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第6章 精霊樹の苗木 準備編
【雇用№86】薬儒の森 魔熊の肉で焼肉パーティー
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「じゃ~僕は竈を作るからチルはフライパンと平たい石に、包丁を持ってきてね」
「うん」
にっこにこな顔をしてチルはリヤカーに走って行った。そんなにお肉を食べたかったのか。確かに一昨日までは毎日食べていたのに、薬儒の森に来てからは、携帯食に森で採れる果物だけだから、お肉は食べてないしない。
「さてと」
『アースクリエイト』と魔法を使って、簡単な竈と熊を解体する調理場を作ってしまう。
熊をバリっと解体していきます。小熊なので、精霊樹のダガーがあれば、バッチリです。すらすら解体できるのはやっぱり気分いいですね。
毛皮は水で洗って乾燥しておきます。後で何かに使えるでしょう。そういえば、熊の討伐部位ってなんだっけ?あんまり覚えてないな。狩るのも初めてだし。他に7匹いるからま~いいか。
確か熊の掌は、中華料理では超高級食材に該当するんだよね。豊富にコラーゲンが合って、美容にもいいし、これは持って帰ってみんなで食べようかな。というか肉球みたいにぷにぷにしている所がコーラーゲンが豊富なんじゃなかろうか。
ちょっと部位を軽く分けたので試しに切って焼いてみよう。魔法で着火し、焼いてみる。
「ジュッ」
肉汁が垂れる音がなんともよい。うん、両面きっちり焼いたから食べてみよう。うん、硬いなんだこれは歯茎を鍛えるには丁度いいけど、美味しくないぞ。熟成してないのもあるけど、そもそもの肉が硬いんだな。
確か、酢豚とかでパイナップルを使って肉を柔らかくしたり、炭酸水で柔らかくしてたりテレビでやってたな。
ここには、炭酸水なんて、便利なものはないし、柑橘系の果物の皮を使ってちょっと柔らかくしてみますか。
「ぷぎゅ~~」
「なんだ、肉がもう欲しいのか。まだ焼けてないぞ。っと、別に猪は生肉でもいいのか。んじゃ、これ一切れ上げるよ。」
っと、さっき試しにきったお肉を一枚猪の前に差し出した。美味しそうに食べて、もうなくなってしまった。
「美味しかったか?」
「ぷぎゅ~~」
「そうか、そりゃよかったな。」
と一匹の猪に肉をやっていたら、それを見ていた他の猪が一斉に押し寄せてきた。いや、お前ら腹ペコすぎじゃない?
「ぷぎゅ~~」「ぷぎゅ~~」「ぷぎゅ~~」「ぷぎゅ~~」「ぷぎゅ~~」
多分これはあれだな。お前だけずるい。僕達にも生肉頂戴といった所だろう。
そっからは、ただひたすらに肉を食べやすいように切っていった。チルはチルで、その肉を猪たちに配って歩いている。その後をウリが可愛らしくついて回っていた。
「チル、果物の汁に浸けて置いたお肉焼いてくれるか。僕の方は次から次へ腹ぺこ猪たちがやってきて手が離せないから、先に焼いて食べ始めていいよ。このままだと僕たちのお肉もなくなっちゃうし。」
「うん、わかったよ。リュウ兄ちゃん。じゃ~私達が食べる分焼いちゃうね」
といって、
「ジュー」「ジュー」「ジュー」
お肉を次々と焼いていく。その匂いが香ばしくいいのであるが、果物の汁も一緒に焼けているため、匂いが少し甘ったるいのが気になるな。僕は基本的に、ご飯のおかずに甘いものは食べないんだよね。
なので酢豚も、どちらかといえば好んで食べない。サツマイモご飯はあれは、別格だ。あの甘さはご飯と物凄くあうし。この世界でも食べたいくらいだ。
と考えていると早速、チルが焼けたお肉を口の中に運んでいる。
「うん、これすっごく美味しい。お肉も噛み切れるくらいの柔らかさだし、肉汁と果汁のハーモニーがなんとも言えない。」
と一人で料理のコメントをして、恍惚の表情で食べている。僕もお腹すいたな~。
「チル、僕にも焼けたの頂戴よ」
「あっごめん。リュウ兄ちゃん。あまりに美味しくて思わず一人で食べちゃってた。」
テヘッっと言って、舌を可愛く出していた。
