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3話 猫のミメット
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その子は私に大して容赦なかった。
「ニャーン」
ゴロゴロと私の膝でフミフミするのはフェリックス様の猫のミメットだ。
「お前、俺より懐いてないか?」
あまりのミメットの懐き具合にフェリックス様は驚いていた。
母様に失礼がないように言われるがせっかく念願の猫ちゃんに触れるのだ。
私が屋敷に入ってくるなりスリッと彼女はドレスに寄ると目の前でドーンとお腹を見せて来た。
「ミメットは可愛いですね」
「ありがとう。
おかしいな。
1番は俺に懐くはずだがアリアは本当に動物に好かれるんだね」
「そうみたいです」
ミメットはお腹を掻く手を止めると「もっと撫でて」
と言っているようだ。
今は春、気候は猫にも過ごしやすいらしい。
「テラスでお茶をしよう」
彼に誘われるがミメットから手を離すと待って!と手を握らせる。
フェリックス様も私が離れがたかったのが分かると
「ミメットも一緒に」
と扉を開けて2人と1匹のお茶会をした。
(そう言えば夫人に挨拶してないわ)
「あの、夫人達は?」
彼に聞いたが
「ああ。
彼女はいつも屋敷にいない。
父もだが早々に俺に爵位を渡して2人で好き放題してるよ」
「ご夫婦仲が良いんですね」
「自分の領地を気にかけて欲しいものだよ」
(確かに)
私の両親は両方とも屋敷にいる為過ごし方は違うけど彼らはフェリックス様を信頼しているのだろう。
そんな話をしているとミメットは花壇の側の木陰に入っていった。
すっかり互いの領地や自分達の事で話が盛り上がるとミメット遊んで足に怪我をしたらしい。
ヒョコッと片足を上げて戻って来たから抱っこするとトゲが刺さっていた。
「ちょっと待っていて」
と指でトゲを抜こうとすると
「アリア、もしかしたらパニックを起こして怪我をするかもしれない。
メイドに任せるよ」
と彼はベルを鳴らす傍ら、私はこっそりフェリックス様に聞こえないように呪文を唱えた。
これでミメットが感じてる痛さは取り除かれるだろう。
ベルの音で呼ばれたメイドはいつもより素直に抱っこされるミメットに驚き、別室で手当をした。
「よかったな」
「にゃん」
大した怪我をしてなく、安心したフェリックス様とミメットはおしゃべりしてるみたいで可愛らしい。
そうしているとそろそろ自分の屋敷に帰る時間になってしまった。
「そんな顔しなくてもまた誘うよ」
よほどミメットと離れ難い顔をしていたんだろう。
申し訳ない。
「でも、どこか今度出かけない?
ミメットも連れて」
ミメットもと言われると頷いてしまいそうになる。
しかし、彼にキュッと手を握られ
「まあ、デートのお願いなんだけど」
と照れたように言われ、私にもそれが憑ったようで顔が熱くなる。
帰った矢先、母様に失礼はなかったかと聞かれ大丈夫と答える。
ふと母様に
「お母様はお父様と出会った時、何か感じたの?」
と聞いてみる。
我が家の夫婦仲は良好だ。
数々の伯爵や隣国の王子からも声が掛かったのに子爵の父と結婚した母様ならきっと運命的な出会いだったのだろう。
しかし母様は
「え?アリア、あなた本当に結婚する気になったの?」
と私よりも高揚している。
結局、はぐらかされたままフェリックス様とのデートに行く事になった。
「ニャーン」
ゴロゴロと私の膝でフミフミするのはフェリックス様の猫のミメットだ。
「お前、俺より懐いてないか?」
あまりのミメットの懐き具合にフェリックス様は驚いていた。
母様に失礼がないように言われるがせっかく念願の猫ちゃんに触れるのだ。
私が屋敷に入ってくるなりスリッと彼女はドレスに寄ると目の前でドーンとお腹を見せて来た。
「ミメットは可愛いですね」
「ありがとう。
おかしいな。
1番は俺に懐くはずだがアリアは本当に動物に好かれるんだね」
「そうみたいです」
ミメットはお腹を掻く手を止めると「もっと撫でて」
と言っているようだ。
今は春、気候は猫にも過ごしやすいらしい。
「テラスでお茶をしよう」
彼に誘われるがミメットから手を離すと待って!と手を握らせる。
フェリックス様も私が離れがたかったのが分かると
「ミメットも一緒に」
と扉を開けて2人と1匹のお茶会をした。
(そう言えば夫人に挨拶してないわ)
「あの、夫人達は?」
彼に聞いたが
「ああ。
彼女はいつも屋敷にいない。
父もだが早々に俺に爵位を渡して2人で好き放題してるよ」
「ご夫婦仲が良いんですね」
「自分の領地を気にかけて欲しいものだよ」
(確かに)
私の両親は両方とも屋敷にいる為過ごし方は違うけど彼らはフェリックス様を信頼しているのだろう。
そんな話をしているとミメットは花壇の側の木陰に入っていった。
すっかり互いの領地や自分達の事で話が盛り上がるとミメット遊んで足に怪我をしたらしい。
ヒョコッと片足を上げて戻って来たから抱っこするとトゲが刺さっていた。
「ちょっと待っていて」
と指でトゲを抜こうとすると
「アリア、もしかしたらパニックを起こして怪我をするかもしれない。
メイドに任せるよ」
と彼はベルを鳴らす傍ら、私はこっそりフェリックス様に聞こえないように呪文を唱えた。
これでミメットが感じてる痛さは取り除かれるだろう。
ベルの音で呼ばれたメイドはいつもより素直に抱っこされるミメットに驚き、別室で手当をした。
「よかったな」
「にゃん」
大した怪我をしてなく、安心したフェリックス様とミメットはおしゃべりしてるみたいで可愛らしい。
そうしているとそろそろ自分の屋敷に帰る時間になってしまった。
「そんな顔しなくてもまた誘うよ」
よほどミメットと離れ難い顔をしていたんだろう。
申し訳ない。
「でも、どこか今度出かけない?
ミメットも連れて」
ミメットもと言われると頷いてしまいそうになる。
しかし、彼にキュッと手を握られ
「まあ、デートのお願いなんだけど」
と照れたように言われ、私にもそれが憑ったようで顔が熱くなる。
帰った矢先、母様に失礼はなかったかと聞かれ大丈夫と答える。
ふと母様に
「お母様はお父様と出会った時、何か感じたの?」
と聞いてみる。
我が家の夫婦仲は良好だ。
数々の伯爵や隣国の王子からも声が掛かったのに子爵の父と結婚した母様ならきっと運命的な出会いだったのだろう。
しかし母様は
「え?アリア、あなた本当に結婚する気になったの?」
と私よりも高揚している。
結局、はぐらかされたままフェリックス様とのデートに行く事になった。
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