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第6話 告白されました
「彼女達の勘はあながち外れてはいないともいえるかな。私は貴女に興味を抱いて計算室へ足を運ぶようになったのだから」
「あの、どうして私なんかに興味を…?」
「厳格で誰も笑顔を見たことがないと言われている人物の部下として、いきなり若い女性が入ってきたからね。心配になったのと興味本位の両方ではあったかな」
その言葉を聞いて室長の方を見る。
「まぁ、私も昔は色々とあったのですよ」
そう一言だけ告げて室長は再びお茶をすする。
「様子を見ていると最初からうまくやっていたし、室長も時折笑っていたので本当に驚いた。そして貴女は王族である私にさして興味も示さず、ひたすら仕事に打ち込む姿が印象に残った」
興味がないというよりも単純に別世界の人だと思っていた。もちろん今もだけど。
「そして、ここで出されるお茶やジャムも本当に美味しくて、つい入り浸ってしまったわけだ」
なるほど、食べ物に釣られていたのか。
「先日まで公務で隣国へ行っていたので、しばらく来られなかったのだが、隣国でもたびたび貴女のことを思い出していた。今頃いったい何をしているだろうか?今日のお茶菓子は何だろうか?とかね」
「はぁ」
公務って実は結構暇なんだろうか?
「自分でも理解しがたい不思議な感情でね、側近でもある長年の友人にふとそのことを漏らしたら『それは恋なのでは?』と言われた。ああ、この感情がそうなのか、と納得したんだ」
「…は?」
恋?誰が?誰に?
殿下が姿勢を正す。
「どうやら私は君のことが好きになってしまったようだ」
「ちょ、ちょっと待ってください!私なんかのどこがいいんですか?他の人に比べて小柄だし、かわいくもないし…」
さっき絡んできた行儀見習いの令嬢達は、言動は問題だらけだったけど、全員きれいではあったのだ。
「普段の貴女はとても可愛らしいと思うし、仕事に対して真摯に取り組む姿は本当に美しいと思う」
可愛いとか美しいとか言われたことがないから困ってしまう。
「だからまずは確認したい。貴女は私のことが嫌いだろうか?」
「決してそんなことはございません!」
つい力をこめて否定する。
「えっと、その、うちのジャムを美味しそうに食べている時は、普段見せない柔らかい表情でいいなとは思います。ですが、その、恋愛的に好きか嫌いかというと、今まで考えたこともなかったので、よくわからないです…」
しどろもどろで最後の方は声が小さくなってしまう。
とまどう私を見て殿下が微笑む。
「まずは嫌われていないことに安心した。私は貴女のことをもっと知りたいと思うし、貴女に私のことを知ってほしいと思う。だから、これからはそのつもりで接していくので、どうかよろしく頼む」
どうしていいかわからなくなり、すがるように室長を見るとこちらも微笑んでいた。
「あの幼かった殿下が立派に成長し、女性に告白する場に立ち会えるとは光栄ですね。若いお2人のことですので私は見守りに徹しますが、もし彼女に無理を強いるようなことがあれば介入させていただくといたしましょうか」
第三王子殿下はうなずいた。
「ああ、かまわない。正々堂々といくつもりだからな」
「あの、どうして私なんかに興味を…?」
「厳格で誰も笑顔を見たことがないと言われている人物の部下として、いきなり若い女性が入ってきたからね。心配になったのと興味本位の両方ではあったかな」
その言葉を聞いて室長の方を見る。
「まぁ、私も昔は色々とあったのですよ」
そう一言だけ告げて室長は再びお茶をすする。
「様子を見ていると最初からうまくやっていたし、室長も時折笑っていたので本当に驚いた。そして貴女は王族である私にさして興味も示さず、ひたすら仕事に打ち込む姿が印象に残った」
興味がないというよりも単純に別世界の人だと思っていた。もちろん今もだけど。
「そして、ここで出されるお茶やジャムも本当に美味しくて、つい入り浸ってしまったわけだ」
なるほど、食べ物に釣られていたのか。
「先日まで公務で隣国へ行っていたので、しばらく来られなかったのだが、隣国でもたびたび貴女のことを思い出していた。今頃いったい何をしているだろうか?今日のお茶菓子は何だろうか?とかね」
「はぁ」
公務って実は結構暇なんだろうか?
「自分でも理解しがたい不思議な感情でね、側近でもある長年の友人にふとそのことを漏らしたら『それは恋なのでは?』と言われた。ああ、この感情がそうなのか、と納得したんだ」
「…は?」
恋?誰が?誰に?
殿下が姿勢を正す。
「どうやら私は君のことが好きになってしまったようだ」
「ちょ、ちょっと待ってください!私なんかのどこがいいんですか?他の人に比べて小柄だし、かわいくもないし…」
さっき絡んできた行儀見習いの令嬢達は、言動は問題だらけだったけど、全員きれいではあったのだ。
「普段の貴女はとても可愛らしいと思うし、仕事に対して真摯に取り組む姿は本当に美しいと思う」
可愛いとか美しいとか言われたことがないから困ってしまう。
「だからまずは確認したい。貴女は私のことが嫌いだろうか?」
「決してそんなことはございません!」
つい力をこめて否定する。
「えっと、その、うちのジャムを美味しそうに食べている時は、普段見せない柔らかい表情でいいなとは思います。ですが、その、恋愛的に好きか嫌いかというと、今まで考えたこともなかったので、よくわからないです…」
しどろもどろで最後の方は声が小さくなってしまう。
とまどう私を見て殿下が微笑む。
「まずは嫌われていないことに安心した。私は貴女のことをもっと知りたいと思うし、貴女に私のことを知ってほしいと思う。だから、これからはそのつもりで接していくので、どうかよろしく頼む」
どうしていいかわからなくなり、すがるように室長を見るとこちらも微笑んでいた。
「あの幼かった殿下が立派に成長し、女性に告白する場に立ち会えるとは光栄ですね。若いお2人のことですので私は見守りに徹しますが、もし彼女に無理を強いるようなことがあれば介入させていただくといたしましょうか」
第三王子殿下はうなずいた。
「ああ、かまわない。正々堂々といくつもりだからな」
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