「ハイリュウ兄ちゃん、焼きたてほやほやのお肉だよ。はい、あ~~~ん」
いや、それは彼氏彼女や夫婦でやるものであって、家族でやるものじゃないだろう。
でも、こっちは、お肉を切断中なので手は血で汚れているし、まだまだ、猪が行列を組んで並んでいる。もうね1ブロック食べたら、また後ろいって、並んで、また次でって、腹ぺこ猪たちが多すぎるよ。ということで、ここはチルに甘えることにして、
「あ~~~~ん」
『もぐっ、もぐっ、ごっくん』
「チル、これっすっごく美味しいよ。さっきお肉が噛み切れなかったのが嘘みたいだ。果汁が甘くて食べられないと思ったけど、そうでもないね。ちょうどいい加減にアクセントになっている。もっと頂戴。」
と言って「あ~~ん」と口をまた開けた。
「はい、はい、リュウ兄ちゃんエサを今あげますからね。待っててくだちゃいね。」
何故に赤ちゃん言葉になっているんだ。僕はひな鳥かなんかなのだろうか。いや、そんなことは今はどうでもいい。ただこのお肉を一杯食べたいんだ。といって、ひたすらお肉を二人で食べていた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「はぁ~~~お腹一杯だね。もう、食べられないよ。」
「うん、確かにお腹いっぱいだ。それに、お肉の切り過ぎで腕が痛いよ。魔熊との戦闘よりも疲れたよ。」
もう、あたりにはお腹一杯にして寝っ転がる猪たちがいた。テーブルの上を見てみると、骨以外なにも残っていない。もつも含めて全部平らげてしまったようだ。当たりが暗くなっていた。今日は森で野宿することになりそうだな。
「チル、もうすぐ、夜だし危ないから今日はここで一泊しようか。それで明日の朝に出発するのはどうだろう。」
「うん、そうしようよ。流石にお腹いっぱいでもう動けないよ。森の中で一泊するなら、ボスたちのいるここが安全だもんね。」
そして、僕は魔法で簡易的な小屋を作り、その日はそこで一泊することにした。
まさか次の日にあんなことになるなんて思わなかったよ。
「うん」
にっこにこな顔をしてチルはリヤカーに走って行った。そんなにお肉を食べたかったのか。確かに一昨日までは毎日食べていたのに、薬儒の森に来てからは、携帯食に森で採れる果物だけだから、お肉は食べてないしない。
「さてと」
『アースクリエイト』と魔法を使って、簡単な竈と熊を解体する調理場を作ってしまう。
熊をバリっと解体していきます。小熊なので、精霊樹のダガーがあれば、バッチリです。すらすら解体できるのはやっぱり気分いいですね。
毛皮は水で洗って乾燥しておきます。後で何かに使えるでしょう。そういえば、熊の討伐部位ってなんだっけ?あんまり覚えてないな。狩るのも初めてだし。他に7匹いるからま~いいか。
確か熊の掌は、中華料理では超高級食材に該当するんだよね。豊富にコラーゲンが合って、美容にもいいし、これは持って帰ってみんなで食べようかな。というか肉球みたいにぷにぷにしている所がコーラーゲンが豊富なんじゃなかろうか。
ちょっと部位を軽く分けたので試しに切って焼いてみよう。魔法で着火し、焼いてみる。
「ジュッ」
肉汁が垂れる音がなんともよい。うん、両面きっちり焼いたから食べてみよう。うん、硬いなんだこれは歯茎を鍛えるには丁度いいけど、美味しくないぞ。熟成してないのもあるけど、そもそもの肉が硬いんだな。
確か、酢豚とかでパイナップルを使って肉を柔らかくしたり、炭酸水で柔らかくしてたりテレビでやってたな。
ここには、炭酸水なんて、便利なものはないし、柑橘系の果物の皮を使ってちょっと柔らかくしてみますか。
「ぷぎゅ~~」
「なんだ、肉がもう欲しいのか。まだ焼けてないぞ。っと、別に猪は生肉でもいいのか。んじゃ、これ一切れ上げるよ。」
っと、さっき試しにきったお肉を一枚猪の前に差し出した。美味しそうに食べて、もうなくなってしまった。
「美味しかったか?」
「ぷぎゅ~~」
「そうか、そりゃよかったな。」
と一匹の猪に肉をやっていたら、それを見ていた他の猪が一斉に押し寄せてきた。いや、お前ら腹ペコすぎじゃない?
