一人ぼっちの少年と白い魔物

妖猫

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逢えた

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青年は不思議と思いながらも吸い込まれるようにその家に入りました。家に入ると見た目通りこぢんまりした部屋にホコリがかぶってた本やいろいろな物が沢山積み上げられていました。ふと気づくと道案内してくれた白い蛇はいつの間にかいなくなって代わりにそこにあった古ぼけた安楽椅子に少女がギイギイと音を立てながら座っていました。その少女は髪の毛が足を踏んで転ぶんじゃないかってぐらいに長くてそして頭から足まで肌が真っ白かった。青年は怖くなって半信半疑で
「もしかしてこの絵本に乗っている物語の白い化け物なのか?」
と持っていた絵本を少女に渡しながら聞きました。
少女は青年に聞こえないぐらいの声で
「こういう物語になっていたんだね」
と悲しそうにその絵本を触りながら眺め、それから静かにコクンと頷きました。青年はようやく少女に会えたことを心の中で喜んでいましたがふと少女の方に再び目をやると白い手足に鎖が繋がれているのを気づきました。少年はまた聞きました。
「なんで、繋がれているの?」
と。少女は
「いたずら好きの王様に閉じ込められた」
と無邪気に足をバタバタさせながら答えました。青年は
「そんな馬鹿な、ここに閉じ込められて何百年以上超えてる、それになんにも食べないで暮らすなんでそれこそ化け物じゃないか!」
と酷く驚きました。
「私、化け物じゃなくてルカって言う名前があるんだよねー。そっちの名前で呼んで欲しいよね。それに食べ物ならあるよ」
と頬を膨らみながらそう言いました。
青年は
「ど、どこに?」
と辺りを見回しても食べ物らしき物は一つも置いてませんでした。代わりにあったのは黒い玉が魔女が使うような底が丸い鍋に沢山入っていました。青年はそれを差しながらも、
「もしかしてこれの事を言ってるの?」
と聞きました。ルカは
「そうだよー、それそれ」
とニコニコしながら言っていました。少年は再びその黒い玉を見ました。よく見ると何が蠢くように玉の中で動いていました。青年は
「これはなんだ?」
「それ?、たぶん煙みたいなのが入っているんだろうね。」
「これは僕でもたべれるのか?」
「分からないけど、私以外食べる人は見たことがないからね。やめたほうがいいよ」
「どうしてだ?」
「たぶん死ぬと思うからよ」
と冷たく言い放ちました。
「そ、そうか、所で他に食べる物はあるのか?」
「うん、無いと思うよー。あったら食べているよ!」
少年はカバンの中に確かに食べ物が入れてあったはずだと思い出して探しましたが、確かに入れたはずの飴や食品がなくなっていました。
「この森に入ったら無くなるのか?」
「何が?」
「食べ物が」
「私は分からないわ」
「そうか、無くなったものをアレコレに言っても仕方ないな、ん?、それじゃその黒い玉はどうやって?もしかして自分で作ってるのか?」
「ううん違うよー、外に転がってる黒い玉を拾ってるの」
「え、鎖繋がれているのに歩けたのか?」
と少女の手足を見ながら言いました。
「家の中ならある程度歩けるけどこの安楽椅子に繋がれているから家の外はでれないの。でもその代わりにハクちゃんが拾ってもらってるの!ねっ、ハクちゃん!」
微笑みながらちらりと見た少女の目線の先にはいつの間にか先程道案内してくれた白い蛇がシュルルルルと舌を出しながらこちらを見ていました。
「え、こんな蛇が!?」
「私のハクちゃんをこんな蛇とか言わないで!これでも私の身の回りをお世話してくれてるの!?」
「あ、ごめん………」
「もう、いいよ。」
「え、えっとハ、ハクはどうやってルカに世話し……………」と聞こうとしたけど
「んで、なんで私に会いに来たのー?」
と話が変わってしまい、青年は慌てて
「僕と似ている白い化け物に会いに来た」
と答えました。
「んで、見た感想はー?」
「まさか、少女だとは思わなかった。暴れまくって閉じ込めたと言うものだから体が大きいミノタロウスみたいな化け物だと思っていたもので」
「そんな風に話が広まってるんだね」
とまた悲しそうに言いました。
「あ、ごめん。そんなことを言わない方が良かったな…………」
「もう、気にしてないから大丈夫だよ!」
「それにしてもずっと生きているのになんで10代ぐらいのままなの?」
「それはもう一つ呪いがあって、不老不死という呪いらしくて若いまま死ぬこともないって王様が言ってた。」
「……………もう1個だけ聞きいていいかい?」
「質問が多いねっ!まあ、楽しいからいいけどねっ!」
「そ、その呪いどうやったら解けるのか知ってるのか?」
「うん、知ってるー」
と軽く言ったんで青年は驚きつづまた聞きました。
「知ってるのか!?」
「うん、あのね、この沢山ある黒い玉を全部無くなったらね、この呪いを解けるって王様が言ってたの。でも頑張って消化しているのになかなか黒い玉が減らないの。不思議だね。」としきりに鍋から黒い玉1つ取ったかと思ったら陽の当たる窓のそばにある小さい机の上にその黒い玉を日を当たりながら転がしそう言った。
「…………」
「え、な、なんで泣いてるの?」
青年は気がつくとボロボロと泣いてしまっていた。なぜなら全て分かってしまったから
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