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6話 まあ、人前で魔法は使いたくないし
しおりを挟むエルシーはソータに、フィンランドに行こうと思った経緯とラナについて話した。
しかし彼は、フィンランド行きに乗り気じゃない。
「うーん、興味あるけど言葉の壁もあるし、金銭的に高校生にはきついな」
「うん。だから転移魔法使おうと思う」
突然のパワーワードにソータはまたしても驚く。
そんな反応に
「あ、まあそう簡単に信じられないよね」
とエルシーは少し考え、ソータに提案をする。
「明日、またここに集合しよう」
翌日の土曜日の昼、ソータがエルシーの指定でまたファミレスに来た。
「移動しようか」
ソータは先に来ていたエルシーに付いて行く為、来て早々、一緒に店内を出て彼女を追う。
エルシーはどんどん路地裏に入っていきソータはその度、ちょっとエルシー待って!と追いかけていると、ある所で彼女の足はピタリと止まる。
「ここでいいかな・・・ 」
とエルシーは呟いた。
「流石に人前で魔法は使えないし・・・ 」
また彼女は呟くと、今度はソータに
「ここで今から転移魔法を使うから、はぐれないように手繋ぐよ」
そう両手を出した彼女の手をソータは緊張して握る。
「いくよ?」
エルシーが言い了解すると、ソータは自分の足がフワッと浮くのを感じ、瞬きをするとそこはもう一面の原っぱだった。
「ここがフィンランドだ」
目の前にいるエルシーが、場所までは特に決めてなかったけど。急に現れちゃ怪しまれるから、開けた場所を思い浮かべてみたと言った。
ソータは周りを見渡すと、丘の下の田んぼの周りに、明らかに日本と違う建物を見つけた。
「すごい・・・ 」
ふと写真に収めようと、ポケットにあるスマホを手に取ろうとしたが、エルシーが
「今取らなくても今度行くよ」
と忠告した。
「あ、そっか」
素直に従い、またエルシーが伸ばした手を取るとまた瞬きをした後に、さっきの路地裏に二人とも戻っていた。
まだ、不思議な体験から興奮して冷めない感覚のソータにエルシーが
「信じた?」と聞くと、ソータはうんと頷いた。
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