「ぷぎゅ~~」「ぷぎゅ~~」「ぷぎゅ~~」「ぷぎゅ~~」「ぷぎゅ~~」
多分これはあれだな。お前だけずるい。僕達にも生肉頂戴といった所だろう。
そっからは、ただひたすらに肉を食べやすいように切っていった。チルはチルで、その肉を猪たちに配って歩いている。その後をウリが可愛らしくついて回っていた。
「チル、果物の汁に浸けて置いたお肉焼いてくれるか。僕の方は次から次へ腹ぺこ猪たちがやってきて手が離せないから、先に焼いて食べ始めていいよ。このままだと僕たちのお肉もなくなっちゃうし。」
「うん、わかったよ。リュウ兄ちゃん。じゃ~私達が食べる分焼いちゃうね」
といって、
「ジュー」「ジュー」「ジュー」
お肉を次々と焼いていく。その匂いが香ばしくいいのであるが、果物の汁も一緒に焼けているため、匂いが少し甘ったるいのが気になるな。僕は基本的に、ご飯のおかずに甘いものは食べないんだよね。
なので酢豚も、どちらかといえば好んで食べない。サツマイモご飯はあれは、別格だ。あの甘さはご飯と物凄くあうし。この世界でも食べたいくらいだ。
と考えていると早速、チルが焼けたお肉を口の中に運んでいる。
「うん、これすっごく美味しい。お肉も噛み切れるくらいの柔らかさだし、肉汁と果汁のハーモニーがなんとも言えない。」
と一人で料理のコメントをして、恍惚の表情で食べている。僕もお腹すいたな~。
「チル、僕にも焼けたの頂戴よ」
「あっごめん。リュウ兄ちゃん。あまりに美味しくて思わず一人で食べちゃってた。」
テヘッっと言って、舌を可愛く出していた。
「ハイリュウ兄ちゃん、焼きたてほやほやのお肉だよ。はい、あ~~~ん」
いや、それは彼氏彼女や夫婦でやるものであって、家族でやるものじゃないだろう。
でも、こっちは、お肉を切断中なので手は血で汚れているし、まだまだ、猪が行列を組んで並んでいる。もうね1ブロック食べたら、また後ろいって、並んで、また次でって、腹ぺこ猪たちが多すぎるよ。ということで、ここはチルに甘えることにして、
「あ~~~~ん」
『もぐっ、もぐっ、ごっくん』
「チル、これっすっごく美味しいよ。さっきお肉が噛み切れなかったのが嘘みたいだ。果汁が甘くて食べられないと思ったけど、そうでもないね。ちょうどいい加減にアクセントになっている。もっと頂戴。」
と言って「あ~~ん」と口をまた開けた。
「はい、はい、リュウ兄ちゃんエサを今あげますからね。待っててくだちゃいね。」
何故に赤ちゃん言葉になっているんだ。僕はひな鳥かなんかなのだろうか。いや、そんなことは今はどうでもいい。ただこのお肉を一杯食べたいんだ。といって、ひたすらお肉を二人で食べていた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「はぁ~~~お腹一杯だね。もう、食べられないよ。」
「うん、確かにお腹いっぱいだ。それに、お肉の切り過ぎで腕が痛いよ。魔熊との戦闘よりも疲れたよ。」
もう、あたりにはお腹一杯にして寝っ転がる猪たちがいた。テーブルの上を見てみると、骨以外なにも残っていない。もつも含めて全部平らげてしまったようだ。当たりが暗くなっていた。今日は森で野宿することになりそうだな。
「チル、もうすぐ、夜だし危ないから今日はここで一泊しようか。それで明日の朝に出発するのはどうだろう。」
「うん、そうしようよ。流石にお腹いっぱいでもう動けないよ。森の中で一泊するなら、ボスたちのいるここが安全だもんね。」
そして、僕は魔法で簡易的な小屋を作り、その日はそこで一泊することにした。
まさか次の日にあんなことになるなんて思わなかったよ。
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