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第7章 アカネとフルーテスとのお茶会編

【男の娘065】アカネとフルーテス領へ入門

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それから、しばらく経って

「お姉様、マッシュ兄さん遅いですね。」

「主(あるじ)よ。少し摘んだだけでは、足りぬのだ。」

「そうよね。マッシュ兄さん遅いわね。ちょっと早く来すぎたかしら、それとも家畜の取引でトラブルがあったのかしらね」

「あっお姉様、門の前に、あそこに手を振っている人かこっちに向かってきてますわ。」

「マッシュ兄かしらね?遠いからよく見えないわ。」

「主よ。あれは、マッシュで間違いないぞ」

ドラゴンの視力ってこんなに遠く離れた所からでも分かるんだね。すごーい。

「じゃー、二人ともお迎えも来たとこだし、マッシュ兄さんの方に歩いて行きましょうか」

「はい。」

「うむ」

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「もう着いてたんだね。みんな。もう少しおそいかと思ってたよ。お待たせしました。」

「マッシュ兄さんに何かあったかと心配しちゃいましたわ。取引は大丈夫でしたか?」

「そっちは滞りなく、終えたよ。獣人達も帰ってもらったし、僕は、朝一でフルーテス卿の所に行って、お茶会が出来るかどうかアポをとって来てたんだ。その後、少し、散策してたら、迷子になってしまって、遅れてしまったよ。」

「マッシュ兄さんって方向音痴だったんですか?」

「マッシュ兄さんは、都市に行って少し目を離すとどこに行ったか分からなくなるとお父様がぼやいてましたわ。」

「はははっ、方向音痴と言う訳ではないよ。辺境の地では迷子になったことはないからね。面目ない、女性を待たすだなんて、男性としてあるまじき行為だったよ。」

「大丈夫ですよ。マッシュ兄様、幸いティム君がいてくれたから私もお姉様も何事もありませんでしたわ。ただ、ティム君がお腹が空いて、少し大変そうでしたよ。ふふっ」

「そうなのだ。マッシュ。我はお腹が減って仕方がないのだ。早うお昼にさせてくれ」

ティムは、私たち二人を乗せて来たからね。前はそんなに日に1食ぐらいでいいって言ってたのに。最近は、成人男性と同じくらいの量を3食食べている。それでも、ドラゴンからしたら、少ないように感じるんだけど。

「そうだね。みんなを待たせたから、お昼は僕がご馳走するよ。」

「やったーーー」

「と言っても、後鐘が二つなるまでには、フルーテスさんとこに行く必要があるので、屋台で適当に済ませるよ」

「なぬー、それでは、お腹一杯に食べれんではないか!主。早く行くぞ。早く早く」

と言って、ティムは、門に向かって走り出した。

「もうティムったら。ふふっ」

「さっ、お姉様、お兄様。早く行きましょか。ティムちゃんがお腹空きすぎてまた、地面に寝転がっちゃうかもしれませんよ。」

◆ ◆ ◆  ◆ ◆  ◆ ◆  ◆ ◆

「ふぁーっ、お腹一杯なのだ。もう食べれないのだ。」

「ティムちょっと食べ過ぎよ。これからお茶会だから、きっとお菓子やお茶が出てくると思うのに。」

「アカネ、そうなのか?なぜ、もっと早く言ってくれんのだ。色のついた水しか出んと思っておったぞ。」

「大丈夫ですよ。ティム君、私がちゃんと、その分も食べて差し上げますわ。」

「キャロットよ。そなた意地が悪いのう。」

「ふふっ、冗談ですよ。」

4人は、テクテクとレンガで整備された道をフルーテス卿の屋敷まで歩いていく。街中は、ベジタル領とは、違って綺麗に整備されている。うちの領は、レンガというものは、使ってない。地面、そのままである。

歩きやすい靴を履く習慣がある。うちの辺境でハイヒールを履いて歩こうものなら、ヒールが土に埋まって、バランスを崩して、たちまち転んでしまうんです。

「カーン、カーン、カーン」

鐘が鳴った、少しギリギリになってしまったようだ。現代人としは、10分前行動しておきたいとこである。ビジネスで遅刻しようものなら、相手の時間を奪ってしまうため、信用問題になりうる。

ちなみにこの鐘は、都市部にはあるけど、田舎にはないのだ。なので、ベジタル領にもそういうのはない。太陽が一番上に上がったら、お昼で、後は日が沈むまでが一日なんだよ。

都市では、鐘を鳴らすっていう仕事があるんだそうだ。時計をみて、それに合わせて行う仕事なんだって。眠気に負けて、お昼寝したり、朝寝坊をしてしまうと、鐘が鳴らせなくなるので、そうなったらクビになってしまう厳しい仕事みたいだ。

まー、そう言われればそうなんだよね。その鐘の音でみんな仕事や一日の段取りをしてるのだから、鐘が鳴らなかったら仕事の段取りがおかしくなり、取引先と打ち合わせなんかが出来なくなるかもしれないしね。みんなが時計を持っている現代はホント便利だよね。余談でした。

「それにしても.フルーテス卿のお屋敷は大きいですわね。」

「辺境の果物を一挙に集めて、業者に卸しているお家だからね。うちとは、また、規模が違うよ。」

「そうですわね。レディアント家と比べても大きいですわ。」


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