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幕外 リスティの創作活動

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『今月号の魔法騎士晴臣は読者の反応がとっても良かったみたいですよ』

「まぁ本当ですか」

『この調子で頑張ってくださいね』

「はい」



 リスティはウキウキと受話器を置く。彼女は異世界のとある出版社の担当と電話で話していた。魔法を使えば異世界と連絡などリスティには簡単だ。



「やっぱりハルオミ様の御威光は全世界共通の憧れなのだわ」



 週1で現れる自分の騎士をモデルにした漫画を異世界で投稿したところ、なんと連載まで決まってしまった。漫画の晴臣はとてつもなくイケメンに描かれている。リスティからみると晴臣はそのように見えるらしい。





「おや、姫。今月号も面白いと評判だったのですね」



 ヴィオルが異世界で発売された、少女漫画『きゅんきゅんハート』を手ににっこりとほほ笑む。



「えぇ、ちゃんとヴィオルも登場させてますよ」

「あぁ……この、酷いまでの不細工な男ですよね。相変わらず姫の視力は病的ですね」

「もう、そうやってすぐ褒めないの。うかれちゃうじゃない」

「褒めてないんですけどね」



 主従の会話がかみ合っていないが、それはいつもの事なのでヴィオルは諦めていた。



「ところで姫、最新作のプロットはきまったのですか?」

「えぇ、もちろん。次回は神国あたりで、どんちゃんやってしまおうかと。神国の視察はいつがいいかしら」

「というか行けませんから──その顔、本気で行くつもりですか? 禿げクレームが来るからやめてくださいと僕はいいましたよね? まさか晴臣も連れて? それはまずいですよ。神は顔重視ですから」

「大丈夫よ。神国なら空間をちょちょ~いっと魔法で繋げれるから」

「僕がまずいと言ったのは、そういう事じゃないのですけどね」

「わかっています。ハルオミ様の美顔が神に知られてしまう……それはちょっと不味いかもしれません。やぁん、嫉妬してしまいそう」

「全然わかってないですよ」







 今日もパラリア国は平和につつがなく過ぎていくのだった。




 おしまい
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