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第8章 変わってしまう日常編
【雇用№119】デーモンイーターとのどうにもならない戦い3
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「ティタニア、冷やすのにはちゃんと訳があるんだよ。熱衝撃って言って、急速な温度変化によって、物体が脆くなる現象があるんだよ。」
もっとも、そこまでアイスクーラーの魔法で冷やせて、太陽光線の熱量がそこまで行くかは微妙なとこなんだが。それに、地球の物理法則が適用するのかとか、魔族相手に熱衝撃がそもそも効くのかなど不安要素は諸々ある。もう仕方ないじゃないか。時間もないし、手段も思いつかないんだから。
どうやら、ウォータープロミネンスによる太陽光線のチャージが完了したようで、眩き光線が光球から放出された。
「ジューっ、ジューっ、ジュー」
ティタニアは回復の手を止め、チルも魔法の発動を停止し、僕も痛みに耐えながら、デーモンイーターの成り行きを見つめていた。
これの効果がなかったら、本当に打つ手がなくなる。頼む頼むから効いてくれよ。神様、女神様、、、いや、駄女神はいいや、なんか逆に良くないことが起こりそうだし、精霊神様お願いします。
困った時の神頼みである。地球には神の存在は明らかになってはいないが、この幻想世界においては、神の存在ははっきりと証明されている。もっとも、万能な神などいなく、人より上位の存在と言った方が正しいのだが。
それでも神に祈らざるを得ない状況なんだ。お願いします。神様、助かったらなんでもしますから、お願いします。この一撃でデーモンイーターを葬って下さい。
願いが神に届いて聞き入れてくれるのかは分からない。が、ウォータープロミネンスによる照射は終わった。
デーモンイーターを見ると、照射の位置がずれていたのか、デーモンイーターが位置をずらしたのかは分からないが、焦点の位置が胴体ではなく、デーモンイーターの腕になっていたようだ。
結果を見ると、ウォータープロミネンスの効果はあった。腕が一部削り取られている。地表まで貫通してはいなかったのだが、それでもこれが胴体か頭に当たっていれば勝ち目があったのだが、当たり場所が悪かった。
熱による影響で、デーモンイーターを拘束していたアースウォーターネットの効果も破られ、魔女の一撃の効果が切れたのか、痩せ我慢しているのか分からないが、デーモンイーターが片膝を立て立ち上がろうとしている。
「リュウ、リュウ兄ちゃん、どっどうしよう!デーモンイーターが生きてるよ。」
チルがびびって涙声をあげている。それもそうだろう。デーモンを跡形もなく、焼却したウォータープロミネンスの魔法がデーモンイーター相手では腕一本分消し飛ばすこともできなかったんだから。
これは、僕たちの他の魔法や物理攻撃がほとんど効かないことを意味する。なすすべもなくやられる未来が浮かべば涙も出るだろう。絶対絶命のピンチというやつだ。
「どうもこうもない、ティタニアとウェルザさん、モニカちゃんを連れて逃げろ。この街はもう持たない。どこか、そう、薬樹の森の精霊樹の所にでも逃げてくれ。」
『スキル:魔女の一撃』
十回使って、呪いの反動が出たことで、回数がリセットされた魔女の一撃を発動していく。
「僕はここであいつをギックリ腰にして、時間稼ぎをするからそのうちに逃げてくれ。」
「嫌だ嫌だ。そんなの嫌だよ。リュウ兄ちゃんを置いて、好きな人を残して行けないよ。」
そうこうしている間にも、ギックリ腰に、なったデーモンイーターは、再び倒れるかと思いきや倒れることはなく、そのまま堪えて、スキルを発動したであろう僕の方を睨みつけてくる。
「ウギュルルル、ウギュルルル」
低い低音の唸り声が不気味に辺りに響き渡る。なぜ、魔女の一撃が効いてないのか?重ねがけは魔熊戦は有効だったのに?魔族だから、耐性が出来たのか?それとも………。それに、なぜ僕の方を向いているんだ?スキルは不可視の攻撃のはず。発動する相手なんて分かるはずがないんだ。
もっともこの場には、僕、チル、ティタニアの3人しかいなく、その3人が一箇所に集まっているため、目安はつけられるだろう。しかし、あいつの目は、地面の上に転がっている僕を一心不乱に見ている。間違いない、デーモンイーターは僕が魔女の一撃を使ったことに気づいている。
それでも、デーモンイーターは立ち上がることはせずに片膝をついたままである。効いているには効いているのだろう。と見ていたら、おもむろに、ちぎれかけの腕を無事な手で、引きちぎった。
「ウギュギュギュ」
「うっ」
取った腕をどうるするのかと思えば、むしゃむしゃとあろうことか、自分の腕を食べ出した。
あまりの気味の悪さに
「うぷっ」
チルも僕も吐き気がしてきた、見たくもないが、その異様な光景に目を奪われて3人は動けないでいた。そして食べる度に、捻りとった方の腕がぶにゅぶにゆと再生しているではないか。
「ちょっとリュウ兄ちゃん。あれって反則だよ。勝てっこないよ。なに、こっちからの攻撃は効かないし、ダメージを与えても、自分の身体を食べて再生するとか、どう考えても倒せないじゃない。」
「チル勝てないように見えるけど、そうじゃない。よくあいつの腕を見るんだ。ひとまわり小さくなっている。全部を再生するには食べる量が足りてないんだ。逆に言えば、今の攻撃を何度も当てればいずれは倒せる・・・」
