【完結】雇われ勇者の薬草農園 ~チートスキルで薬草栽培始めます~ 【累計13万PT & 123大賞4一次通過】

近衛 愛

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第8章 変わってしまう日常編

【雇用№124】ティタニアの運命3

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「そこはなんとかしなさいよ。リュウ。子孫を、作って代々管理していくとか、ドラゴンズファームの初代社長の社訓として、バラ園を未来永劫残すとか、やり方は色々あるでしょ?無理だと決めつけるのは良くない癖だわ。」

「全く持ってその通りです。どうも自分の出来ることの延長線でしか考えられないみたいで……。あっ、ティタニア、システムメッセージで悪魔の器が悪魔の種に変わったよ。」

「取り敢えずは、このやり方で大丈夫なのね。よかったわ。後は、私がこの時間にいられる間に悪魔の棚を解除出来るかよね。まー、出来る様に祈るしかないわね。」

「って話している間にも、悪魔の種が悪魔の素に変化した。あっまた変わった。悪魔の素が賢者の素に変わったよ。これで大丈夫だね。」

「はーよかったわね。なら、時の巻き戻しの術は解除ね。間に合ってよかったわ。でも、リュウあなたがまた、誰かを恨むことになったら、悪魔の種に変化するかもしれないわ。だから、これは私があなたに送る最後の加護よ。普段なら絶対にしないんだから、ありがたく受け取りなさい。」

 と頭の上に乗っていたティタニアが突如頭の上から逆さまになって僕にキスをしてきた。ふいうちによる攻撃は回避することが出来なかった。

「ちょっ、ティタニアさん一体なにをするのさ」

「キスやキス。チルより先にしてしまったのは、悪いかなと思うけど。それに私は、格好いいイケメンの私だけを愛してくれる王子様とするのが理想だったんだけど、しょうがないわ。この世界の将来の為には仕方がないことだったのよ。私のファーストキスありがたく受け取りなさいよ。」

「あっ、賢者の素に愛情値が1溜まりましたってでた。賢者の素って、愛情を集めるものだったのか?」

「ふふっ悪魔の種が恨みによって変化するなら、対局となる賢者の素は勿論愛情よ。でも、おっかしーわね。私の超絶天才美妖精ティタニア様のキスがたった1だなんて、壊れてるんじゃないの?まっ、分かったわね。悪魔の種に変化させない為には、愛情を一杯育むことよ。」

「ちょっとティタニアなんか手がどんどん透けてきてるよ。」

 目の前を飛んでいる妖精は、まるでこの世から消えてしまうかの様に、手足の先から少しずつ少しずつ透明化していった。

「どうやら時間の様ね。間に合ってよかったわ。リュウ悪いけどこの世界の命運はあなたに任せたわよ。私の時間をかけて、元に戻してあげたんだから、心して私の代わりにミッションを完遂しなさいよね。あっ、愛情は、チルから沢山もらいなさいね。勿論リュウが先に愛情をあげるのよ。まったねー」

 捨て台詞を吐いて、ティタニアは、最後には見えなくなってしまった。

「おおーい、ティタニア、どうせまだここにいるんだろう。出てきてくれ。ほらっ、出てきたらちゃんと驚いてやるから、姿を、表してくれよ。頼むよ……。」

 叫べども叫べどもティタニアは、姿を現すことも声を聞くことも出来なかった。ティタニアの後には、小さな光の球が浮かんでい。

「これは一体?ティタニアか?」

 大きな声で叫んでいたため、チルが目を覚ました。

「えっ、私どうしてここにいるの?えっと、最後は、デーモンイーターが攻撃して…。」

 チルは起きあがろうとすると、胸の上に置いてあった、ドラゴンレジャーのグリーンスーツが落ちてしまった。

「キャッ」

 慌てて、落ちたスーツを手に取り、胸の前に持って来て隠す。

「どうなってるの?これってティタニアちゃんのスーツだよね。それになんで、服が破けているの?」

 そっと、胸とスーツの間に隙間を作り覗いてみる。服の破れた所の胸の辺りは傷ひとつない、昨日身体を洗った時にみたままだある。大きくもなっていないし、小さくも、なっていない。

「意味が分からないわ。取り敢えず、ティタニアちゃんが気を利かせてくれて、スーツを置いていったってことでいいんだよね。ティタニアちゃんかリュウ兄ちゃんなら、なにかわかるかも。」

 チルはイソイソと、リュウがいる方向とは、反対側に身体を向け、スカイブルーの破れたドラゴンスーツの上から、グリーンのスーツを着ようとした。

「うっ、頭は入るけど、流石にスーツの重ね着は無理か。ちょっと外でスーツを脱ぐのは抵抗あるんだけど、このままだと、ちょっとスーツの位置がずれただけで胸が見えちゃうから。急いで着替えれば大丈夫だよね。」

 チルは辺りにリュウ以外の人がいない事を確認して、パッと破れたスーツを脱ぎ、綺麗なスーツを着た。

「ティタニアちゃんのスーツだけどあつらえた様にピッタリだね。まーいっか。リュウ兄ちゃんに聞いてこよう。戦闘は終わってるんだよね。おーい、リュウ兄ちゃん、一体どうなったの?」

 チルが声を上げながら近寄ってくる。僕は、前にある光の球に目を取られて、周りの音が全く入ってこない。

「ちょっとリュウ兄ちゃん聞こえてる。」

  僕の側まで来たチルは、ポンと肩を叩いてくる。

「あっ、チル。本当にチルなのか?よかった。ティタニアの、言った通りに生き帰ったんだね。」




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