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第7章 アカネとフルーテスとのお茶会編
【男の娘096】帰った矢先の?
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「はぁー、やっとお家に着いたー。」
販売会が終わって、打ち上げして、一泊泊まって翌日からの移動である。
凄いお家のお母様の料理が恋しかった。外だと気が張ってのんびり休めないのってのもあるわよね。家に着いたら、もう夜でお母様が食事を温めてくれたのをサラッと食べて、お部屋のベッドにダイブした。
ジィやさんから報告があった後お父様やマッシュ兄さんと話をしたけれど、注意を払うに留まっている。うちの領土は辺境だし、来るまでにも時間がかかるからね。何かしてくるなら、フルーテス領からベジタル領での帰り道だと思ってたんだけど、何もなかった。
護衛もつけてない形で、襲うには絶好のチャンスな筈なのに全くない。お陰で私は、道中はずっと神経を張り詰めていたので、ヘトヘトである。
「うーん、今日はもう起きてられないわ。温室の状況なんかを確認しときたいけど、明日ね」
そのまま寝巻きに着替えることもなく、私は深い眠りに着いた。
私はその時、ただ移動で疲れて私だけ眠たくなっていると思ったんだ。でも、実は違った家族みんなが泥の様に一斉に眠ることになっているなんて。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「むごぉっむごおっ、うごっ」
あらやだ、女の子としては発してはいけない声を出してしまったわ。
目を覚ました時には、いつもの私の部屋とは違う所で寝かされていた様だ。上手く喋れない。口の中に布が入っており発音できない。猿轡の様なものをされているんだろう。
目を開けて、辺りを見ようとするが目を開いたのに前が真っ暗で見えない。目隠しもされているんだ。手を動かそうとするけど、こっちもダメ。手首を縛られている様だ。
えっ、これってもしかして私誘拐されちゃった?どっどうしよう…女の子だし、誘拐されたら、あんなことやこんなこと少年誌では書かないことをされるんじゃ……。
急に心細くなってきた。でも、男の子だったら、奴隷になるのかな?この世界では、人間は人権が認められているから、奴隷なんてことはないんだけど。
「ようやくお目覚めの様だね。おはようガーネット。元気だったかい?」
この声は元お父様、レディアント当主レディアント ブラダ。てことは、私は元お父様に誘拐されたのね。
「むごぉっむごお」
「おや、私と話をするかい?逃げようとして魔法を使ってはいけないよ。」
その言葉に少し考える。なるほど、魔法を使うには言葉を放つ必要があるから、猿轡(さるぐつわ)をして魔法を使えなくしているのか。現代日本とは異なる文化の理由だね。
ひとまず状況を確認したいから、コクンと寝転がったまま頷く。魔法を使おうにも、場所によっては転移ゲートを使って逃げたいけど、魔力を使い過ぎるみたいだから、場所が何処か分からないと最寄りのポイントに繋げられない。
誰かが私の身体を乱暴に起こし、壁に身体を預ける様に座らせ、目隠しと猿轡を外してくれた。
「ふーっ、あら、元お父様のレディアントさん。ご無沙汰しておりますわ。今日はこの様な場所でどの様なご用件ですか?また、ご契約書面をお作りした方が良いですか?」
私は平然と何事もない様なふりをしながら、プラダに話しかけた。心臓はバクバクなんだよね。いくら元父親だからといって、このやり方は褒められたものではない。場合によっては、私に命の危険があるかもしれないんだよ。
何気ない会話をすることで情報を多く聞き出し、現状を理解しなきゃ。
「ふーつ、憎まれ口は相変わらずだね。ガーネット、いや、今はアカネさんとお呼びした方が良いかな。」
ぎくっ、冷や汗が少しです。なんで、アカネの名前と私の容姿がこの男の中で一致するんだろうか。ベジタル領には金髪は私しかいないから、拉致るのはなんとかなるが名前なんて分からない筈だ。なるべく表舞台には立たない様にホットケーキの販売会だって、裏方作業になっていたんだ。
「なんで、名前がバレたかわからないって、顔をしているね。あれだけ派手にベジタル領で動いていれば、そりゃ分かるよ。私たちの仲間でベジタル領に出稼ぎにいっているものもいるからね。」
「私達ですか?今回のこの件はレディアント家の家族による誘拐なのではないですか?」
「ガーネットこれは誘拐ではないんだよ。元々お前はうちの子だったからね。そっと返しにもらいに伺って、ちょっと寝静まっている時にお邪魔しただけなんだよ。」
「レディアントさん、私以外のベジタル家の人に何かしていないでしょうね。」
「まだしてはいないさ。ガーネットが私達の元へ素直に帰って来てくれるならね。」
ひとまずはよかったね。キャロットちゃんやお母様達は無事らしい。と言っても私次第ってことは、ここに連れられて来ているのかしら?
