【完結】雇われ勇者の薬草農園 ~チートスキルで薬草栽培始めます~ 【累計13万PT & 123大賞4一次通過】

近衛 愛

文字の大きさ
110 / 188
第7章 ひとときの日常休暇編

【雇用№109】リュウとチルのデートの結末

しおりを挟む
「リュウ、リュウ、おおーい、応答しなさーい」

人がせっかく気持ちよく寝ているというのに、さっきから煩いな。一体誰なんだ?

「ちょっとあんたなんで、寝ぼけてるのよ。今、チルとデート中のはずでしょ!あっ、もしかして、チルをほったらかして昼寝しるのね。」

「んもー、うるさいなぁ。チルならそこにいるじゃないか。」

僕はうっすらと目を開けて目の前にチルがいるのを確認して、また眠気に負けて眠りに入ろうとする。

「ちょっと!また、寝ようとしたでしょ!起きなさいって!これやってるのも結構力を使うし、何よりウェルザやモニカちゃんがピンチだって!ティタニア様が言ってんのよ。隠れながら注意してやってんだから、早く起きろ!!!!」


えっ、ウェルザさんとモニカちゃんがピンチ?というかティタニアの声?僕ってチルとデートで湖に来てるんじゃなかったっけ。少しずつ意識が覚醒して、目が覚めてきた。

目を開けると僕の腕を枕にしてチルが寝ている。体と体が接触しているし、顔が近くてドキッとする。うん、起き上がれない。起こそうか起こさないでおこうか考え体ながら、ひとまず状況を確認することにした。

目の前にティタニアはいないが、声を出せば相手と話せる感じなので、ひとまず声に出してみる。

「すまん。今までチルとクレスプリ湖で昼寝してた。それで、ティタニア。ウェルザさんとモニカちゃんがピンチってどういうことなんだ。」

「リュウ、あなた、そんなとこまで行ってたの。まーいーわ。それは後で話を聞くわ。今はそんなことしてる暇はないし。ええとね、かいつまんで話すと。。。あーまどろっこしいわ。リュウ、そこから城の上空を見なさい。それで状況が一発で理解できるわ。」

ボートの中で寝転がったまま、城の上空のある方に顔を向ける。ギリギリ、体勢を起こさずに確認することができた。

「ちょっとティタニアどういうことだ!城の上空に転送ゲートが出来てるじゃないか。まさか、ピンチって言うのは、魔族の襲撃のことか!!」

あまりの事態に体を跳ね起こす。チルが寝てるのを忘れて起き上がってしまって、ボートに頭を打ちそうになるチルを抱きしめてその場に留める。


「理解が早くて助かるわ。そうよ。魔族の襲撃よ。まだ、猶予は1週間より長くあったはずなんだけど、理由は分からないけど、ゲートが作成させるのが想定以上に早かったわ。

 それで、今回私が把握している中では、今回は量より質で来たようよ。インプが10匹、デーモンが20匹以上いるわ。幸い、ゲートが出来たのを確認して、すぐに連絡してるから、時間はそう経ってないわ」


「すまん。ティタニア。チルと一緒にすぐ戻る。その間、農場のみんなを守ってくれるか?」

「当たり前じゃない!でも、早くしなさいよ。その二人もセバリンもまだ、気づいてないけど、騒ぎが起これば、異常事態に気づくと思うわ。あのお節介な人たちのことたから、町に助けに駆けつけるはずよ」

「そんな馬鹿な。何のためにこの1週間地下に避難所を設置したと思ってるんだ。ティタニア。僕からの命令として、みんなに地下で防衛にあたるように言ってくれ。それとセバリンさんには奥さんがいるから、避難所に来るようにセバリンさんに今すぐ伝えるんだ。」

「分かったわ。みんなには、そう伝えておく。あなた達も気をつけて急いで来るのよ。戦力としては、私たちのドラゴンファームが一番高いんだから。前回の襲撃結果を見てもリュウがいないどうにもならないわ。だから。お願いだから早く帰ってきて」

「すまん。超特急で向かうから、それまでなんとか防いでくれ。」

「分かったわ。私はこれからみんなに指示を出すわ」

と言ってからティタニアの声が聞こえなくなった。どうやら通信が切れたようだ。この魔法がどういうものか気になるが時間がない。

「チル、チル、起きてくれ。」

チルの両肩を持って揺さぶって起こす。ほっぺたをピチパチ叩くのは最終手段だ。

「んっ、なーに?リュウ兄ちゃんせっかく気持ちよく寝てたのに。」

「チル。魔族の襲撃が起きてる。かなりの数のデーモンがいるらしい。急いで帰るぞ。」

「うそっ!精霊樹を植えたから時間があるはずじゃ?」

「説明は町に向かいながら行う。」

異空間から、絨毯を取り出し、空飛ぶ魔法の絨毯の魔法をかける。僕が先に絨毯にのり、チルを引っ張り挙げる。誰も乗っていないボートを異空間に収納する。

「チル、しっかりと掴まってろ。行きとは違い、全速力でぶっ飛ばして帰る。」

「うん、しっかりと掴まったよ。」

「じゃー行くぞ!」

来る時よりも更に高度を上げ、障害物を気にしなくてよい高度だ。スピードを上げる以上、魔物や草、がある高さで悠長に回避しながら運転なんてしてらんない。落下する可能性も勿論あるが、スピード勝負だ。

ものすごいスピードで風を切って空を飛んでいく。チルが振り落とされないように、しっかりと僕の背中きら腕を回して、固定している。

道中風切り音でうるさかったが掻い摘んで、ティタニアと話していた内容をチルに話した。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

処理中です...