と話している隙に、デーモンが食事をしながら、立ち上がった。
「「「えっ」」」
もっとも、そこまでアイスクーラーの魔法で冷やせて、太陽光線の熱量がそこまで行くかは微妙なとこなんだが。それに、地球の物理法則が適用するのかとか、魔族相手に熱衝撃がそもそも効くのかなど不安要素は諸々ある。もう仕方ないじゃないか。時間もないし、手段も思いつかないんだから。
どうやら、ウォータープロミネンスによる太陽光線のチャージが完了したようで、眩き光線が光球から放出された。
「ジューっ、ジューっ、ジュー」
ティタニアは回復の手を止め、チルも魔法の発動を停止し、僕も痛みに耐えながら、デーモンイーターの成り行きを見つめていた。
これの効果がなかったら、本当に打つ手がなくなる。頼む頼むから効いてくれよ。神様、女神様、、、いや、駄女神はいいや、なんか逆に良くないことが起こりそうだし、精霊神様お願いします。
困った時の神頼みである。地球には神の存在は明らかになってはいないが、この幻想世界においては、神の存在ははっきりと証明されている。もっとも、万能な神などいなく、人より上位の存在と言った方が正しいのだが。
それでも神に祈らざるを得ない状況なんだ。お願いします。神様、助かったらなんでもしますから、お願いします。この一撃でデーモンイーターを葬って下さい。
願いが神に届いて聞き入れてくれるのかは分からない。が、ウォータープロミネンスによる照射は終わった。
デーモンイーターを見ると、照射の位置がずれていたのか、デーモンイーターが位置をずらしたのかは分からないが、焦点の位置が胴体ではなく、デーモンイーターの腕になっていたようだ。
結果を見ると、ウォータープロミネンスの効果はあった。腕が一部削り取られている。地表まで貫通してはいなかったのだが、それでもこれが胴体か頭に当たっていれば勝ち目があったのだが、当たり場所が悪かった。
熱による影響で、デーモンイーターを拘束していたアースウォーターネットの効果も破られ、魔女の一撃の効果が切れたのか、痩せ我慢しているのか分からないが、デーモンイーターが片膝を立て立ち上がろうとしている。
「リュウ、リュウ兄ちゃん、どっどうしよう!デーモンイーターが生きてるよ。」
チルがびびって涙声をあげている。それもそうだろう。デーモンを跡形もなく、焼却したウォータープロミネンスの魔法がデーモンイーター相手では腕一本分消し飛ばすこともできなかったんだから。
これは、僕たちの他の魔法や物理攻撃がほとんど効かないことを意味する。なすすべもなくやられる未来が浮かべば涙も出るだろう。絶対絶命のピンチというやつだ。
「どうもこうもない、ティタニアとウェルザさん、モニカちゃんを連れて逃げろ。この街はもう持たない。どこか、そう、薬樹の森の精霊樹の所にでも逃げてくれ。」
『スキル:魔女の一撃』
十回使って、呪いの反動が出たことで、回数がリセットされた魔女の一撃を発動していく。
「僕はここであいつをギックリ腰にして、時間稼ぎをするからそのうちに逃げてくれ。」
「嫌だ嫌だ。そんなの嫌だよ。リュウ兄ちゃんを置いて、好きな人を残して行けないよ。」
そうこうしている間にも、ギックリ腰に、なったデーモンイーターは、再び倒れるかと思いきや倒れることはなく、そのまま堪えて、スキルを発動したであろう僕の方を睨みつけてくる。
「ウギュルルル、ウギュルルル」
低い低音の唸り声が不気味に辺りに響き渡る。なぜ、魔女の一撃が効いてないのか?重ねがけは魔熊戦は有効だったのに?魔族だから、耐性が出来たのか?それとも………。それに、なぜ僕の方を向いているんだ?スキルは不可視の攻撃のはず。発動する相手なんて分かるはずがないんだ。
もっともこの場には、僕、チル、ティタニアの3人しかいなく、その3人が一箇所に集まっているため、目安はつけられるだろう。しかし、あいつの目は、地面の上に転がっている僕を一心不乱に見ている。間違いない、デーモンイーターは僕が魔女の一撃を使ったことに気づいている。
それでも、デーモンイーターは立ち上がることはせずに片膝をついたままである。効いているには効いているのだろう。と見ていたら、おもむろに、ちぎれかけの腕を無事な手で、引きちぎった。
「ウギュギュギュ」
「うっ」
取った腕をどうるするのかと思えば、むしゃむしゃとあろうことか、自分の腕を食べ出した。
あまりの気味の悪さに
「うぷっ」
チルも僕も吐き気がしてきた、見たくもないが、その異様な光景に目を奪われて3人は動けないでいた。そして食べる度に、捻りとった方の腕がぶにゅぶにゆと再生しているではないか。
「ちょっとリュウ兄ちゃん。あれって反則だよ。勝てっこないよ。なに、こっちからの攻撃は効かないし、ダメージを与えても、自分の身体を食べて再生するとか、どう考えても倒せないじゃない。」
「チル勝てないように見えるけど、そうじゃない。よくあいつの腕を見るんだ。ひとまわり小さくなっている。全部を再生するには食べる量が足りてないんだ。逆に言えば、今の攻撃を何度も当てればいずれは倒せる・・・」
と話している隙に、デーモンが食事をしながら、立ち上がった。
「「「えっ」」」
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