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第7章 アカネとフルーテスとのお茶会編

【男の娘066】アカネとフルーテス家の人々

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扉に取り付けてある鐘をカランカランとマッシュ兄さんが鳴らした。

近くで作業していた執事の人が足早にこちらにやってくる。

「ようこそいらっしゃいました。どのような御用件でしょうか?」

「はい、フルーテス家の御令嬢とお茶会のお約束になります。」

「メリーナお嬢様のお客様ですね。お待ちしておりました。さっ、こちらの方へどうぞ。」

執事の方にご案内されて、私達は、大きなお屋敷の中を進んでいく。どこの誰が書いたか分からないけど、大きな額縁に絵が飾れてたり、透き通るような美しさ造形の瓶やお話が通路には置かれていた。

来たお客さんを楽しませるように色々なものが通路に置かれている。わたしにも分かるような一般的な芸術の、作品である。

あっ、ちなみにレディアント家にもありましたよ。金ピカの額縁に宝石を散りばめた陶器。ザッ成金みたいな芸術品が多かったですね。あれは、見ていてゲンナリするので、お客様を楽しませると言うよりは、こちらの力を相手に見せつける威圧に近い展示の仕方で品がなかったですね。

ベジタル家の方はというと、貴族のお客様が来ることもありませんし、キャロットちゃんのお友達や辺境の亜人がくるとこですから、芸術品は置いてありませんね。

その代わり、お父様やお母様が仕事の合間に作ったちょっとした小物がちょこんと置いてあったり、キャロットちゃんが書いたお花の絵や家族の絵が、額縁はないけど、マッシュ兄さんが作った掲示板に貼り付けてある感じですね。

私は、このフルーテス家のような芸術品もいいけど、壊したりするととんでもないので、ベジタル家のようなほっこり出来る方が好みですよ。どちらにしろ一品ものですから、壊したり破いたりしちゃダメなんですけどね。

と、色々と目移りしながら、歩いていくと一つの扉の前に案内された。

「さっこちらのお部屋に入ってお待ちください。ただいまか、メリーナお嬢様をお呼びして参ります。」

「あっお兄様、都市部の貴族のお屋敷ってこんなに凄いものなんですね。」

「そうだよ。キャロット。こんな機会でもないと貴族のお屋敷に招かれることなんてないから、よくみて勉強しておきな。キャロットもいずれは、他所の土地に嫁いで行くんだからな。」


「はい、マッシュお兄様!お姉様も連れてきてくれてありがとうございますわ」

「他の家も土地も町だって環境や住む人が変われば風習や文化も変わるからね。早いうちに見たほうがいいと思ったのよ。」

地球でも、同じ日本の中だけでも風習や方言だって全然違うんだもん。うちは、石川県でも田舎の方だったけど。農家しているから当たり前と言えば当たり前だよね。

小学校や中学校は、それほど変わらなかったんだ。近くの家の子が集まるからね。それでも友達の中では、国外旅行に行ったり、ネズミーランドやUSOに行ったりするかもいんだんだよね。うちは、農家だから、ゴールデンウィークは家族総出で田植えをするし、夏は夏で、田んぼの水管理や畑の野菜の水管理などやることが多い。

家族で遠くまで旅行に行くことはなかったから羨ましかったなー。友達の話を聞くたびに頭の中で妄想を膨らませたものだったんだよ。高校生になったら、これまでの校区とは完全に異なった色んな所から人が集まるから、その中だけでも風習が違ったり、方言が違ったりと驚くことが多かった。

うちの方では、そうなんけ?って聞くことが多いんだけど。そう言うと、えっなんて言ったんですか?って問い返されることが多かったんだよ。そうなんですか?って意味なんだけどね。それすらも伝わらないって。

私の知らない方言もあったりした。
『きんかんなまなま』って言うんだけど、聞いた瞬間「はっ?えっ、どういうこと?」って思ったもん。
言葉の意味を教えてもらったら、雪道が凍ってツルツルになってアイスバーンになっていることを指すんだって。

へーって、感じだったよ。ものの車で1時間ぐらいの距離なのに、そんなに言葉が変わるんだってその当時はびっくりしたかな。それに学校ってみんな同じようなものだと思っていたのに、友達に聞いたら、クラスの数も、運動会の色分けも全然違ったんだよ。

うちのクラスは、1学年2クラスで、運動会は赤と白に分かれての対決だったから、他もてっきりそうだったのかと。

という感じで、井の中のカワズ大海を知らずじゃないけど、当たり前だと思っていることって実は自分の周りの凄く狭い範囲だけなんだよね。小さいうちに見識を広げておけば、色んなことに対応出来ると思うんだ。

差別を知らないという点では、キャロットちゃんがいる辺境が一番なんだよね。世界を知れば区別と差別が、発生するから。うん、教育って難しいよね。

ひとますは、キャロットちゃんの世界へ羽ばたくために視野を広げよう大作戦一歩前進だよ。ふふん、お姉様の面目は果たせたかな。

「コンコンっ、入ります」

「はい、どうぞ」

執事の人が中に入ってきて、その後からフルーテスが入ってきた。わー、久しぶりに会うけど、なんかフルーテス凄く綺麗になった気がするよ。やっぱり貴族だからか、エメラルドグリーンのドレスを着てるし。

「フルーテス様、お久しぶりです。お元気してましたか?」

「はいっ、ガー」

「「「しーっ」」」っと、私とマッシュ兄さん、キャロットちゃんが口に人差し指を、当てて、フルーテスに注意する。


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