伐パーティの女勇者を口説こうとしたのだが、予想通りいつもの返事が返ってきた。
「だが、お前の男はどこか遠くにいるんだろ?そんな奴より近くにいる俺の方がいいじゃないか」
「だから、そういう問題じゃないんですってば!あの人とは将来を誓い合った仲なんですから」
「じゃあ何でお前は魔王討伐なんかに行くんだよ?そいつと仲良くしてりゃいいじゃねぇか」
小柄な女勇者が俺を見上げてにらむ。
「私達が一緒になるためには魔王を討伐しなきゃならないんです!お願いだからしばらく私に話しかけないで!」
女勇者は野営のテントにもぐりこんでしまった。
見た目がいいだけじゃなく、腕も立つし度胸もあっていい女なんだがなぁ。料理は壊滅的だけど。
女神様より剣聖の加護を受けた俺は、王宮騎士団に入って実戦でも活躍してきたが、どうにも集団行動や上下関係というものに馴染めず、騎士団を辞めて冒険者になった。剣の腕前のおかげで食うには困らないし、仕事もそれなりに選べるから気楽でよかった。
だが、冒険者ギルドを通じて国から極秘任務である魔王討伐の一員に加わるよう要請されてしまったのだ。国からの依頼は断れないというルールがある。
魔王討伐パーティは、剣も魔法も使える女勇者、防御や治癒などを担当する聖女、ちょっとした攻撃魔法と空間魔法が使える荷物持ちの男、そして俺の全部で4人。俺は魔法を使えないので、バランス的には魔法使いもいるといいと思うのだが、適任者がいなかったのだろうか?
「剣聖様、あんまり勇者様にちょっかい出さない方がよろしいと思いますわ。ほら、荷物持ちの方がにらんでいますわよ」
聖女にたしなめられ、ふと荷物持ちの男を見るとすぐさま視線をそらされた。
「どうも気にくわねぇんだよな、このパーティは」
「どうしてですか?」
聖女が小首をかしげる。
「何かはわからねぇが、俺達に知らされてねぇことがあるだろ。そもそも魔王討伐が極秘任務ってのもおかしい。昔は王都で派手な壮行パレードをやったとか聞いてるぞ」
小さくうなずく聖女。
「私も今回は剣聖様と同様に違和感を感じておりますわ。おそらく国としては何か隠したいことがあるのでしょうね」
聖女は大神殿に勤めていたが、なにやら事情があったとかで現在は大神殿を離れて冒険者として登録している。お互いに特定のパーティには加わらず、単独行動かサポートメンバーとして動くのが基本だが、何度も仕事で組んだことがあるのですっかり顔なじみだ。
「まぁ、俺達はやれることをやるだけだがな」
「そうですわね」
襲ってくる魔族達をなぎ倒しながら旅は進み、とうとう魔王城にたどりついた。
魔王城の内部でも戦いは繰り広げられたが、いよいよ謁見の間にいる魔王と相対することとなった。
いかにも魔王らしく、黒い冠をかぶって黒いマントを羽織り、大きな黒い杖を持っている。
だが、想像していた魔王とはどうも違っていた。
「なんか貧相な男だよなぁ」
ずいぶんと痩せていて顔色もよくない。
顔立ちそのものは男前の部類に入るのだろうが、その眼は赤く光っている。
「魔王!その人を返してよ!」
そう叫んだ女勇者は涙を流していた。
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