「レディアントさん、誰かここに連れて来ているんですか?それにここは一体何処なんですか?何かの倉庫の様に見えますけど。」
「ガーネット、君の心配はもっともだ。私としても誘拐はしたくはなかったが君に言うことを聞いてもらう為には致し方ない部分もあってね。ダイナ、あの娘を連れてきなさい。」
「はい、お父様」
ダイナもいた様だ。後ろ姿を見ると、前の時の様な派手な格好ではない。庶民の着ている様な服だ。変わってお父様は、そこそこ下級貴族が来ているスーツを着ている。
「お姉様」
ダイナが連れてきたのは、寝間着姿のキャロットちゃんだった。どうやら、キャロットちゃんも寝ている間に連れてこられたみたいだ。
「キャロットちゃん。レディアントさん、幼い女の子を誘拐するなんて酷いですわ。解放してあげて下さい。」
販売会が終わって、打ち上げして、一泊泊まって翌日からの移動である。
凄いお家のお母様の料理が恋しかった。外だと気が張ってのんびり休めないのってのもあるわよね。家に着いたら、もう夜でお母様が食事を温めてくれたのをサラッと食べて、お部屋のベッドにダイブした。
ジィやさんから報告があった後お父様やマッシュ兄さんと話をしたけれど、注意を払うに留まっている。うちの領土は辺境だし、来るまでにも時間がかかるからね。何かしてくるなら、フルーテス領からベジタル領での帰り道だと思ってたんだけど、何もなかった。
護衛もつけてない形で、襲うには絶好のチャンスな筈なのに全くない。お陰で私は、道中はずっと神経を張り詰めていたので、ヘトヘトである。
「うーん、今日はもう起きてられないわ。温室の状況なんかを確認しときたいけど、明日ね」
そのまま寝巻きに着替えることもなく、私は深い眠りに着いた。
私はその時、ただ移動で疲れて私だけ眠たくなっていると思ったんだ。でも、実は違った家族みんなが泥の様に一斉に眠ることになっているなんて。
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「むごぉっむごおっ、うごっ」
あらやだ、女の子としては発してはいけない声を出してしまったわ。
目を覚ました時には、いつもの私の部屋とは違う所で寝かされていた様だ。上手く喋れない。口の中に布が入っており発音できない。猿轡の様なものをされているんだろう。
目を開けて、辺りを見ようとするが目を開いたのに前が真っ暗で見えない。目隠しもされているんだ。手を動かそうとするけど、こっちもダメ。手首を縛られている様だ。
えっ、これってもしかして私誘拐されちゃった?どっどうしよう…女の子だし、誘拐されたら、あんなことやこんなこと少年誌では書かないことをされるんじゃ……。
急に心細くなってきた。でも、男の子だったら、奴隷になるのかな?この世界では、人間は人権が認められているから、奴隷なんてことはないんだけど。
「ようやくお目覚めの様だね。おはようガーネット。元気だったかい?」
この声は元お父様、レディアント当主レディアント ブラダ。てことは、私は元お父様に誘拐されたのね。
「むごぉっむごお」
「おや、私と話をするかい?逃げようとして魔法を使ってはいけないよ。」
その言葉に少し考える。なるほど、魔法を使うには言葉を放つ必要があるから、猿轡(さるぐつわ)をして魔法を使えなくしているのか。現代日本とは異なる文化の理由だね。
ひとまず状況を確認したいから、コクンと寝転がったまま頷く。魔法を使おうにも、場所によっては転移ゲートを使って逃げたいけど、魔力を使い過ぎるみたいだから、場所が何処か分からないと最寄りのポイントに繋げられない。
誰かが私の身体を乱暴に起こし、壁に身体を預ける様に座らせ、目隠しと猿轡を外してくれた。
「ふーっ、あら、元お父様のレディアントさん。ご無沙汰しておりますわ。今日はこの様な場所でどの様なご用件ですか?また、ご契約書面をお作りした方が良いですか?」
私は平然と何事もない様なふりをしながら、プラダに話しかけた。心臓はバクバクなんだよね。いくら元父親だからといって、このやり方は褒められたものではない。場合によっては、私に命の危険があるかもしれないんだよ。
何気ない会話をすることで情報を多く聞き出し、現状を理解しなきゃ。
「ふーつ、憎まれ口は相変わらずだね。ガーネット、いや、今はアカネさんとお呼びした方が良いかな。」
ぎくっ、冷や汗が少しです。なんで、アカネの名前と私の容姿がこの男の中で一致するんだろうか。ベジタル領には金髪は私しかいないから、拉致るのはなんとかなるが名前なんて分からない筈だ。なるべく表舞台には立たない様にホットケーキの販売会だって、裏方作業になっていたんだ。
「なんで、名前がバレたかわからないって、顔をしているね。あれだけ派手にベジタル領で動いていれば、そりゃ分かるよ。私たちの仲間でベジタル領に出稼ぎにいっているものもいるからね。」
「私達ですか?今回のこの件はレディアント家の家族による誘拐なのではないですか?」
「ガーネットこれは誘拐ではないんだよ。元々お前はうちの子だったからね。そっと返しにもらいに伺って、ちょっと寝静まっている時にお邪魔しただけなんだよ。」
「レディアントさん、私以外のベジタル家の人に何かしていないでしょうね。」
「まだしてはいないさ。ガーネットが私達の元へ素直に帰って来てくれるならね。」
ひとまずはよかったね。キャロットちゃんやお母様達は無事らしい。と言っても私次第ってことは、ここに連れられて来ているのかしら?
「レディアントさん、誰かここに連れて来ているんですか?それにここは一体何処なんですか?何かの倉庫の様に見えますけど。」
「ガーネット、君の心配はもっともだ。私としても誘拐はしたくはなかったが君に言うことを聞いてもらう為には致し方ない部分もあってね。ダイナ、あの娘を連れてきなさい。」
「はい、お父様」
ダイナもいた様だ。後ろ姿を見ると、前の時の様な派手な格好ではない。庶民の着ている様な服だ。変わってお父様は、そこそこ下級貴族が来ているスーツを着ている。
「お姉様」
ダイナが連れてきたのは、寝間着姿のキャロットちゃんだった。どうやら、キャロットちゃんも寝ている間に連れてこられたみたいだ。
「キャロットちゃん。レディアントさん、幼い女の子を誘拐するなんて酷いですわ。解放してあげて下さい。」
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